志望校検討のための2010年入試の予想 その3[中学受験]

志望校検討は入試日程で行うので、2010(平成22)年入試の予想も入試日程でしてみよう。

1月入試は、埼玉県では、昨年から開智の先端クラスの人気が高い。また、開智の先端クラスにライバル視される栄東の東大クラスでは、今年の東京大学合格者が2桁となり、高い人気を維持している。また、西武学園文理の特選も人気だ。これらを頂点とて、昌平学園の中学校が開校することもあり、千葉県と比べると埼玉県は全体として活性化し、受験者数はどちらかと言えば増加傾向ではないかという予想。特に東京都・神奈川県地区からの併願者は増えそうだ。

茨城県では、2008(平成20)年に公立中高一貫校の県立並木ができて、その影響で中学受験者数が増加傾向にある。また、2005(平成17)年8月のつくばエクスプレスの開通から徐々に都内からの受験者も増加している。

千葉県は、横ばいか微減で推移している。2008年に公立中高一貫校の県立千葉ができて人気を集めている。渋谷教育学園幕張・市川・東邦大学付属東邦の御三家は従来どおりか減少傾向を示し、下位の学校で少し受験者数が減少することが予想できる。大きな変化は特にない。

1月入試で大きな変化は、いわゆる出張入試だ。早稲田が地方にもさかんに系列校を作っている。2009(平成21)年大阪府に早稲田摂陵を開校し、2010(同22)年唐津市に早稲田佐賀を開校する。これらの出張入試を1月に早大所沢キャンパスで行うので埼玉の西部地区の受験者がそこに流れる可能性がある。
特色がある出張入試の学校としては、愛媛県にある医学部進学で有名な愛光学園や、トヨタ・JR・中部電力の作った全寮制の海陽学園(愛知県)がある。これらの出張入試は肩慣らし受験と言うことはできない。この他にも、従来から出張入試を行っている土佐塾(高知県)、佐久長聖(長野県)、西大和学園(奈良県)などたくさんの学校が首都圏入試を行っており、人気は分散してきている。

2月1日の入試では、中央大学付属や早稲田大学高等学院中がどの程度他の学校に影響を与えるかが問題だ。四谷大塚の2009年第2回合不合判定テストでは開成・麻布・駒場東邦・慶応義塾普通部・早稲田・武蔵の志願者数は横ばいで、それほど大きな影響はないようだが、桐朋と海城に影響が出ており、受験者数が減少する予想がある。
つまり、こうした難関校の中でも合格しやすい学校が出ていることが大きな変化と言える。全体の受験者数は減少傾向にあるので、受験者から見れば全体として入試は緩和する方向になる。付属ブームで、昨年の成城学園のように受験者数を伸ばす付属校が来春も多くなりそうだ。来年は、学校ランクにかかわらず受験者数に大きな変化がありそうで、今後の志願者数の動向から目が離せない。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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