忘れ物が多い我が子へのサポート 忘れ物は成長のきっかけにもなる!?【教えて!赤ペン先生】

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2学期が始まって増えるお悩みが「我が子の忘れ物問題」。「何度言っても改善しない……」「2学期は1学期よりも荷物が増えてさらに大変!」と悩まれているかたも多いと思います。今回は、忘れ物が多いお子さまへのサポートを、お子さまの学習サポートのプロ「赤ペン先生」に教えてもらいました。忘れ物が成長のきっかけにもなるとは一体どういうことなのでしょうか。

この記事のポイント

お子さまが忘れ物をしてしまう背景は?

学芸会に、展覧会に、運動会……行事がたくさんの2学期は、1学期よりさらにお子さまの持ち物が多くなりますね。忘れ物をしないように気を付けさせたいけれど、どこまでサポートしたらいいのか、と迷っていらっしゃるかたも多いのではないでしょうか。忘れ物を減らして、学校生活を思う存分楽しんでもらうためのサポートのコツをお伝えしたいと思います。

(赤ペン先生 河原)

忘れ物ってイヤなものですよね。「しまった! アレ忘れた!」と気付いた瞬間からさまざまな思いが胸の中を駆けめぐります。第一に自分が困る。そして、人に迷惑をかけてしまうかもしれない。忘れたことを誰かに怒られるかもしれない。そんな思いを経験すると「次は忘れないように気を付けよう」という気持ちが芽生えるものだと思います。
お子さまが、たまに忘れ物をしてしまう程度でしたら、この「忘れ物をした時のイヤ~な感じ」がお子さま自身を成長させると考え、特別なサポートは必要ないかと思います。用意する物が多くてうっかりしたのかな、忙しくてちょっと疲れていたのかな、と大目に見てあげて大丈夫でしょう。

注意が必要なのは、日常的に忘れ物を繰り返しているような場合です。もしかするとお子さまは、例の「イヤ~な感じ」に慣れっこになってしまって、自分から「忘れ物をしないように気を付けよう」という気持ちになるのが難しいのかもしれません。そんなお子さまには、保護者のかたのサポートで、忘れ物しがちな日常をリセットしてあげるといいでしょう。

忘れ物を減らすポイントは、

その1.次の日の持ち物を把握していること
その2.次の日の用意をする時間をとっていること


の2点です。
忘れ物が多いのは、忘れっぽかったり、ものぐさだったり、注意散漫であったりするわけではなく、この2点が習慣付いていないことが多いと思います。小学校に入学したてのころにがんばっていた毎日の習慣を思い出してもらい、忘れ物をしていない気持ちよさを味わってもらう。それがサポートの大きな目的です。

忘れ物をしがちなお子さまへのサポートや声かけは?

お子さまがどんなふうに次の日の用意をしているか、一度目の前でやってみてもらいましょう。お子さまの機嫌がよさそうな日、おうちのかたがそれほど忙しくなくて比較的ゆとりのある日の夜に「今から明日の用意、一緒にしてみようか」と声をかけてみます。
「いきなりどうしたの?」と戸惑うお子さまをまぁまぁとなだめ、まずはお子さまの様子を見守ります。
ここでお子さまが「次の日の持ち物」を把握できていたらポイントその1はクリア。「そもそも、明日の用意ってどこを見たらいいの?」という状態であれば、一緒にそれを明らかにしていきましょう。
この時、必要な品々が探しやすく取り出しやすいかどうかも見てあげるといいですね。そうなっていない場合には、後日でよいので机まわりの整理も提案してみましょう。

翌日の夜にも「次の日の用意をしよう」と声をかけます。持ち物の把握ができていれば、声かけだけで済むかもしれませんね。声かけは、次の日の用意が習慣化するまで(ポイントその2が定着するまで)しばらく続けてあげましょう。初めのうちだけがんばれば、それほど時間はかからないと思います。

忘れ物をしていない気持ちよさをじわじわと実感し始めたお子さまは、やがて自ら次の日の用意を始めるようになるでしょう。そうなったらサポートはいったん終了です。あとはお子さまの自主性に委ね、一歩下がって見守りましょう。

忘れ物が成長のきっかけになることも

最後にもう一つ、おうちのかたにしかできないサポートをご紹介したいと思います。お子さまから「今日、忘れ物しちゃった!」と申告があった時には、「それでどうしたの?」とその先の展開をぜひ聞いてあげてください。
「友達に貸してもらった」「一緒に使わせてもらった」「次回やることになった」などなど、困った状況があって、その結果どんなことが起こったか、どんなふうに乗り越えたかをおうちのかたに話すことで、失敗の中に学びがあったことをお子さまは感じ取ることができるでしょう。

