子どもを本好きにするには読書を“すすめない”ことが大切!?本紹介TikTokが中高生に大人気!けんごさんがアドバイス
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「うちの子、全然本を読まない……」と悩んでいるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。お子さまが興味を持ちそうな本や、話題の本をすすめてみても反応がうすくお手上げ……ということもあるかもしれません。
そこで、本紹介TikTokやインスタグラムが中高生に大人気のけんごさんに、子どもを本好きにするにはどうすればいいのかお伺いしました。多くの保護者から「けんごさんの紹介がきっかけで、子どもが本を読むようになった」との言葉が届いているというけんごさん。自身の経験も踏まえた逆説的なアドバイスは、ハッとさせられること間違いなしです!
●撮影/森 清
昔から本好きだったわけじゃない。野球に打ち込み、まったく本を読まなかった学生時代
今では月間20冊以上の本を読んでいますが、昔から本が好きだったというわけではないんです。小中高生時代は、まったくといっていいほど本を読んでいませんでした。小学校から大学4年までずっと野球に打ち込んでいたため、読書に縁がなかったんです。
活字といえば、10歳上と8歳上の兄が持っていた『メジャー』や 『ダイヤのA』などの野球漫画を読む程度。あまり大きな声では言えませんが、読書感想文の宿題も出せないことがあったほどです。
本を読み始めたのは、大学野球部時代
本を読まない子どもだった僕が、読書をするようになったのは大学生になってからでした。スポーツ推薦で大学に合格し、野球部に入部。相変わらず野球づけの日々でしたが、強豪校にいた高校時代よりは時間的余裕もできたんです。そこで、何かコスパよく時間をつぶせることはないかな……と考えたのがきっかけでした。
最初に読んだのは東野圭吾さんの『白夜行』。それまで読書をしてこなかったのに、あんなに分厚い本を手にしたんです。でも、分厚さに圧倒こそされましたが、そこまで抵抗感はありませんでした。それは、親に「本を読みなさい」と言われてこず、読書に悪いイメージがなかったからだと思います。親自身は月に1冊程度、本を読んでいましたが、僕に強要してくることはありませんでしたね。
子どもが本に興味を持つようにするには読書を《すすめない》ことが大切!?
本に全く興味を示さない子どもに対して、本に触れるきっかけを作るには、読書を強要しないことが大切だと思います。読書をすすめているつもりでも、子どもにとっては「本を読め」と強要されているように感じることもあるかもしれませんよね。そうなると、読書に悪いイメージがついてしまい、本からさらに遠ざかってしまうことになりかねません。
そういう意味では、子どもに読書を《すすめない》ことが大切だといえるかもしれません。僕自身も、親に「本を読みなさい」と口うるさく言われていたら「絶対イヤ」と思って、本を手に取ろうとしなかったでしょう。本に良いイメージがなかったとしても、悪いイメージさえなければ、いずれ手に取ろうと思うタイミングも訪れるのではないでしょうか。
けんごさんのご両親と本との関わりは?
僕の両親は、僕に読書を強要してきませんでしたが、自分たちは本に親しんでいました。ものすごく読書家というわけではありませんが、月1冊ほどは読んでいましたね。東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』や湊かなえさんの 『告白』を読んでいた姿を覚えています。
僕が読書に悪いイメージを持っていなかったのは、強要されなかったことに加え、親が楽しそうに本に親しんでいた姿を見ていたからというのもあるかもしれません。「本って楽しいのかな」という記憶がどこかに刻まれていたのかも。意識したわけではありませんが、自分が読書にはまったきっかけである『白夜行』も親が読んでいた東野圭吾さんの作品ですね。
今、自分が親だったとして、子どもに本をすすめたいと思ったとしても、まずは自分が楽しんで読んでいる姿を見せると思います。僕自身、読書の前にはまった野球を始めたきっかけも兄たちが楽しそうに野球していたから。「楽しそう」って空気を感じさせるのって、子どもを動かす1番のきっかけになるのではないでしょうか。
●撮影/森 清
けんごさんセレクト!本好きへの扉を開く中高生におすすめの本テーマ別3選
僕は日ごろ、TikTokやInstagramで本紹介をしています。SNSで本紹介をしているのは、普段本を読まないような人たちにも、本の魅力を届けることができるんじゃないかなと思ったからです。
今回は、僕がこれまでしてきた本紹介の中から特に中高生におすすめの本を3つのテーマでご紹介したいと思います。保護者のかたも、気になる本があったらぜひ手に取ってみてください。親が読んでいる姿を見て、お子さまも「何それ?」と興味を持ってくれるかもしれません。
学生向け青春小説3選
https://www.tiktok.com/@kengo_book/video/7009591864634510594?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1
『ぼくらの七日間戦争』(宗田理/角川文庫)
『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ/集英社文庫)
『かくしごと』(住野よる/新潮社)
オススメポイント
● 普段本を読んでいない人も親しみやすいテーマ
● 表紙も綺麗で手に取るだけで気分もあがる
若者の心に刺さる小説3選
https://www.tiktok.com/@kengo_book/video/7024433685680098561?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1
『青春ゲシュタルト崩壊』(丸井とまと/スターツ出版)
『大正浪漫』(NATSUMI/双葉社)
『アイアムマイヒーロー!』(鯨井あめ/講談社)
オススメポイント
● サクッと読めて文体もやさしい! 読書を始めるにはピッタリ
● 自分の悩みや願いと共鳴する部分もあるかも
読むだけで5教科の成績が上がる作品4選
https://www.tiktok.com/@kengo_book/video/7025537875735366914?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1
国語:『化物語』(西尾維新/講談社)
数学:『青の数学』(王城夕紀/新潮文庫nex)
社会:『半沢直樹 1 オレたちバブル入行組』(池井戸潤/講談社文庫)など池井戸潤さんの小説
理科:『化学探偵Mr.キュリー』(喜多喜久/中公文庫)
オススメポイント
● 知識が増える楽しみを体感できる!
● 読んだあとには勉強したくなる!
まとめ & 実践 TIPS
「本を読むことを強要しない」「親が読書を楽しむ姿を見せる」とのけんごさんのアドバイスに、思わずハッとしたかたもいらっしゃるのではないでしょうか。お子さまが本に興味を持てるようにするには、読書をすすめるのではなく、まずネガティブなイメージを抱かせないことが大切。焦らず、じっくり環境を整えていきたいですね。
今後は、書き手として執筆にも挑戦されるというけんごさん。本紹介はもちろん、けんごさんの生み出す作品にも要注目です!
2021年「けんご大賞」11作品を発表!
けんごさんが《2021年一番面白かった本》を選んだ「第1回けんご大賞」も発表されています。以下の11作品が受賞しているので、お子さまの本選びにもぜひお役立てください。
【ベストオブけんご大賞】
『死にたがりの君に贈る物語』(綾崎隼/ポプラ社)
【けんご大賞】
『N』(道尾秀介/集英社)
『オーラの発表会』(綿矢りさ/集英社)
『君の顔では泣けない』(君嶋彼方/KADOKAWA)
『月曜日の抹茶カフェ』(青山美智子/宝島社)
『白鳥とコウモリ』(東野圭吾/幻冬舎)
『ばにらさま』(山本文緒/文藝春秋)
『星を掬う』(町田そのこ/中央公論新社)
『檸檬先生』(珠川こおり/講談社)
『夜行秘密』(カツセマサヒコ/双葉社)
【特別賞】
『白い薔薇の淵まで』(中山可穂/河出書房新社)
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