問題文と設問(1)どちらを先に読むか?[中学受験合格言コラム]

生徒が国語の問題を解いているのを見ていると、その解き方にいくつかのタイプがあることに気が付く。
まず1番目は「問題文」を最後まで読んでから、「設問」を読んで答案用紙を埋めていくタイプである。このやり方が一番オーソドックスだとは思うが、近頃はなんでもかんでも多様化しているせいか、「当たり前の方法」とも言えなくなってきているようだ。

2番目としては、「設問」に目をとおしてから「問題文」を読む方法である。「何が、どのように問われているかを先に見ておく」ということでこの方法をすすめる先生方もいらっしゃると思うが、欠点もある。

そして3番目の方法としては、「問題文」を読みながら「設問」を解いていくやり方である。つまり「問題文」を読んでいき、出てきた傍線部が「漢字の読み」であればそれを解いて答案用紙を埋め、次の傍線部で「登場人物の心情」を問われたら、それを考えて解答するという方法である。接続詞を入れる穴あき問題など、設問が問題文上に散らばっている場合もあるので逆に煩雑な気もするのだが、傍線部周辺に対する記憶が新鮮なうちに設問を解けるというメリットもあるためか、このやり方で問題を解いていく生徒もいる。

さて、一番典型的な方法と思われるのが「問題文」を読んでから「設問」をやる方法だが、欠点はある。たとえば最近は問題文の字数が多くなってきているため、最後まで読んでから問題を解こうとすると時間が足りなくなる場合がある。
時間が足りないために記述問題まで手が回らなかったとか、選択肢をじっくり考えられなかったなどということになるため、「それなら問題文を読みながら設問を解いたほうがましだ」ということで、3番目の方法を選ぶ生徒が出てくるのであろう。

設問の種類によっても、最後まで問題を読んでからだと不利なこともある。たとえば「抜き出し問題」。問題文を最後まで読み終わり「さあ、解くぞ!」と思って設問に取り掛かろうとすると、「傍線部の○○○を具体的に言い換えている箇所を問題文中から10字以内で抜き出しなさい」などの設問が出てくる。「問題文を注意深く読んでいれば気が付くはず」ということで、それらの設問が出題されているのだが、文章が長くて読み飛ばしてしまった場合は、どこを抜き出せばよいのか見当がつかない。かくしてまた最初から問題文を読むことになるために他の問題を解く時間がなくなることもある。だからこそ2番目、3番目の方法で少しでも点数を上げようと考えるのであろうが、もちろんこれらの方法にも欠点はあるので、そんなに簡単には問題は解決しない。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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