プログラミングだけじゃない高校の「情報」

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大学入学共通テストに2025年から、教科「情報」が出題されます。2022年度以降に入学した高校生が学ぶ新しい学習指導要領に対応したもので、これから高校に進学する小中学生にも避けて通れない教科です。勉強するのは、パソコンの操作やプログラミングだけではありません。どのようなことを学ぶのでしょうか。

この記事のポイント

文理問わず全員が同じ内容を学ぶことに

高校の共通教科「情報」自体は20年以上前からありましたが、当初から文系的な科目も用意されていました。2013~21年度に入学した学年(22年度の高校2・3年生)も「社会と情報」「情報の科学」のいずれか1科目を選択して、必ず履修することになっていました。
それが新指導要領では「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」に改編され、そのうち情報Ⅰが共通必履修科目となったことから、注目を集めるようになりました。
必修化の背景には、人工知能(AI)をはじめとした、高度な情報技術の進展があります。たとえば新型コロナウイルス禍で「顔認証」に代表される非接触技術が進化したように、社会の課題を解決するため、今やテクノロジーは欠かせません。そこで新指導要領では、情報や情報技術を問題解決に活用する力を、文系・理系を問わず共通に育てていくことにしたのです。

データ分析やシミュレーションで思考力・問題解決能力も

高校「情報Ⅰ」では、「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」の4項目を学びます。
実習としては、プログラミングはもとより、情報デザインやデータ分析、シミュレーションもあります。さらに情報と社会の関係や、インターネット上の情報セキュリティーなどについても学びます。
つまり、コンピューターの使い方を覚えるのではなく、コンピューターを使って思考力や問題解決能力を伸ばすことが、「情報Ⅰ」の目的なのです。

指導内容や体制には依然課題

「高校で急に必修と言われても無理」だと思う保護者もいるかもしれませんが、中学校「技術・家庭科」の技術分野では、プログラミングやインターネットの仕組みを学びます。小学校では、プログラミング教育も導入されています。現行指導要領では、小中高をとおして子どもたちがテクノロジーに触れる一貫した形が、ひとまず確保されているのです。
課題もあります。中学校での授業時間数が少ないことに加え、小学校でのプログラミング教育が各教科の中で学ぶことになっているため、実施内容はまちまちです。高校では情報科以外の教員免許を持つ先生が教えているケースもあり、情報Ⅰを履修したあとに学ぶ情報Ⅱへの影響も懸念されます。

まとめ & 実践 TIPS

文部科学省は、指導体制の課題は中学校でも同様だとして今後、実態把握に乗り出す方針を出しています。
生徒にとって、プログラミングのように情報や技術を使ってデジタルなものづくりをしたり、問題解決をしたりする取り組みは、わくわくするもののはずです。教科の枠組みが整った今、その楽しさを多くの高校生が味わえるよう、環境整備が急がれます。

(筆者:長尾 康子)

※ 文科省 高等学校情報科に関する特設ページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416746.htm

大学入試センター 令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等「情報」
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou/r7mondai.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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