数学的思考の面白さと得点力アップ その1[中学受験合格言コラム]
「数学的思考の面白さと得点力アップ その1」
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答し、実際にアドバイスを実践した結果どうなったのか?という追跡結果もお届けします。※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育発見隊通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。
質問者 相談者:東京都 N・Kさん学年:小学6年生 性別:女 保護者のかたからみた性格:好き嫌いがハッキリ。納得しないと先に進めないタイプ |
第一回目の質問
小4から塾に入っておりますが、最初から国語の出来はとてもよく、算数が全く振るいません。とくに平面図形・空間図形・整数計算など数学的な思考が必要な単元が、どうやらまったく自分の想像がつかない世界らしく、嫌いのようです。同様に理科なども、ばねばかりとか浮力とか物理領域は苦手です。よく「現実の世界と比べたりして理屈と現実が合うはずがない」みたいなことを言っています。受験勉強だからと言って、数学の楽しさがわからない中でとにかく勉強させるなんてことは親としてあまり本意ではありません。なんとか、数学的思考の面白さを気づかせ、かつ得点力もつくようにしてあげたいのですがこういうケースの場合、どんな勉強のさせ方がいいのでしょうか? なお四谷大塚の模試で算数の偏差値はちょうど50くらい、48や49のときもあります。国語は65くらいあります。
小泉先生の第一回目のアドバイス
志望校の頻出単元を中心に1つずつ得意な単元を作っていく
偏差値50前後の生徒さんは、自分で問題を解いていても、何をしているのかわからずに解いていることが多いようです。問題が解けた場合でも、授業で先生が教えた通りに解いているだけなので、少しひねった問題を出されると途端に手も足も出なくなります。しかし多くの問題を解いているうちに、だんだんとやっていることの意味がわかってきます。
「なぜ補助線をココに引くのか?」、「なぜコノ問題では面積図を使うのか?」などが経験的に分かってくると、偏差値も55を越えて60が見えてくるはずです。先生方は問題の解き方を解説する時に、「なぜ補助線をココに引くのか?」もちゃんと指導していると思いますが、聞いている生徒の方がなかなか理解できないのです。やはり問題演習を繰り返すことで、「実感できた」「解けるようになった」「成績もあがった」ということになるのでしょう。
さてお子さまの場合はどうでしょうか? おそらくご自分で問題を解いていても、やはり何をしているのかわからないという状態だと思います。しかも「納得してからでないと先に進めないタイプ」ですから、“わからない状態”を気にせずにどんどん問題をこなし、演習量によって理解するといった学習はやってこなかったのでしょう。おそらく塾の先生からは、「演習不足です」と言われているのではないでしょうか?
中学受験の算数でも、手間はかかりますが、現実の世界のものとして実感できる教え方はあると思います。
例えば女子の場合、空間図形が苦手なお子さまが多いのですが、「立方体の切断」の問題などは、実際に立方体の豆腐を切らせてみると良いでしょう。何個か自分で切れば、断面の形のイメージを明確に持つことができると思います(もちろんその後は味噌汁の具などにお使い下さい)。あるいは円すいの側面にひもをまきつけ、ひもの長さを最小にする問題は、実際に円すいを作り、その上に鉛筆で何本か線を書いた上で展開してみれば、「最小=直線」の意味が直感的に理解できると思います。
しかし6年生のこの時期からとなると、そのような勉強の仕方は時間がかかり過ぎるかもしれません。方法はどうしても限られてしまうでしょう。
いちばんのおすすめは、単元を絞り、一つずつ納得しながらマスターしていく方法です。問題の「量」もある程度こなしていきますが、それと同時に「質」も大切にします。具体的な方法を下記に示します。
1)まず「単元を絞る」意味は、時間をセーブするためです。絞る単元としては、当然志望校に頻出の単元を選ぶべきでしょう。例えばお子さまの志望校で立体や平面図形が頻出であれば、まずは平面図形の「合同と相似」や「図形の面積」の問題を演習します。図形は「図形の性質→平面図形→立体図形」の順番で勉強してきたと思いますから、平面図形がしっかりできていないうちは、立体図形に手を出さない方が良いでしょう。また平面図形をやっていて、図形の性質があやふやなら、そこまでもどる必要はあります。
