受験をやめる時期の目安は? [中学受験]

中学受験をやめるという相談は、多くはないのですが、次のような質問がありました。

(質問)
小5の娘がいます。今、中学受験(公立中高一貫校)に向けて、塾に通い始めたところです。お恥ずかしい話ですが、そこで、あらためて中学受験の難しさ、厳しい現実を知りました。娘には、今のままでは、合格は非常に難しいことは伝えました。それでも、やってみると言います。塾には、かなりできるお子さんが多いらしく、娘は勉強についていくのに必死の状態です。正直なところ、これからものすごく勉強しても、合格できる保証はありませんし、娘にかなりのストレスがかかっており、どこまで体力・気力が持つか不安です。こんな状態なので、保護者のほうで、受験をやめる時期の目安を持っておくほうが良いかと思いました。

(回答)
今回の相談は、公立中高一貫校の受験なので、私立の中高一貫校を志望している場合とは多少、異なるかもしれません。私立中高一貫校では応募者が多く集まると募集定員に対する応募倍率は高倍率になりますが、実際には合格者が上位の学校に抜けていくため、合格者を多く発表するので実質倍率はそれほど高くありません。しかし、公立中高一貫校では、合格した生徒が抜けていくことが少ないため、少なくとも6~7倍の応募倍率がそのまま実質倍率となり、合格を勝ち取るのは大変です。また、公立中高一貫校と私立中高一貫校の入試問題は、試験の性格がまったく異なるため、私立中学校のような正確な合格可能性の判定は難しいのが実情です。私立には進学しないと決めている場合は、公立中高一貫校の一発勝負となり、合格できるかどうかストレスが強くかかります。

ところでご相談は子どもの体力や気力が続かなくなって、無理をさせて受験勉強をした結果、抜けがらのようになる前に受験をやめさせようということでしょうか? そうした心配なら、体力や気力が低下してきた時点で少し休養を取ることをおすすめします。ただ受験自体をやめさせることはないでしょう。子どもが、つらいからといって受験勉強を投げ出すことを許せば、子どもにとっては、最後まで成し遂げられる自信が持てない負の経験を積ませることになります。自分からやりたいと言って始めたことでも、つらくなることもあるでしょう。でも少し休憩して気分転換すればよいのです。

もっとも公立中高一貫校の今の出題方法や倍率を見ると、お子さまに限らずほとんど合格できないと考えるべきで、勉強方法や勉強目標に一定の達成の見通しを持たせ、ストレスにならないよう、またせっかくの向上心が生きるよう、保護者が学習に関与を強めていただければと思います。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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