【2025年度大学入学共通テスト】英語の分析と対策は?

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2025年1月18日、新しい学習指導要領の下での大学入学共通テスト(以下、共通テスト)英語が実施されました。
リーディングでは、大問数増など構成に変化はあったものの、昨年度に引き続き全大問が読解問題で出題されました。全体をとおして、英語を用いるさまざまな媒体・シチュエーションの英文を読み取る力が求められました。

以下では、2025年度の共通テスト『英語』の分析と、次年度以降の対策についてお伝えします。

この記事のポイント

【リーディング】大問数が8へと増加するも、解答数は減少&やや易化

まず、リーディングについてお伝えします。
リーディングについて、特筆すべき内容は主に以下の3点になります。

  • ■全大問が読解形式で出題され、新傾向として文章を推敲させる出題がみられた
  • ■大問数は増加、素材文語数は約4,200語と昨年度から約700語減少
  • ■パンフレット、ブログ、レポートの草案、プレゼンテーション資料など、さまざまな媒体の読み取りが求められた

全大問が読解形式で出題され、新傾向として文章を推敲させる出題がみられた

昨年度に引き続き、全大問で読解問題が出題され、センター試験で出題されていた文法や発音問題は出題されませんでした。
全大問での読解問題出題は、共通テスト初年度(2021年度)から5年連続となります。

リード文・問題文・選択肢のすべてが英語で記載されているため、本文だけでなく、リード文から場面設定を正確に読み取る英語力も求められました。

出題内容としては、第4問で文章を推敲し、修正内容として適切なものを選ぶという、新傾向の出題もみられました。

大問数は増加も、素材文語数は約4,200語と昨年度から約700語減少

今年度は大問数8、解答数44の出題でした。
大問数は昨年度から2つ増加、解答数は5つ減少となりました。
また、素材文語数は約4,200語で、昨年度から約700語減少しました。
昨年度までは各大問内でAパート・Bパートとさらに分割されての出題でしたが、今年度はA/Bの区分はありませんでした。そのため、全体の語数は減少したものの、1テーマあたりの語数が増えている大問もあります。一方で、語数が減少したことでより正確な読み取りが求められ、内容把握が難しくなった大問もありました。

たとえば第6問の物語文は、本文の語数は昨年度と比較して大幅に(約260語)減少しました。しかし、物語が時系列順に述べられていないこと、また登場人物の関係性をメモや本文の内容から正確に読み取る必要があったことから、苦戦した受験生も多かったと思われます。

パンフレット、ブログ、レポートの草案、プレゼンテーション資料など、さまざまな媒体の読み取りが求められた

リーディングの各大問では、以下のような媒体・題材の読み取りが出題されました。

第1問 パンフレットの読み取り・「初心者用の家庭用の水槽」
第2問 ブログの読み取り・「空飛ぶクルマ」
第3問 記事の読み取り・「コンテストに応募したバンド」
第4問 レポートの草案の読み取り・「スローライフの勧め」
第5問 メールの読み取り・「ローカルビジネスに関する会議」
第6問 物語文の読み取り・「超能力を持つ少年が成長する様子を描いた物語」
第7問 論説文の読み取り・「動物の睡眠のパターン」
第8問 プレゼンテーション資料作成のための意見文の読み取り・「宇宙開発の是非」

第5問は、「ローカルビジネスに関する会議」の開催準備での2通の打ち合わせのメールの読み取りが出題されました。ここでは、会議会場の座席レイアウトをメールの内容から判断する問題も出題されました。
昨年度に引き続き、明確に答えとなる記述がない内容に関して、推論から判断する問題が出題されています。

第8問では、「宇宙開発の是非」に関して3つのステップでエッセイを完成させる問題が出題されました。
ステップ1で5人の意見文を読み取り、ステップ2でその内容を踏まえて論点を整理して自分の立場を設定し、ステップ3でエッセイのアウトラインを完成させる、という構成です。
ステップごとで問われている内容をしっかり吟味したうえで解答し、先に進む必要がありますが、最終問題のため制限時間も意識する必要があり、総合力が試される出題でした。

