入塾時期について[中学受験]

「いつから入塾するのが良いのか」という相談も多い。もちろん、子どもによって最も良い入塾時期は異なるであろう。「入塾時期は、子どもが塾に通いたい、と言い出した時が良いタイミングだと思います」という保護者の意見もあるぐらいで、子どもが自分から塾に通いたいと言い出すのを待って、入塾後に子どもがやる気になることを狙うのは正しい選択だ。「友達が通い始めて、自分も通いたいと思ったようです。親が塾に入れるのではなく自分で決断したので、やる気につながりました」という保護者からのアドバイスもある。

アンケートの回答を分析すると、回答の多い選択肢が効果的な方法であることが多い。入塾時期についても、そのようなことがあるのではないか? 実際に入塾時期を調査してみた。

【表1 塾(集団指導)を選んだかたにお聞きします。いつから塾に通わせましたか?】
表1 塾(集団指導)を選んだかたにお聞きします。いつから塾に通わせましたか?

【表1】は、有名私立中高一貫校在籍生の保護者を母集団としたアンケートの結果である。入塾時期は、小学3年生の2月(37%)と小学4年生の2月(13%)が多いことになる。

【表2 表1を学校難易度別に新学年で集計】
表2 表1を学校難易度別に新学年で集計

【表2】は、【表1】を学校難易度別に集計したもので、在籍校がわかる有効回答は48件であった。アンケートの母集団は難易度A・B校の在籍生が多く、難易度C~F校の在籍者は少なかった。また、1月~3月の入塾は新学年からの入塾と考えた。入塾時期は、1年生からが6%、2年生からが2%、3年生からが13%、4年生からが52%、5年生からが19%、6年生からが8%となった。
どの学校難易度でも4年生からの入塾が主流となっていることがわかる。難易度A校在籍生は、小学1年生と2年生から入塾している場合もあるが、難易度A校在籍生以外ではいない。難易度E・F校在籍生はデータ数が極端に少ないため除外すれば、小学3年生からの入塾も難易度A校在籍生以外の難易度B・C・D校在籍生ではせいぜい10%程度と少ない。

5年生からの入塾は、難易度A校在籍生では0%で、難易度A校に合格するためには、少なくとも4年生までに入塾する必要がある。難易度B・D校在籍生では、5年生からの入塾でも約20~30%の生徒が合格しているが、6年生からの入塾は少数派だ。
入塾時期について、「3年生から塾に通わせましたが、早すぎたようです。5年生頃に中だるみになってしまい、その後、きちんと勉強に取り組めなくなってしまいました」という保護者のコメントもあり、1~3年生からの入塾はあまりにも受験勉強期間が長すぎて、学習に対するモチベーションを保つことが難しい。4年生から入塾する一般的な例でも、5年生で中だるみすることが多く、いかにモチベーションを保つかが問題となる。
小学校低学年から入塾すれば難易度A校に合格するというのではなく、むしろ小学校低学年から受験勉強を継続できるモチベーションを保ち続ける生徒が難易度A校に合格できるのだ。一般的には、入塾者の多い4年生の2月から入塾するのが良さそうだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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