直島でSDGs探究学習!倉敷第一中学校の挑戦【直島アート便り】

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倉敷第一中学校では、2021年度にSDGsを学ぶ機会として、直島を活用したプログラムを実施しました。生徒一人ひとりがどのようにSDGsを自分ごとと捉え、課題を設定し、直島での体験を通じて提案をつくったのか、その探究学習のプロセスをご紹介します。

この記事のポイント

なぜ直島が選ばれたのか?

今回プログラムに取り組んだのは、倉敷第一中学校2年生の生徒約300人です。担任の教員達は2021年1月より計画をスタートしました。当時1年生だった生徒達は既に環境に焦点をあててSDGsを学んでおり、教員達は次のステップとして、SDGsを別の観点から捉え、島の持続可能な生活や、地域のコミュニティの大切さ、本当の豊かさなどについても考えたり気づいたりする学習の機会を作れないかと考え、活動の場に直島を選びました。

学習の流れは、まず各教科の授業でSDGsの視点から授業を行い、次にSDGsカードゲームや動画教材を用いるなどして理解を深め、直島を訪問する前にレクチャーを受けることで現地学習への期待をつくり、個人の調べ学習で準備をした上で直島での体験を記録し、自分が考えたことをプレゼンテーションにまとめ発表するという、1年間を通じた活動として計画されました。

ベネッセアートサイト直島の活動を知り、現地学習をプランニングする

2021年9月30日、ベネッセアートサイト直島のエデュケーターが中学校を訪問し、直島の活動についてレクチャーを行いました。直島のアートプロジェクトが地域との協同で展開していった経緯を学ぶと共に、決まった答えのない現代アートの鑑賞方法を知ることで、自分の力でテーマを見つけ考える姿勢も身に付けていきます。

直島の作品鑑賞方法
①気づいたことや印象に残ったことを書き出してみる。
②自分がどこからそう思ったのか考えてみる。
③他の仲間と共有して新しい視点を得たり更に考えを広げてみる。
④作品を通じて考えたことと、自分の日常生活との繋がりを考えてみる。

このレクチャーでは、直島でSDGsについて取り組まれていることを受け身で学ぶのではなく、自分が持続可能な社会の実現に向けて必要だと思うこと、取り組みたい提案を考えるために、直島のアートを通じて観察眼を養い、自然景観や直島の人々の営みの姿から多くのヒントを得てほしいというメッセージが伝えられました。

講演を聞いた生徒からは、
「ベネッセアートサイト直島は『よく生きる=Benesse』を大切にした活動であり、瀬戸内の自然や文化と現代アートと組み合わせて、主体的に考える力を供えられる場所だと分かりました。」
「自然と人間の関係を考えられる場所が増えることでSDGsが目指している多様性を意識した環境の実現への一歩に繋がると思います」
など感想の声が寄せられました。

夏休みには、直島に関連するSDGsのテーマや、地域のリサーチをレポートにまとめることで来島への準備を進めました。

学校でのレクチャーは、校長室より各教室へ配信された。

直島を歩いてまわるフィールドワーク

約300人という大規模のプログラムは前例がありませんでしたが、生徒4~5名のグループを作り、それぞれが全て徒歩移動で直島を周遊しながら、作品を鑑賞したり、島内3か所に設定されたミッションポイントでSDGsに繋がるテーマをベネッセアートサイト直島のエデュケーターと一緒に考えたりするというプログラムを実施しました。自分の足で歩いて回ることで、車やバス移動では気づかない島の風景や、島の人にインタビューをする機会を得ることもでき、地域をみる目を養うこともできたのではないでしょうか。

直島・宮浦港 出発時の様子

直島コメづくりプロジェクトの拠点でもある積浦の田んぼで「自給自足の生活はどんな感じだろう。豊かさとは何か?」というミッションワークに取り組む生徒

李禹煥美術館「無限門」にて「自然と人間の理想的な関係とは?」「門の向こうに広がる社会や自分の未来とは?」というミッションワークに取り組む生徒

直島ホールにて、自然エネルギーを活用した空調システムを体感する生徒たち。地域の特徴を活かした建築を体感することができる。

直島での体験学習を通じて、生徒からは下記のような感想が寄せられました。
「自分の目で見て体験できたことに喜びを感じた。想像以上に行ってみると良かった。」
「自分にとっての「よく生きる」とは、未来のことを考え、今ある問題を解決するために自分のできることをすることだと考えた。」
「直島の事例も参考に、自分の地域についても考え取り組んでいきたい」

自分で考えたことや提案をプレゼンテーションする

この活動の集大成として、生徒たちは事前学習から直島での体験までを振り返り、自分が考えたことや提案したいことをプレゼンテーションにまとめ、発表しました。
生徒の発表内容を一部ご紹介します。

「その土地の地形や気候をいかした建物、アートでいっぱいの直島。そのどれもが環境に優しく、個性豊かである。また、島民の方々と協力し、工夫されながらたくさんの魅力を発揮している。
 今までアートや自然、環境はそれぞれ別で考えていたが、今回それらは深く関わっていると知った。別々で考えていたものも、少し見方を変えたり、つなげてみるとまた違ったものが見えてくるかもしれない。そんな意識を持って生活していきたいと思った。」

「SDGsが世界的に注目されている今、その先駆けともいえる自然との融合で生まれ変わることのできた直島から学ぶことは多いと思う。直島は私たちが望む未来の目標となる存在である。」

「直島はなぜ、全国からではなく海外からも訪れる人が多いのかな?と、思っていたけど実際に訪れてみてアートや各美術館だけではなく、直島の環境への配慮や、島民の方々の優しさがあるからたくさんの人が訪れるのかなと思いました。
 直島が行っているプロジェクトは自然に配慮し、なおかつ自然を利用し神秘的な景色がみられたのでとても感動しました。」

「直島に住んでる人達は皆優しくて驚きました。自分達の町では、あまり地域との関わりがないが、直島では、近所の人達と協力したり、何かを分け合ったり、島全体が一つになっているのが、凄いと思いました。皆幸せそうで良い島だと思いました。自分達の町も沢山の人達と関わり合いたいとこの活動を通して思いました。」

探究学習と直島の現代アートの関係性

探究学習を行う上で重要なのは、何を情報や知識として学ぶかではなく、自分で課題を見つけ、解決策までを考えることができる姿勢だと考えています。そのために必要なのは、観察力と思考力と積極性です。

ベネッセアートサイト直島の現代アートは、時間をかけて観察し、自分の解釈を見つけ、自分の関心事に気づき考えるきっかけとして、瀬戸内の美しい景観や集落の中に設置されています。
倉敷第一中学校の生徒たちも、「これは何だろう?」という不思議な現代アートとの出合いから、好奇心を持って自分の取り組むべきテーマを見つけ、提案を考えられたのではないでしょうか。

ベネッセアートサイト直島では、それぞれの学校や学習テーマに合わせた教育プログラムの設計・提供を行っています。SDGsだけではなく、STEAM教育の実践や、キャリア教育など、様々なテーマに応じた「考える場」として訪れてみてはいかがでしょうか。

プロフィール



「ベネッセアートサイト直島」は、直島、豊島、犬島などを舞台に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。訪れてくださる方が、各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、ベネッセグループの企業理念である「ベネッセ=よく生きる」とは何かについて考えてくださることを願っています。
https://benesse-artsite.jp/

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