志望校検討のための2010年入試の予想 その1[中学受験]
6年生の夏休み前は、まだ子どもの成績が上がる期待もあり、第1志望校を子どもの学力に合わせて下げることは子どものモチベーションの低下にも繋がるので得策ではなかった。しかし、入試まであと2カ月あまりとなったこの時期に、子どもの偏差値と志望校の偏差値の差が大きい場合は志望校を検討すべきだ。
2010(平成22)年入試は、受験生にとってチャンスの年になるかもしれない。来年は全体的に受験者数が減少する傾向のなかで、これまで全体的に倍率が低い状況でも変化のなかった難関校や上位校の一部に、比較的入りやすくなる学校が出そうな年になりそうだ。この時期に志望校を検討する場合には、2010年入試の動向も志望校選定の資料になる。
四谷大塚の2008年第2回合不合判定テストと2009年第2回同テストの男子・女子合計を見ると、全体の志願者数が3.4%減少しており、2010年入試の受験者数は最大3%強程度減少する可能性がある。2009(平成21)年入試では、公立小学校卒業生数は多少増加したものの、不況の影響か受験者数は前年比が98.1%で、1.9%の微減であった。2010年入試では、公立小学校卒業生数はほぼ横ばいとなるが、受験生の減少は不況の影響が大きいので、不況がさらに深刻化している現状を考えると、2010年入試の受験者数の減少予測はそれほどおかしくはない。
2009年第2回合判を見ると、女子のAランクと男子・女子のDランクの例外を除き、ランクの高い学校であればあるほど志願者数の前年比は高く、ランクの低い学校であればあるほど志願者数の前年比は低い。つまり、2010年入試では、ランクの高い学校の受験者数はさほど減少しないが、ランクの低い学校の受験者数は減少する傾向になる可能性が大きい。
2010年入試で最も大きな変化は、私立では早稲田大学高等学院中と中央大学付属、都立では中高一貫校の富士・大泉・三鷹・南多摩が新規開校し、また、横浜山手女子学園が中央大学の系列校として中央大学横浜山手となり、横須賀学院は青山学院大学の系列校となるなど、人気となりそうな中学校が登場することだ。当然、これらと同じ地域の学校や同ランクの偏差値の学校は、大きな影響を受けることになる。大きな変化があれば、難関校や上位校の一部でも例年に比べ入りやすい学校が出ることもありうるので、受験生にとっては大きなチャンスとなる可能性がある。
その他にも、昨年度のサンデーショックの後遺症か、四谷大塚の2009年第2回合判を見ると2月1日入試では吉祥女子と東京女学館で、2月2日入試では渋谷教育学園渋谷・湘南白百合学園・大妻の第2回・共立女子のB日程・光塩女子学院の第1回・恵泉女学園の第2回で志願者数が大幅に減少しそうだ。
また、併願の変化として注目したいのは、交通網の広がりだ。たとえば、湘南ライナーによって、東京都の受験生が神奈川県の学校を、同様に神奈川県の受験生が東京都の学校に通学できる範囲が広がった。横須賀学院などはけっこう、通える範囲が広くなった。