ひとり親の教育資金【Q&A】

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さまざまな事情があってひとり親になったかた、これからひとり親になる可能性のあるかたは「知ること」でいろいろな準備や相談先も見つかることがあります。
この記事では、そのような状況の方々からファイナンシャルプランナーに寄せられるご相談の中から多いものをご紹介し、Q&A式で解決策をアドバイスします。

この記事のポイント

Q1.ひとり親でも子どもを大学に通わせてあげられますか?

A:大丈夫です。

2020年度から「高等教育の修学支援新制度」(大学等無償化制度)も整い、母親がパートや派遣社員などで収入が少なく、住民税が非課税であれば大学(一部専門学校)も授業料は無償化され、授業料以外の費用は給付型の奨学金が使えるようになり、年間100万円程度は準備ができるようになりました。
もちろん、所得が要件を超えても、貸与型の奨学金や、企業などの個別の奨学金など、子どもが学びたいと思うのであれば、たくさんの選択肢があります。
貸与型の奨学金を利用しても、就職後に返済を肩代わりする企業や自治体も年々増えています。留学にも国費や奨学金が使える制度もありますので、さまざまな制度を活用して進学をすることは十分可能です。

Q2.養育費はきちんともらえますか?

A:現状で養育費を受け取っている母子家庭は約30%(平成28年度・全国ひとり親世帯等調査)となっていて、半数以上が養育費を受け取れていません。

養育費は口約束で決めずに、公正証書や、裁判所を通じて決めておけば、相手が決められた養育費を払わない場合に、給与等を差し押さえることができます。
差し押さえの手続きは一度行えば、翌月から自動的に給与から差し引かれて振り込まれてきます。もし相手が自己破産をしても、養育費は免責にはならず、自己破産後も収入から差し押さえることができます。
養育費は子どものための費用です。パートナーにもきちんと負担してもらうように、しっかりした手続きをしておくとよいですね。

Q3.ひとり親になったのですが、住むところにより、何か違いはありますか?

A:あります。

ひとり親の支援は自治体独自の制度が多く、住所地がひとり親や、子育て支援に力を入れている行政であれば、さまざまな制度が利用できます。
特に東京都については「児童育成手当」が子ども一人当たり月額13,500円を18歳になる年度末まで支給されます(所得制限がありますが比較的高い水準で設定されているので、受け取ることができる人が多い)。塾の費用の助成や、住居手当などさまざまな制度がありますので、住む場所が自由に決められるのであれば、いくつか調べてみることをおすすめします。

Q4.離婚に悩んだらどうしたらよいのでしょうか?

A:離婚は家族や親族まで巻き込むような大きな決断です。慌てずに、じっくり考えてから結論を出してください。

パートナーのDVや、一緒に住むことが困難な場合でも、自分に収入がない場合は家を出ることも難しいですね。こんな時には、自治体にシェルターのようなものがあるか確認をしたり、実家や知り合いの家に身を置いたりすることもできるかもしれません。
離婚前でも、相手には婚姻費用を支払う義務があるので、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」の申し立てができます。費用は切手代を含めて2,000円程度で、弁護士に依頼をせず、自分で申し立てができます。裁判所で決められた婚姻費用は、養育費と同じで、相手の収入から差し押さえることができます。
離婚まで時間がかかりそうな時には、申し立てをした時から支払いの請求ができるので、早めに裁判所に手続きに行ってみてはいかがでしょうか?

Q5.今はパートで働いています。今後のことを考えてキャリアアップをしたいと思っています。何かよい方法はありますか?

A:ひとり親のキャリアアップは政府も力を入れています。いくつかの例をご紹介します。

たとえば「自立支援教育訓練給付金」では、対象になる資格の訓練に使った費用の60%(最高20万円)の補助が、雇用保険の専門実践教育訓練給付の対象になる講座を受講した場合は、修学年数×40万円、最大160万円)が支給されるという制度があります。
また「高等職業訓練促進給付金等事業」では、資格取得のために修業する場合、月額10万円(非課税世帯)または7万500円(課税世帯)が修業期間中の生活費として支給されます。
看護師、保育士、社会保険福祉士等の資格取得の場合は、それぞれ独自の奨学金の制度もあり、資格取得後、5~7年程度地域でその仕事に就いた場合、奨学金の返還の免除が受けられる制度もあります。
資格があると収入アップだけではなく、長く働くことができることが多いので、子育てをしながら自分のキャリアも育てられるとよいですね。

まとめ & 実践 TIPS

ひとりで子育てをしていくことは、お金の面でも、精神的な面でも大きな不安と負担を抱えることが多いのですが、ひとり親や、子育てにはさまざまな利用できる制度があります。
まずは居住地の役所のHP等で、情報を収集したり、当事者などの集まりで先輩の話を聞いてみたりすることも安心につながります。
使える支援制度を上手に活用しながら、お子さまと一緒に安心した生活を送れますように。

関連記事:
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中島智美

ファイナンシャル・プランナー、保育士、調理師
ひとり親のための教育費、ライフプラン、相談員研修の講師。
認定NPO法人しんぐるまざぁずふぉーらむアドバイザー
https://www.single-mama.com/
ひとり親で大学生2人の子育て中。2020年五島列島の奈留島に移住。

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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