創造性は、「余裕」から生まれる ボーク重子さんに聞く!これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方 ~Lesson7 創造性

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ライフコーチのボーク重子さんに、子どもの「非認知能力」の育み方について、連載でお伺いしています。第7回の今回は、0から1を生み出す力、「創造性」についてのお話です。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q.親の言うことをよく聞く、素直でいい子なのですが、「次はどうしたらいい?」と聞いてくることが多く、自分の意志で動かないことが心配です。どうしたら、自分で考えて行動できるようになりますか?

管理される子どもは、自分で考えなくなる

ボークさん:「親の言うことをよく聞く素直でいい子」。まずはここを考えてみたいと思います。親の言うことを聞く素直でいい子は一見素晴らしいように感じますが、「指示されたことを指示されたように行う子」とも言えるかと思います。そうであれば、「次はどうしたらいい?」と聞くのも不思議ではありません。なぜなら、親の言うことを聞くのが、「いい子」ですものね。

その子が自分の意志で行動しないのは、親が指示することで自分で考えて行動する機会を奪ってしまっているからです。
親はよく子どものためといって、子どもを「管理」しようとしますが、管理すれば、「管理される」子どもになりがちで、親からの指示がないと自分で考えて行動できなくなってしまいます。
だからこそ、自分で考えて行動できるようになるには、保護者のかたが、「子どもを管理しすぎない」ことです。保護者のかたが変われば、自然と子どもも親に管理されない環境に慣れていきます。

子どもがやるべきことを、親がやってしまわないこと

自分で考えて行動するには、自分で自分のことを管理できるようになることが大切です。そのために親ができることは、子どもに「任せる」ことです。子どもがやるべきことと、親がやるべきこと。大事なことは、ここをしっかり分けて、子どもの仕事の領域に、親が踏み込まないことです。

子どもを管理したがる親は、子どもには「できない・任せられない」という前提でスタートしがちですが、やってあげればあげるほど、子どもが自分自身で挑戦する機会を失くしています。
やり方を教えてあげれば、たいていのことは子どもなりにできるようになります。大人のようにうまくはいかなくても、やっているうちに慣れてどんどんできるようになることも多いでしょう。
またできることが増えれば、自己効力感、「自分はできる!」という気持ちが高まり、少し難しいことでも挑戦してみようという気持ちにもなります。
大切なことは、子どもがやるべきことは、きちんと子どもにやらせるということです。また、自分で考えて行動するには、「創造性」も大事になってきます。

「創造性」は気付き、考えることから生まれる

「創造性」とは、クリエイティビティのことであり、「0から1を生み出す」ことです。
0から1を生み出すためには、「問題発見能力」が大事になります。
「問題発見能力」とは、「なぜこうなるのだろう?」「どうして、うまくいかないのかな?」「こうしたらどうなるかな?」と疑問に思う力であり、その疑問に対して、論理的に答えを導き出す思考法はクリティカルシンキングと呼ばれています。

人から言われたことをそのままインプットして、それを言われたようにアウトプットするだけでは、この力は育まれません。またこれからの時代、その仕事はAIが正確に行えるでしょう。
「あの人は、あそこで困っているのかな?」「どうやったら助けてあげられるかな?」そういったことに「気付き」、考えること。それこそがAIにはできない、人間が力を発揮できるところであり、これから求められる力です。

創造性で重要なのは、「余裕」

「なぜ?」と疑問に思うことからすべてが始まり、そこから問題を解決するためのアイデアが創造されます。だからこそ、創造性で重要なのは「考える時間」や「余裕」です。プログラムされすぎていたり、やることがいっぱいだったりすると、人はそれをこなすことに精いっぱいになり、疑問に思う余地がなくなります。

娘が入学したアメリカのボーヴォワール校では、小学3年生になるまでは宿題はゼロで、教科書もありませんでした。日本で生まれ育った母親である私は、この状況があまりにも心配になり、先生に「宿題は何かありませんか?」と尋ねたところ、先生からは「どうしても宿題が欲しいなら、毎日20分間空想してください」と言われました。
先生の言葉に半信半疑でしたが、それから小学6年生くらいまで、毎日20分間、この時間を作りました。その時間は勉強でも習い事でもなく、娘は好きな絵を描いたり、浴衣を着て踊ったり。何もせずぼーっとしていることもありました。

今思えば、この時間に娘は頭と体を休めたり、何かを作ったり、考えたりすることで、創造性を育んでいたのだと思います。先生は何もしないのはまずい、何かやらせなくてはと焦る私に「大事なことは詰め込むことではない」と教えたかったのだと思います。

子どもであっても、家の外に出れば、学校、友達関係、勉強、習い事……と、たくさんのことに取り組み、時には戦っています。そういった中で、効果的にリフレッシュするために、体を動かしたり、好きなことに没頭したり、リラックスする時間は、勉強することと同じくらい、それ以上に大事な時間です。

そのためにも、こなすことばかりに気を取られるのではなく、余裕をもつこと。それこそが、子どもの創造性を高めていくと思います。

まとめ & 実践 TIPS

親が子どもを管理しすぎることで、子ども自身の意欲や考える力を奪っていないか、考える必要がありそうです。また子どもの創造性を高めるには、いろいろなことを詰めこむのではなく、考える時間や余裕をもつことが大事なようです。

非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方

プロフィール


ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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