ひとり親家庭への支援制度 利用できる給付の金額や条件も解説 子どもの教育費、どう考えていけばよい?
子どもが大学進学を希望していても、ひとり親で教育費の準備ができるか不安に思っている人も少なくないでしょう。
ひとり親が利用できる制度や、教育費の考え方をご紹介します。親子で進学について考えるときにお役立てください。
・ひとり親が利用できる貸付金制度(母子父子寡婦福祉資金)
ひとり親として利用できる貸付金制度に「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」があります。
保証人が準備できれば無利息で利用できますし、保証人が見つからない場合も年1%という低金利で貸し付けを受けられます。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/23.html
母子父子寡婦福祉資金
貸し付けを受けるには、各自治体や取扱団体に相談に行く必要があります。
面談等が必要になりますので、資金が必要になる数か月前からの準備が必要です。
大学の進学資金が必要であれば、夏には推薦入試などが始まりますので、できれば高校3年生になるころから相談をして、準備を始めてください。
その他国民政策金融公庫の教育一般貸付についても、ひとり親家庭の場合は、金利・返済期間・保証料の優遇があります。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html
国民政策金融公庫
お金を借りるときには、できるだけ無利息で、それが難しい場合も金利の低いものを選ぶのがポイントです。
授業料無償化
・私立高校、大学無償化とは
2020年から全国的に私立高校の無償化が始まりました。
これにより今までの公立高校の授業料無償化に加え、私立高校の授業料も実質無償化されました(所得要件あり)。
しかし注意が必要なのは私立高校の場合、授業料の他にかかる、施設費・修学旅行積立金・PTA(父母会)会費などの費用が公立に比べ高額なことです。
また義務教育ではないので、教科書やテキスト代、通学の定期代、昼食代など中学生の時には必要のなかった費用もかかります。
クラブ活動のために進学先を選択した場合、遠征費やユニフォーム等の費用がかかるので、希望する進学先がある程度絞れるようになったら、それらの費用も確認してみましょう。
奨学金の利用を考えると高校進学時から準備が始まる
・学生支援機構の奨学金
奨学金といえば「日本学生支援機構」が有名ですが、学生支援機構の奨学金には給付型(返還不要)の奨学金と、貸与型(返還が必要)の一種と二種があります。
給付型が利用できない場合は貸与型の奨学金を利用しますが、一種は無利息、二種は有利息です。できれば一種の無利息の奨学金を利用したいところです。
第一種の要件は、高校3年間(申請が3年生の5~7月なので、実質2年生まで)の成績が5段階中、3.5以上であることです(非課税世帯の場合は校長推薦も可)。
そのため、大学進学を視野に入れるのであれば、高校入学時点から準備が始まるということになります。
「借金を背負ってまで大学に進学する必要があるのか」という意見もあります。
学生支援機構のHPに「地方創生の推進」「企業による奨学金返還支援制度」というページがあり、返還を肩代わりしてくれるさまざまな自治体や企業が紹介されています。
興味のある自治体や企業があれば、貸与型の奨学金を利用することも悪いことではないと思います。もちろん思い通りに就職ができない場合もあるので、その時には働きながら返済をする必要があります。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/chihoshien/sosei/index.html
地方創生の推進
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/kigyo/index.html
企業による奨学金返還支援制度
進学方法はいろいろある
昨年、コロナ禍により大学の授業が一斉にオンラインになりました。いままでのように大学のキャンパスに通い、多くの仲間と切磋琢磨しながら勉強したり、アルバイトで社会経験を積んだりするということができなくなりました。
大学の費用は、自宅通学の場合、私立大学文系で100万円程度、理系で150万円程度かかりますが、通信制であればかなり費用が下がります。
もし大学に行く目的が「勉強をする」ことであれば、今後は通信制の大学も選択の一つになります。通信制であれば今まで進学をあきらめていた、地方に住む高校生にもチャンスが格段に広がります。
また数は少なくなりますが、大学には夜間部(2部)もあり、日中働いて、夕方から大学に通うということもできます。学費は昼間部の約半分で、同じ内容の授業を受けることができます。
現在のところ、大学の無償化は年収要件(資産要件もあり)が厳しく、非課税世帯であれば全額免除になりますが、決して生活をするのに十分ではない収入であっても、無償化の枠を超えてしまう人も少なくありません。
進学の選択肢は多様化してきました。「お金がないから進学をあきらめる」ということはありません。学びたい気持ちがあれば、いくらでも手段はあります。お金を理由に進学をあきらめないでほしいと思います。
相談窓口
・ひとり親の相談は各自治体のひとり親支援
・日本FP協会の相談
https://www.jafp.or.jp/confer/
・ゆうちょ財団のひとり親相談
http://www.yucho-shien.com/kakei/index.asp
まとめ & 実践 TIPS
ひとり親の場合、子どもが18歳になるまでは所得に応じて「児童扶養手当」など手当がありますが、子どもが高校卒業後は手当や、利用できる制度がなくなります。
大学の費用はもとより、自分の生活を自分の収入で支えるようになることが大切です。ひとり親が利用できる「自立支援教育訓練給付金」「高等職業訓練促進給付金」などもあります。
私自身も子育てをしながら大学の夜間部に通い勉強をしたり、自立支援教育訓練給付金を使い調理師の資格を取得したり、足りない学費を母子父子寡婦福祉資金で借りたりしてきました。
子どもの学費の心配ももちろんですが、子育て終了後の自分の生活のためにも、子育て中に自分自身の教育(スキルアップ)もぜひ考えてみてください。
中島智美
ファイナンシャル・プランナー、保育士、調理師
ひとり親のための教育費、ライフプラン、相談員研修の講師。
認定NPO法人しんぐるまざぁずふぉーらむアドバイザー
https://www.single-mama.com/
ひとり親で大学生2人の子育て中。2020年五島列島の奈留島に移住。
出典
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062986.html
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