記述問題が苦手です。指定の文字数を守れなかったり、解答のポイントがずれたりします[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

国語の記述問題が苦手です。自分の言葉で指定の文字数にうまくまとめることができなかったり、
ポイントがずれた解答になっていることもあります。選択問題だと正解しますし、読書は大好きで長編小説も読むのですが、どのように勉強するとよいでしょうか?

相談者:小6男子(大ざっぱ・強気なタイプ)



【回答】

テクニックの習得と豊かな語彙(ごい)の構築が必要


■なぜうまく指定の文字数にまとめられないのか?

うまく指定の文字数にまとめられないのは、書く前の準備が十分になされていないからでしょう。書く前の準備とは、「何」を「どこまで」に書くかを決めておくことです。たとえば、書類に住所などを書く時のことを考えてみると、マスの中に極端に小さく書いてしまったり、途中まで大きく書きすぎて最後は文字が小さくなってしまったりすることがあります。このように書いてしまうのは、全体の構成を考えていないためにバランスが悪くなってしまうからです。与えられたスペースに、どのくらいの大きさで、1つひとつの文字をどこに書けばきれいに収まるか、意識してから書き始めているかどうかの差なのです。


■目安を決めてから書き始める。

記述問題の答案で文字数の指定がある場合は、どこまでに「文末」「キーワード(問われていること)」「キーワードの理由」などを書くか、大体の見当を付けてから書き始めましょう。登場人物の気持ちを問う問題なら、たとえば「文末」は「~気持ち。」で4文字、「キーワード」は「悲しい」で3文字になります。そして、全体の文字数の指定が30文字以内なら、残りの23文字が「悲しい気持ち。」になった「相手」や「理由」である「先生に厳しく注意されてしまって」を書くスペースになります。最初のうちは文字数をきちんと正確に数えてから書き始める必要がありますが、そのうち大体の目安で文字数の内に収められるようになると思います。また慣れてくると、途中まで書き進めていって文字数が足りないと感じた場合は、詳しい説明を加えることもできるようになります。たとえば、「先生に」を「普段は優しい先生に」にします。あるいは、文字数が多くなりそうに思えたら少し減らすこともできます。

たとえば、「注意されてしまって」を「注意されて」にすると4文字減らせます。このように、書き進めながら文字数を増減させることは最初はなかなかできませんが、練習を重ねていくうちに少しずつできるようになっていくでしょう。なお、準備に時間がかかるのを嫌がるお子さまもいると思いますが、何の準備もせずに書き始めると、書いては消しての繰り返しで上達は望めないことを理解させましょう。


■なぜポイントがずれるのか?

書いているうちに、ポイントがずれてしまうお子さまもいます。極端な場合、問いに答えていない答案になってしまうこともあります。なぜポイントがずれるのかと言えば、それは最初のほうを書いているうちに、後半にある「キーワード」や「文末」を忘れてしまうからです。たとえば、「どんな気持ちですか」と問われたら「惨めな気持ち。」とまずは押さえます。次に、そういう気持ちになった理由である「ライバルに負けてしまった(ため)」を本文から探していよいよ書き始めます。しかし、この理由を書いているうちに、いつの間にか「気持ち」や「文末」が変わって、たとえば「腹が立ったから。」などと「なぜ問題」になってしまう場合があるのです。これは、正しいキーワードや文末である「惨めな気持ち。」を頭の片隅に置きながら、そこを目指すようにして最初のほうの「理由」を書いていないからです。長い文章であればあるほど、最後のほうにある「文末」や「キーワード」を意識しながら、そこを目指して書いていくような気持ちで答案を仕上げましょう。


■テクニックと共に大切な語彙の豊かさ。

以上、記述を仕上げるためのポイントをいくつか述べてきましたが、これらはいわばテクニックと言ってもよいでしょう。記述問題の答案をより速く仕上げるためには、こうした技術をマスターする必要はあります。しかし、それだけでは足りません。それは、問われていることにぴったりの言い回しや表現をする必要があるからです。たとえば、主人公が嫌な気持ちになっているのはわかっても、より正確に「悔しい」のか「腹立たしい」のか、あるいは「惨め」なのかをとらえる必要があるということです。また、「腹立たしい」だったとしても、「ムッとしている」のか「憤慨している」のか、はたまた「腹わたが煮えくり返っている」のかという「程度」の違いがあります。このように、どのような、どの程度の感情なのかが正確に表現できていないと、だいたいの内容は合っていても減点されることになります。しかも、こうした減点は重なると全体では大きな失点になってしまうのです。

このように、問われていることに正しく答えるためには、豊かな語彙力も必要です。しかし、こうした語彙の知識は一朝一夕で培えるものではありません。やはり、日々の読書や、問題演習で、あるいは記述問題の模範解答で、使えそうな豊かな表現に出合ったら、辞書で調べるなどして都度自分のものにしていく努力が大切でしょう。コツコツと日々の努力を積み重ねていくことが、豊かな語彙の構築への一番の近道だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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