計算練習だけでよい?今の子どもたちが算数・数学を楽しく取り組めるようになるために育みたい力とは?
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「計算ワークやドリルに取り組んでいれば算数は大丈夫!」
そんな言葉を耳にすることがあります。算数は本当に計算練習だけをやっていればよいのでしょうか。今の子どもたちが楽しみながら算数の学習を進め、中学に入っても使える数学力を身に付けるためには、計算力だけではない他の力も必要になってきます。
今回は、中学以降も数学を楽しめるような力を養うためにどのような練習が必要なのかについて紹介します。
今の子どもたちが受けている算数・数学の授業
文章題の問題の場合、保護者世代が受けてきた算数の授業では、適切な式を立てて、その計算結果から正しい答えが求められているかが重要視されていました。
下の例の場合、2970円とそれを求める式が正しく書けていることが重要でした。
しかし、今の子どもたちが受けている算数の授業では、式や答えが正しく書けているかに加え、どのように考えたのか、その思考の過程を子どもたちどうしで共有することを大切にした授業展開がなされています。
上の問題の場合、小学校で学ぶ知識だけでも<考え方A>から<考え方C>までいろいろな考え方で解くことができ、子どもによって解き方はさまざまです。これらの考え方を子どもたちどうしで共有する時間をしっかりと確保した授業が行われています。こうした授業では、子どもたちが論理的に説明する力を身に付けたり、話し合いを通じてよりよい考えに高め合ったりすることを目指しています。
このように、問題解決の過程や結果について伝え合う活動を取り入れることが学習指導要領内でも明記されており、小学校に限らず、中学校でも同様の傾向にあります。
また子どもたちどうしで思考の過程を共有する際には、口頭での説明に限らず、ノートに書いた考えを友達と交換して共有するなど、さまざまな方法がとられます。
このように、話し合ったり、ノートに書いたりして思考の過程をしっかりと共有できるようになるためには、自分の考えを正しく・わかりやすく表現する能力が必要となります。
- ・小学校・中学校ともに、どのように考えたのか、考え方を共有し、伝え合う授業が行われている。
- ・考えを共有し、伝え合う授業では、自分の考えを正しく・わかりやすく表現する能力が必要。
自分の考えを正しく・わかりやすく表現する力を養うために必要な練習
自分の考えを正しく・わかりやすく表現する力は練習することで上達します。
まずは、自分の考えを紙に書いて、その文を直すところから始めましょう。
文を直す際、特に下の2つについてしっかりと記述できているかを確認してみてください。
たとえば、先ほどの問いの<考え方A>を例に、上の2つのポイントに注意して説明すると、次のようになります。
下線①の部分は【問い】に示されている数で、下線②は求める式の説明になります。
このように、上記の2つのポイントに注意して自分の考えを書いてみることで、読み手に説明が伝わりやすくなります。何度も書いて直す練習を繰り返すことで、正しく・わかりやすく自分の考えを表現することができるようになっていきます。自分の考えを書いて直す練習をぜひお子さまと一緒に実践してみてください。
文章で書けるようになると、口頭で説明する時もどのような順序で話せばよいかがわかってきます。口頭での説明を上達させるためにも自分の考えを書く練習はおすすめです。
また、公立中高一貫校や最近の私立中学校の入試にも取り入れられている「適性検査型」の入試問題では、多くの学校で考えを記述する問題が出ています。そのような問題の模範解答を参考にしながら自分の考えを書きまとめる練習をするのもよい方法です。ぜひやってみてください。
- ・まずは自分の考えた過程を紙に書いて、その文を直すところから始める。
- ・文を直す時は「どこの数を扱っているか?」「何を求める数か?」を意識する。
まとめ & 実践 TIPS
今回は、今の子どもたちが算数・数学を楽しく取り組めるようになるためには、自分の考えを正しく・わかりやすく表現する能力が必要であること。その力を養うためには、自分の考えを紙に書いてその文を直す練習を積み重ねる必要があることを紹介しました。
計算問題ができることが大きなアドバンテージであることは今も変わりません。
しかし、それをしっかりと子どもたちのやる気や達成感につなげ、楽しく学習に取り組めるようにするためには、子どもたちの置かれた環境に合わせて能力を育む必要があります。今回紹介した「自分の考えを正しく・わかりやすく表現する能力」を育むことで、中学以降も楽しく数学の学習に取り組めるようになりましょう。
株式会社プランディット 数学課 赤坂
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの算数・数学の教材編集を担当。
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