電動キックボードに子どもは乗れる?
- 教育動向
街中で見かけるようになった立ち乗り二輪車「キックボード」。ちょっとした移動が快適にできる、とブームになっています。電動タイプは自治体がシェアリングサービス事業で導入するなど、エコな乗り物としても注目を集めています。この電動キックボードに、子どもは乗れるのでしょうか? 実はタイプにより、乗り方のルールが違います。実際に乗る際の注意点などを見ていきましょう。
この記事のポイント
非電動とは大きく違う
電動キックボードは、バッテリーでモーターを駆動させて走ります。片足で地面を蹴って助走を付けて乗りますが、その後はハンドルに付いているアクセルとブレーキで操作します。定格出力0.60キロワット以下の電動キックボードは、道路交通法上では原付扱いの「車両」に該当します。非電動のキックボードが「遊具」にあたるのに対して、大きな違いとなっています。
公道を走るには免許が必要
電動キックボードは車両であることから、乗る人には、法律で▽運転免許が必要▽歩道ではなく車道を通ること▽道路の左側を走ること▽信号ルールを守ること▽ヘルメットの着用……などが義務付けられています。無免許運転には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
電動キックボード自体も、保安基準に適合するよう、ブレーキや前照灯、後写鏡、ウインカーなどの部品を備えていなければなりません。ナンバープレートの取り付けや、自賠責保険の契約も結ぶ必要があります。
つまり、子どもが電動キックボードに乗って公道を走ることは、今のところできません。
法改正で安全性は
「今のところ」と言うのには、理由があります。2022年に、道交法が改正されたからです。改正法では電動キックボードの一部を「特定小型原動機付自転車」と新しい区分にして、16歳から免許なしでも乗れたり、ヘルメットの着用を努力義務にしたりするなどの規制緩和が行われました。
現状では法律がまだ施行されていないため、16歳の子どもが乗れるわけではありません。施行は2023年7月からと発表されており、今後、電動キックボードは高校生にとって身近なものになる可能性もあります。ただ、一部では電動キックボードに関する正しい知識が広がっていないため、事故や安全性を心配する声も上がっています。
まとめ & 実践 TIPS
公園で子どもたちが遊んでいるキックボード(キックスケーター)は、自分の足で動かす非電動タイプがほとんどです。ローラースケートなどと同じで、使用が許可されている公園や広場などで遊べますが、交通の頻繁な道路での使用は禁止されています。
非電動だから安全だというわけではなく、スピードの出る乗り物ですから、大人が目を離さず、安全に遊ぶようにしたいものです。
学校では今後、通学路での事故防止のためにも、キックボードなど新たな移動手段も含めた交通安全指導をしていく必要があるでしょう。
(筆者:長尾 康子)
※警視庁 「電動キックボードについて」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/kickboard.html
※警察庁 「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集について
https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20230117001.html
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