全体をとおして、日常的なコミュニケーションや実際に英語を使用する場面、かつ「自分の立場」を意識した設定が多く、実践的な英語力が求められました。

【リスニング】難易度は昨年度並み。第6問Bの話者数が3人に減少

次に、リスニングについてお伝えします。

  • ■大問数・解答数・問題量ともに、昨年度から変更なし
  • ■第6問Bの話者が3人に減少

大問数・解答数・問題量ともに、昨年度から変更なし

昨年度同様、第1問・第2問は音声が流れる回数が2回、第3問~第6問は音声が流れる回数が1回の問題が出題されました。

大問数や解答数に変化はなく、例年どおり音声情報の聞き取りとともに、記載された図表やワークシートの読み取りが必要な問題が多く出題されました。

第5問では、「贈答文化」についての講義を聞き、ワークシートを完成させる問題が出されました。
問27~問31は聞き取った英文の内容から、ワークシートの空欄にあてはまるものを選ぶ問題でした。問28~問31は昨年度に引き続き、6つの選択肢を複数回使用可能な問題が出題されました。ただし、同じ選択肢が2回以上正答となることはありませんでした。「贈答文化」という社会学的な話題を聞き取りにより、講義の内容をしっかりと把握できるかどうかが正答を導く鍵となりました。

第6問Bの話者が3人に減少

第6問Bでは、「野生の鳥にえさを与えること」について3人の学生たちの会話を聞き取る問題が出題されました。

昨年度までは、4人の話者による会話文が出題されていた第6問Bですが、2025年度は話者が3人へと減少しました。話者が1名減ったことで、昨年度よりも声と登場人物を一致させやすくなり、それぞれの人物の意見や立場を整理しやすくなりました。過去問題と比較して、やや聞き取りやすく感じた受験生も多かったと思います。

次年度以降に向けて、どのような対策が必要か?

2025年度の共通テストを経て、次年度以降にどのような対策が必要かを、リーディング・リスニングそれぞれにまとめると、以下のようになります。

  • ■リーディング:語数は昨年度より減少も、引き続き速読力が求められる。文章の要旨をすばやく把握したうえで、解答根拠となる部分を正確に読み取れる力が必要
  • ■リスニング:要点を整理する力と、他の表現への言い換えに気づく柔軟な思考を養う必要あり

リーディングは、昨年度から全体の語数は減少したものの、90分の試験時間に対して4,000語以上の読解が求められており、文章の要旨をすばやく把握する力は引き続き求められています。
また、選択肢の正誤を判定するために、解答根拠となる部分を正しく読み取る、精読力も求められます。
日頃から読解問題では時間を意識した演習を心がけること、そして学校や日常生活で起こりそうな場面設定での、さまざまな英文に多く触れることを意識しましょう。

また、かつてのセンター試験で出題されていたような、文法をストレートに問う問題はないものの、文意を正しく理解するために基本的な語彙(ごい)力・文法力を身に付ける必要があります。語彙力・文法力という英文読解における基礎を鍛えたうえで、複数の資料を精査して読み取る問題の演習を多く取り入れ、情報を迅速に処理する力を養うことが大切です。

リスニングは、1回読みの問題が半数以上を占めています。
そのため、場面の詳細な設定や、与えられた資料・図表を聞き取った情報と併せてすばやく整理し、解答する力が必要です。解答に必要な情報をスムーズに把握できるよう、さまざまな1回読みのリスニング問題に取り組みましょう。リーディングと同様に、複数の情報を統合して答えを導き出すというプロセスが求められるため、リーディングの演習もリスニングの対策につながります。

また、リーディング・リスニングともに、与えられた情報が選択肢では他の表現に言い換えられています。そのため、言い換え表現の知識を増やすべく、日頃からさまざまな英語表現に触れる演習も有効です。

まとめ & 実践 TIPS

大学入学共通テストの英語は、例年リーディング・リスニングともに実践的なコミュニケーションの場面が想定された問題が多く出題されます。今後も、英語の≪言語としての機能≫を意識した出題が続くと想定されます。
日々のコミュニケーションの中でも、話し手の意図や文章の要点をすばやくつかむことを意識しましょう。

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