私の娘は、調理実習でおにぎりを作る日に、各自用意することになっていた「具」を忘れて登校しました。私自身、事前に聞いておきながら持たせることをすっかり忘れていたので、少々申し訳なく思いながら「で、どうしたの?」と尋ねると、娘は「梅干しを2個持ってきた友達に1個分けてもらった」と言いました。娘はきっと、お友達の優しさをずっと忘れないでしょうし、心温まる結末に私もうれしくなりました。

忘れ物をしないようにするのはもちろん大切ですが、忘れ物という失敗をどう乗り越え何を得られたかもまた大切だと思います。両方の面からサポートできる、と考えると、お子さまの成長が一層楽しみになるのではないでしょうか。

(赤ペン先生 河原)

他の保護者のかたが実践している忘れ物を減らす工夫をご紹介!

ここからは、ベネッセ教育情報編集部が保護者サポートアプリ「まなびの手帳」で行ったアンケートに寄せられた、保護者の皆さまの「忘れ物をしない工夫」をご紹介します。

1:確認を習慣化する

  • 「帰ってきてすぐ一緒に確認、用意をして、翌朝自分一人でもう一度確認するという動作を日々行って習慣化を目指しました」(兵庫県 小学1年生の保護者)

多かった回答が持ち物チェックをお子さまに習慣化してもらうアイデア。毎日繰り返すことで忘れ物が減らせるようになれば、保護者のかたの負担も軽くなりそうですね。

2:持ち物を「見える化」する

  • 「ランドセルの内側に、忘れ物注意の紙を貼っています。また、忘れがちな物には時間割に色を付けたり、忘れ物防止に持っていくものリストを作ったりしています」(福岡県 小学4年生の保護者)
  • 「子ども一人ずつにプリントや宿題等を入れるトレーのような箱を用意し、登校前には空にする習慣を付けています」(兵庫県 中学1年生の保護者)
  • 「ドアに『遊びに行く時』『学校に行く時』などの場合に合わせて、必要になるものを項目に分けて必要な理由も共に合わせて書いてあります」(福岡県 小学6年生の保護者)

次に多かったのが、リスト化するなどして、持ち物を把握するアイデア。「必要な理由も書く」ことで、「なぜ必要なのか」「ないとどう困るのか」をお子さま自身で把握でき、忘れ物をしないように注意する意識が芽生えそうですね。

3:便利ツールを活用する

  • 「AIスピーカーに翌日と当日の準備を促すリマインダーを設定しています」(福岡県 小学3年生の保護者)
  • 「寝る前と朝にAlスピーカーに忘れ物を確認する声かけをしてくれるように設定しています」(奈良県 小学1年生の保護者)

興味深かったのが、AIスピーカーなどを活用してリマインドしているという声。「スマートフォンのアラームに必要なものを書く」といった意見もありました。リマインダーを設定しておけば、「声かけを忘れちゃった」なんてこともなくなりますね。

その他、自主性を育てるため「子どもにあえて任せる」という意見もありました。今回ご紹介した方法を参考に、各家庭に合ったサポート法を見つけてみてください。楽しく充実した2学期になるよう応援しております!

(出典)

調査地域:全国
調査対象:小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた
調査期間:2024年8月8日~2024年8月19日
調査手法:WEBアンケートによるベネッセ調べ
有効回答数:417名

赤ペン先生 河原はるこ

河原はるこ

「赤ペン先生」歴11年。4年生担当。
高校生の時、「赤ペン先生」の心のこもった美しい字のおたよりに励まされた思い出があり「赤ペン先生」に。子どもたちへは、「まちがえるのは恥ずかしいことではない!」「どんどんまちがえましょう!」という思いを持ちながら、一生懸命に書かれた解答を尊重し、大切なポイントが一目でわかる指導を心がけている。
趣味:読書とフルーツ酢作り
自己紹介:のんびり屋、でも好きなことには熱い一面も。
中高生3児の母。

プロフィール



赤ペン先生は「進研ゼミ」の選考に合格し、ゼミ独自の研修・教育を通じて、教科の学習内容やお子さまの力を伸ばす指導法などを学んだ人です。 お子さま一人ひとりの解答状況や学習の到達度に合わせて、丁寧に添削・指導いたします。 ※「赤ペン先生」は(株)ベネッセコーポレーションの登録商標です。

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