中学受験に役立つ読書感想文への取り組み方(1) コツは中学入試によく出る作家の本を選ぶこと! おすすめの本4選と、国語力を高める書き方

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「読書感想文」は面倒だと考える人もいると思います。特に受験生は、あまり時間のかかる課題は避けたいと感じるかもしれません。しかし、読書が国語力を高めることは明らかです。また、読書感想文に取り組むことも、国語の力をつけることはもちろん、受験にも十分役に立ちます。

この記事では、読書感想文を中学受験に効果的に役立てるための具体的な本の紹介や、書き方の手順などをご紹介します。
中学受験を控える中で、お子さまの「読書感想文」の宿題に頭を悩ませているご家庭はもちろん、小学校高学年の読書が好きなお子さまが、これから本を選ばれる際などにも、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

中学入試によく出る作家・作品を選ぶのが効果的

読書の本選びに悩んでいるなら、入試によく出る作家・作品に選ぶのが、受験生にとって一挙両得でしょう。
塾などで問題文として読んだ作品からいいと思ったものを選んでみるのもいいでしょう。
入試問題によくでる作家の文章をじっくり読む機会として、読書感想文の課題を有効に活用するのは最も賢い方法です。

これらのことをふまえて、入試によく出る作家の中からおすすめの本をご紹介します。読書感想文を書くための本選びの参考にしてください。

入試によく出る作家の作品

・重松清『カレーライス』(新潮文庫)
中学入試で最もよく出ている作家です。
中学の教科書などにも載った9つの短編が集められた本で、今後の入試の出題の可能性もあります。内容は、少年少女が登場人物で、友人関係の感情的な対立や和解などがえがかれ、心情のゆれ動きにも共感しながら読めるでしょう。
この作家の文章を読みこなせることが、受験生の国語の一つの目標であり、名作がそろっていますので、興味深いものを一つ選んでみるといいでしょう。

・森絵都『クラスメイツ』(角川文庫)
同じくよく出る作家のひとりです。
内容は、中学一年生の同じクラスの生徒がそれぞれ主人公となり、短い話がたくさん集められています。学校で起きるさまざまなもめごとが、いろいろの立場から書かれています。共感できる生徒、興味を持った生徒をとりあげて、自分の場合と比べながら考えて書くといいでしょう。

・伊坂幸太郎『逆ソクラテス』(集英社)
当代の人気作家ですが、入試問題にも使われます。
内容は、小学校で起こる数々の「問題」に対して、いろいろなタイプの生徒たちや先生がどのように取り組み解決していくのかが書かれています。
五編とも読んでいて面白く楽しめますが、表題作の「逆ソクラテス」が感想文には書きやすいと思います。それぞれの立場のものの見方や考え方などに注目して読むといいでしょう。

・稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる』(ちくまプリマー新書)
説明文で毎年出題されているのが、稲垣栄洋さんの植物に関する本です。
受験生なら読んでおくべきテーマの一つで、植物の生き方・生存の戦略などを、人間と比べながら考える内容になっています。
特に、筆者が説明している「強さ」と「弱さ」について注目して考えると、感想文がうまく書けると思います。

感想文の書き方のコツは「くらべる」こと

文章は「くらべる」ことで、面白くなるものです。
猫について書くなら、同時に犬とくらべると、そのちがいがよくわかります。昔のことを今の時代とくらべたり、日本の文化を外国の文化とくらべたりなど、「くらべる」書き方を覚えると印象の残る内容にすることができます。

読書感想文では、物語なら登場人物の行動や考え方などを、自分とくらべながら書いていくと、感想も具体的で読み応えがでてきます。

感想文の型(手順)を決めてから書く

文章の書き方に決まりはありませんが、書いていく手順を決めておくと、その型に沿って内容を埋めていく作業も楽になります。一般的な例としては、以下のような手順になります。

  • 1)作品を選んだわけ(どこに興味を持ったのか)。
  • 2)作品の簡単な内容について(だれが何をどうする話など)。
  • 3)実際に読んで印象に残ったところ(本文にあった言葉などを引用する)。
  • 4)自分とくらべながら考えたことや感じたことをまとめる。

もちろんこれは決まったものではありません。
できれば、図書館などで、読書感想文の実例集など、同じ小学生が書いた優秀作を集めた本がありますので、「お手本」にしたいものを選んでみましょう。
書き方の手順をまねしてみるのも書き方の勉強になります。材料がちがっても、手順は参考にできます。感想文を書くことで、記述力もついていきます。
これも、受験生にとっては大切な学習になります。

付箋を貼りながら読むと、まとめるときに便利

読書をする時は、やや大きめの付箋(ふせん)を用意して使いましょう。
簡単な書き込みができる大きさのものを選び、読んで「おや!」と思うところがあれば、付箋を貼って読み進めます。「共感」「疑問」「発見」など、3色に分けるのも一つのアイデアです。
自分の心が動いた部分、気になる言葉、どう思ったか、などをメモして貼っておくと、後でまとめるときにとても便利です。

※図書館で借りた本の場合は、本を傷めないように、付箋ではなく「のりのついていないメモ用紙」などを利用しましょう。

まとめ & 実践 TIPS

読書感想文の宿題は、本を読むときも、感想文をまとめるときも、ある程度の時間をかけて取り組む必要があります。とくに中学受験で忙しいお子さまのいるご家庭では、計画的に取り組んでおくことをおすすめします。
この記事でご紹介した、入試問題によくでる作家の文章をじっくり読む機会として、読書感想文の課題を有効に活用してください。

ベネッセ教育情報サイトでも、小学生向けの読書感想文が書けるようになる方法をくわしく解説しています。この記事と合わせてぜひ参考にしてください。

プロフィール



森上教育研究所にて、長く国語入試問題の分析を担当。現在に至るまで、数多くの学習塾・予備校の国語テキスト、模擬試験を作成。30年以上続けている中学入試の国語分析は、もはや趣味として楽しむ領域。小学生向けの国語の問題・参考書の執筆多数。

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