志望校と偏差値とモチベーションを考える その1[中学受験]

中学校入試も終わり、2010(平成22)年入試に向けて受験勉強をスタートする時期だ。志望校は決まっていると言うものの、実は、5年生の時に「第1志望」が決まっている人は少ないようだ。5年生を持つ受験生の保護者に聞いてみるとほとんどの人は、志望校は「目標とする学校」で、まだ本当に受験するかどうかはわからないということであった。実際に受験する第1志望は、6年生の後半になってから本人の偏差値と相談して決める場合も多い。確かに、受験生本人の偏差値が第1志望とかけ離れているのであれば、それも仕方がないかもしれないが、果たしてそれでよいのだろうか?

少しでも難易度の高い学校に我が子を入学させたいという気持ちはわかるが、親の希望を子どもに押し付けてもうまく行かないことが多い。本人の偏差値が第1志望とかけ離れている場合、親としては、奇跡的に子どもの成績が伸びてトップレベルの学校に合格できるだけの成績が取れるかもしれないと期待しつつも、ある部分では可能性は少ないとあきらめているところもあると思う。
このような中途半端な気持ちから親はストレスを感じるわけだが、そのストレスは子どもにも伝わる。親の本心はわかってしまうものである。子どもの側からしてみれば、親の期待には応えたいが、本当に自分にできるかどうか不安になる。子どもはストレスを感じながら、勉強することになるのである。

一般的に目標を設定してあげる時には、相手に「自分にもできそうだ」と納得させ、がんばろうという気持ちにさせることがポイントだ。目標は、高すぎれば相手をつぶしてしまい、低すぎれば怠けさせてしまう。「がんばれば、手が届くかもしれない」というぐらいの目標がちょうどよいのである。
もしも、目標校をあまりにも高い偏差値の学校に設定した場合、いつかは受験生本人の偏差値に見合った学校に第1志望を変更しなければならない時が来るかもしれない。受験が迫る6年生の秋に志望校を変更することになったとすればどうなるか、子どもの心理を考えてみてほしい。ただでさえストレスがたまる時期に、親の期待に応えられないという後ろめたさや、周囲がどのように自分を見るかを考えると、間違いなく勉強に対するモチベーション(やる気)が下がることになる。

子どもを前向きに勉強させるためには、チャレンジする目標が必要だが、あまりにも高い目標ではストレスを感じすぎて、モチベーションが下がることにもなる。偏差値を伸ばすためには、モチベーションを保ちつつ、できるだけ長期間勉強を続けることが必要だが、そのためには子どもが安定した気持ちになれる環境が必要となる。不合格になったらどうしようと考えてばかりいては勉強が手につかない。やはり、スタート時であるこの時期に「がんばれば、手が届くかもしれない」という学校を第1志望として決めてほしい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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