学校訪問でのチェック事項は? その3[中学受験]

「我が子に合った学校」の要素の中で、何を見極めるか?は学校訪問イベントによって異なる。普段の在校生を見る機会として、文化祭は絶好のチャンスだ。

なぜなら、学校説明会やオープンスクールなどではどうしても構えてしまい、在校生としてあるべき姿しか見せてもらえない。しかし、文化祭は在校生にとって自分たちが楽しむことを主たる目的としているので、来訪者をあまり意識しないせいか、普段の生徒を観察できるのである。
また、先生と在校生との会話をしている普段の様子を見る機会は文化祭以外にはなかなかない。文化祭でも見付けることは少ないと思うが、先生と在校生との人間関係から教育方針や校風が推測できる。

次に在校生のどこを見れば、「我が子に合った学校」かどうかを見極めることができるのだろうか? という点について述べたい。

在校生同士の言動、先生と在校生の言動、そして来訪者である自分たちへの在校生の言動に注目してほしい。言葉遣いだけではなく、在校生同士、先生と在校生、そして来訪者と在校生との人間関係の中での言動から在校生の人間性を感じ取ってもらいたい。
たとえば、生徒と先生の言動から、生徒と先生の距離はどのくらいあるか、生徒は先生を本当に尊重しているか、生徒は先生を信頼しているか、などから、生徒の人間性や生徒と先生との関係が保護者にとって好ましいかどうかがわかる。保護者にとって好ましいのであれば、その学校は、「我が子に合った学校」ということになる。

在校生を観察する場合、お子さんと近い年齢の中1生からは、お子さんが訪問した中学校に入学した時の姿をイメージできる。更に、その生徒たちが楽しそうか、活気はあるかを観察する。また高2・3生からは、お子さんが成長した時の姿をイメージできる。
我が子と同じような年齢の中1生が、高2・3生になった時、どのように成長しているかは、保護者が期待したイメージどおりかもしれないし、おおいに違うかもしれないが、それは学校の教育方針と校風の影響によるものが大きいと考えるべきであろう。

文化祭では、来訪者である自分たちに対しては多少構えているところもあると思うが、他の学校訪問の際には見せなかった人間性を在校生の言動から感じ取ることができる。文化祭の時だけではないが、登下校中の在校生を観察する。できれば、生徒に話しかけてみる。会話の中で、生徒が見えてくることもある。そして、在校生の人間性は、学校の教育方針や校風のたまものであり、学校案内に書いてあることが本当に理解できるのである。

在校生を観察することで、我が子が楽しく学校生活を送れるか、我が子が期待どおり成長してくれるか、がある程度予想できる。在校生の様子から「我が子に合った学校」かどうかの半分以上は決まるのである。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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