マンネリ化しやすい自由研究 高学年らしくチェンジするためのポイント
どのようなテーマを選んでもよい自由さゆえに、難しい夏休みの自由研究。あれこれ悩んだあげく、ありきたりのテーマに落ち着いてしまうことも多いようです。高学年らしくクオリティーの高い自由研究にするためには、どのようなポイントを心がけるべきでしょうか。
自由研究をがんばると、どんな力が育つ?
夏休みの宿題として昔からある自由研究ですが、学習指導上、明確な狙いをもって課されている学習活動です。しっかり取り組むことで成長のきっかけにもなりますから、気を抜かないようにしたいものです。
まず、自由研究がどのような力につながるのかを確認しましょう。
自由研究の大きな目的は、テーマ選びや研究の過程を通し、それまでに学校で学んだ内容や方法を活用することで理解を深めることです。例えば、夏休みの自由研究として植物の観察をするとしましょう。授業と違って先生はいませんから、理科の授業で習ったことを思い出し、自分なりに知識や技能を活用する必要があります。ときには教科書を引っ張り出して、復習する必要もあるでしょう。こうした過程を通して、学校で学んだ内容がしっかりと身につくというわけです。
そして、自分がやりたいことを独力でやり遂げる経験を通して、満足感が得られることも見逃せません。自分でテーマを設定し、研究や調査を進め、作品としてまとめるのは容易ではなく、その半面として完成したときは達成感が得られます。こうした経験が自信につながり、「自分もがんばればできる」「苦労のあとには喜びが待っている」など、学習に対して前向きな気持ちが生まれるはずです。
保護者は口や手を出し過ぎないことが肝心
こうした自由研究の狙いを考えると、保護者が主導してテーマを決めるなど、口や手を出し過ぎるのはよいこととは言えません。子ども自身が取り組む「過程」が大切なのだと心がけましょう。特に高学年になると徐々に自立心が芽生え、自分の力でチャレンジしたいという気持ちも高まってくるはずです。保護者としての役割は、子どもがどうしても前に進めないときなどにヒントを与える程度なのだと心得てください。
とはいっても、「放っておいたら、いつまでも進まない」というご家庭もあるかもしれません。そういう場合は、「○日までにテーマを決めて、○日までに終わらせようね」と確認するなど、ある程度、保護者がスケジュールを管理してもよいでしょう。それでも、テーマを決めたり、研究や調査をしたりする場面では、できるだけ保護者が介入しないようにすると、子どもの「自分の力でできた」という実感は強まりやすくなるでしょう。
【テーマ決め】ありきたりではないテーマを見つけるには?
続いて、最初の難関であるテーマの決め方についてご説明します。
毎年、同じようなテーマに取り組んでマンネリを感じている子どもが少なくないようです。「とりあえず提出できればいいや」と、まとめやすいテーマを選んでしまうからでしょう。こうした決め方では、本来の自由研究の狙いは達成されにくくなります。
自由研究のテーマ決めは、子どもの興味を出発点にするのが大前提です。あなたのお子さまは、どのようことに興味をおもちでしょうか。勉強の教科でも、習い事でも、スポーツでも、遊びでも、日常の疑問でもかまいません。子どもの発想を促し、興味からテーマになりそうなことを見つけましょう。
例えば、子どもがサッカーに夢中なら、サッカーやワールドカップの歴史を調べるといったテーマが思いつきます。さらに世界中のサッカー選手のトピックを集め、みんなが読みたくなるような「サッカー新聞」を作るといった活動も考えられるでしょう。また、ボールがカーブする原理を調べれば立派な理科の研究になりますし、自分を実験台にしてドリブルのスピードを速くする方法を考えてみてもおもしろいテーマになるのではないでしょうか。
子どもへの声かけでは、発想を否定しないことが大切です。大人の視点から立派な研究にしようと発想の誘導をしても、子どもにとって興味深いテーマにはなりません。子どもが現実的に難しそうなテーマにしようとしている場合でも、「無理だよ」などと否定せず、「どうすれば調べられるかな?」「○週間くらいで終わりそう?」などと、具体的な進め方をイメージさせて軌道修正をするように促しましょう。