2)さて具体的な学習方法ですが、解いていく問題はやさしめの入試問題が良いでしょう。テキストによっても異なりますが、例題レベルはおそらく解けると思うので、やさしめの入試レベルの演習問題が適切です。このレベルですと解ける場合もあれば、解けない場合もあると思います。そして一つの問題を5分程度考えて解法の糸口が思いつかなければ、すぐに解答・解説を見て下さい。そして解法の手順を、1つ1つ理解できるまで丁寧に読んでいきます。もし理解できない場合は、塾の先生などに聞いて、しっかり納得して下さい。お子さまの場合、この過程をじっくり勉強する必要があります。
このように問題を解いていくと、かなり時間がかかると思います。他の科目の学習も当然しなければならないので、なるべく時間はかけたくありません。そこで1つの方法としては、演習問題が全部で10問あったら、例えば1、3、5……と奇数の問題だけやらせます(偶数だけでもOKです)。とにかく問題量を半分にすることで、算数の弱点補強に費やす時間を半分にするということです。
偏差値50前後の生徒さんは、自分で問題を解いていても、何をしているのかわからずに解いていることが多いようです。問題が解けた場合でも、授業で先生が教えた通りに解いているだけなので、少しひねった問題を出されると途端に手も足も出なくなります。しかし多くの問題を解いているうちに、だんだんとやっていることの意味がわかってきます。
「なぜ補助線をココに引くのか?」、「なぜコノ問題では面積図を使うのか?」などが経験的に分かってくると、偏差値も55を越えて60が見えてくるはずです。先生方は問題の解き方を解説する時に、「なぜ補助線をココに引くのか?」もちゃんと指導していると思いますが、聞いている生徒の方がなかなか理解できないのです。やはり問題演習を繰り返すことで、「実感できた」「解けるようになった」「成績もあがった」ということになるのでしょう。
さてお子さまの場合はどうでしょうか? おそらくご自分で問題を解いていても、やはり何をしているのかわからないという状態だと思います。しかも「納得してからでないと先に進めないタイプ」ですから、“わからない状態”を気にせずにどんどん問題をこなし、演習量によって理解するといった学習はやってこなかったのでしょう。おそらく塾の先生からは、「演習不足です」と言われているのではないでしょうか?
中学受験の算数でも、手間はかかりますが、現実の世界のものとして実感できる教え方はあると思います。
例えば女子の場合、空間図形が苦手なお子さまが多いのですが、「立方体の切断」の問題などは、実際に立方体の豆腐を切らせてみると良いでしょう。何個か自分で切れば、断面の形のイメージを明確に持つことができると思います(もちろんその後は味噌汁の具などにお使い下さい)。あるいは円すいの側面にひもをまきつけ、ひもの長さを最小にする問題は、実際に円すいを作り、その上に鉛筆で何本か線を書いた上で展開してみれば、「最小=直線」の意味が直感的に理解できると思います。
しかし6年生のこの時期からとなると、そのような勉強の仕方は時間がかかり過ぎるかもしれません。方法はどうしても限られてしまうでしょう。
いちばんのおすすめは、単元を絞り、一つずつ納得しながらマスターしていく方法です。問題の「量」もある程度こなしていきますが、それと同時に「質」も大切にします。具体的な方法を下記に示します。
1)まず「単元を絞る」意味は、時間をセーブするためです。絞る単元としては、当然志望校に頻出の単元を選ぶべきでしょう。例えばお子さまの志望校で立体や平面図形が頻出であれば、まずは平面図形の「合同と相似」や「図形の面積」の問題を演習します。図形は「図形の性質→平面図形→立体図形」の順番で勉強してきたと思いますから、平面図形がしっかりできていないうちは、立体図形に手を出さない方が良いでしょう。また平面図形をやっていて、図形の性質があやふやなら、そこまでもどる必要はあります。
2)さて具体的な学習方法ですが、解いていく問題はやさしめの入試問題が良いでしょう。テキストによっても異なりますが、例題レベルはおそらく解けると思うので、やさしめの入試レベルの演習問題が適切です。このレベルですと解ける場合もあれば、解けない場合もあると思います。そして一つの問題を5分程度考えて解法の糸口が思いつかなければ、すぐに解答・解説を見て下さい。そして解法の手順を、1つ1つ理解できるまで丁寧に読んでいきます。もし理解できない場合は、塾の先生などに聞いて、しっかり納得して下さい。お子さまの場合、この過程をじっくり勉強する必要があります。
このように問題を解いていくと、かなり時間がかかると思います。他の科目の学習も当然しなければならないので、なるべく時間はかけたくありません。そこで1つの方法としては、演習問題が全部で10問あったら、例えば1、3、5……と奇数の問題だけやらせます(偶数だけでもOKです)。とにかく問題量を半分にすることで、算数の弱点補強に費やす時間を半分にするということです。