記述問題が増えてきた?<国語>[中学受験]

2007(平成19)年度の国語の入試問題傾向を調べてみると、全体として記述問題が増えていることに気が付く。ここで話を正確にするために、いくつかの定義を行いたい。まず記述問題とは字数指定または字数指定をせずに、文字によって設問に答えさせる形式であるが、(1)字数指定が10字以下の場合は記述問題としなかった。 (2)本文から抜き出して書かせるタイプの設問は記述問題としなかった。また、記述問題数の増減を調べる方法としては、2006(平成18)年度と2007(同19)年度を比べて同じ学校の (3)記述問題数が増加している場合は「増加」、また (4)記述問題数が同じでも、字数指定が多くなっている場合もやはり「増加」とした。たとえば昨年の記述問題数が三つで、しかも字数指定が20字、30字、50字であった学校が、今年は20字、30字、80字という具合に字数指定が多くなれば「増加」とカウントした。またデータとしては、首都圏を中心とした中位から上位の70校の入試問題とした。

さて以上のような前提で調査した結果、昨年より記述問題が減少している学校は31.4%、変化なしの学校は27.1%、増加している学校は41.4%ということになった。ここで増加している学校と減少している学校の差を考えると、全体としては増加している学校のほうが多い(【表1】)。

【表1 記述問題の増減数】

今回調査したのは首都圏の学校であるため、全国的な調査ではないことはご承知いただきたいと思う。また全体として増加している学校が減少している学校より7校多いということだけで、「今年は記述問題が重視された」と断定するのは早計かもしれない。それよりも私が注目したいのは、変化なしが27.1%しかなかったということである。つまり、70%以上の学校が記述問題数を増加させたり、減少させたりしているのである。これは何を意味しているのかというと、問題文の難度調整のために記述問題の増減を行い、問題全体の難易度を調整しているように思えるのである。つまり各学校が受験生のレベルを考えながら、問題全体の難易度の調整という「模索」を行っているように見えるということだ。今後も「問題文を難しく」して「設問を易しく」するか、あるいは「問題文を易しく」して「設問を難しく」するかという模索は続くであろう。そして模索が続くということは、逆に言えば来年の入試問題が今年の傾向とかなり違う可能性もあるということだ。これを考えれば、記述問題に対する準備は(志望校の今年の問題にあまり出なかったとしても)おろそかにすべきではない。各学校のデータを細かく見れば、下記の例のように昨年に比べて記述問題が50%から70%と増加している学校も少なくないのである。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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