心と体の発育 (4)ひげ、声変わり……男子の二次性徴

小学校高学年~中学生にかけて、大人の体へと変化しはじめる子どもたち。男の子は声変わりが大きな変化の始まりです。子どもが体の変化を安心して受け入れられるよう、親がしてあげられることは? 長年、小学校の養護教諭をされていた宍戸洲美先生にアドバイスをいただきました。



心と体の発育 (4)ひげ、声変わり……男子の二次性徴


小学生で声変わりが始まる子も

男子の二次性徴は平均で見ると、女子より2年ぐらい遅れて始まります。個人差はありますが小学6年生ごろから中学2年生ごろにかけて二次性徴が現れ始めるケースが多いようです。小学生のうちはまだ、射精や発毛に関する悩みは少ないのですが、声変わりに悩む子どもはけっこういます。



母親も男子の体に関する正しい知識を

男女にかかわらず、子どもが安心して自分の成長を受け入れるためには、正しい知識を伝えることが大切です。そのためには、まず母親が男子の体の変化についてきちんと知っておく必要があります。ぜひ保健の教材などにも目をとおしておきましょう。



性教育は役割分担にとらわれ過ぎないで

「性教育は、女子には母親が・男子には父親が」と考える向きもありますが、役割分担に縛られる必要はありません。「性教育はできる人が担当する」と柔軟に考えましょう。ここでいう「できる人」とは「正しい知識を持って、子どもに伝えやすい立場の人」という意味です。誤った知識や性に対する偏見を持った人が性について語るのは、子どもに悪影響を与えるだけです。
本来は親が伝えるのが理想的ですが、親がどうしても無理というのなら、信頼できる教師や知人などに頼むという方法もあるでしょう。



性教育に絵本を利用するのもおすすめ

男の子と女の子はなんでちがうの?体の変化の理解に役立つ優れた絵本はいくつもあります。文体や絵柄など、親自身の感覚にマッチしたものを選ぶとよいでしょう。子どもが低学年のうちからこうした絵本を自由に見ることができるよう、家の中に置いておくのです。子どもが内容に興味を持って質問してきたらチャンス。そのときは、明るくきちんと答えてあげましょう。
オープンな雰囲気のなか、家族で正しい知識を共有することで、子どもは体の変化を前向きにとらえることができるでしょう。


プロフィール


宍戸洲美

帝京短期大学 生活科学科 学科長・教授。看護師、保健師を経て、3つの小学校で27年間にわたって養護教諭として勤務した経験をもつ。現在は大学で養護教諭をめざす学生たちの指導にあたると共に、NPO法人子育てアドバイザー協会の講師なども務めている。

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