読書感想文を通じて読解力を鍛えられる?!国語のカリスマ受験コーチがオススメする1冊と、読書とのつきあい方

夏休みの宿題にもよく出題される読書感想文。せっかく読むなら学びが多く、読解力も鍛えられる1冊を選びたいもの。長年にわたり中学受験の指導実績があり、国語の読解トレーニングも行っている受験コーチの齊藤美琴先生に、「この夏に読みたいオススメの1冊」と、読書とのつきあい方についてお話を伺いました。

この記事のポイント

読書感想文は、テーマが絞ってあるほうが書きやすい

—読書感想文の本を選ぶ際には、テーマが絞ってある本を選んだほうが書きやすいと思います。テーマがいろいろと盛り込んである本を選ぶと、どこを取り上げて感想を書けばよいか焦点が絞りづらいため、「これについてはこう思った、あれについてはこう思った…」と、感想を並べるだけの文章になってしまい、内容が浅くなりがちです。また苦手だというお子さんも多いですが、読書感想文のように、自分が読んだものを言葉にする経験はとても大切です。言語化する経験は、読解の際の「普通こう考える」という目線にも繋がります。難しく考えずに、まずは読み終わった後に「〇〇だった」と、一言で言えるぐらいでもいいと思います。読む時にオススメしているのが、付箋を持ちながら、自分の心がちょっと動いたなという場所に、付箋をペタペタと貼りながら読む方法です。そうすると、後から感想文を書こうと読み返した時にも、「ああ、自分はここが好きだった」と、一度目に読んだ時のみずみずしい感情が思い起こしやすくなるからです。

読解力が鍛えられる! この夏オススメの1冊

【小学校低学年~中学年向け】

最近新聞にも取り上げられていましたが、病気の治療で3歳の頃から入退院を繰り返している札幌の小学5年生の前田海音さんが、3年生の時に書いた作文をもとに、絵本作家のはたこうしろうさんが絵を描いた『二平方メートルの世界で』をオススメします。すごく内容が深いのですが、絵本なので低学年のお子さんでも読むことができます。自分と同い年位の子の、自分が経験したことがないような、病院の中という世界での体験と海音さんの思いが綴られています。絵の表情もとてもリアルで、感情を揺さぶられる作品です。

『二平方メートルの世界で』文・前田 海音 絵・はた こうしろう/小学館

【小学校高学年向け】

今年はオリンピックもあり、日本を越えてという意味でも、パキスタンから日本にやって来て暮らす男の子と、日本の男の子との友情を描いた『となりのアブダラくん』がオススメです。主人公と同じ小学校に転校してきた肌の色が違う男の子。男の子はヒジャブ※をかぶる妹と学校に通うのですが、妹は周りと違うことで、前の学校ではいじめられ、登校できなくなってしまい…というところから、最後はとても清々しい気持ちになれるお話です。このお話の中では、もし自分がこの主人公だったら…という目線に加えて、自分が違う文化の中に入ったら…という目線でも、自分が感じた気持ちを書くことができます。大手塾の模試でも問題文として採用されていました。心情表現が丁寧にされているので、読んでいて感情も動きやすいのではないでしょうか。ぜひ高学年のお子さんに読んでもらいたいです。
※ムスリマが髪をかくすために頭にまく布のこと。

『となりのアブダラくん』作・黒川裕子 絵・宮尾和孝/講談社

読書は子どもの「出会い」を増やす

 —私自身、もともと読書が好きで、大人になってからも子どもに読書を勧めています。勧める時には、読書は出会いの可能性を増やすということ、普通に生活していたら出会わないものに、読書をしていると出会うことがあるよという話をします。子どもには「本を読んでみたら何かいいことがあるかも」と興味を持ってもらいたいからです。実際そうなのですが、子どもはまず自分が興味を持たないと続きません。おもちゃでもそうだと思います。どんなに大人が「これはハマるだろう」「これはいいものだ」と思っても、本人が心の底から「面白いな、もっとやりたいな」と思わないと長続きしないものです。幼少期のうちは環境作りとして、親が本をある程度幅広く集めた状態で、いつでも子どもが興味を持った時に手に取れる場所に本を置いておくことをおすすめします。背表紙がきれいに整然と並んでいる状態は見た目は美しくても、子どもの読書環境としては魅力的ではありません。そして「読む」という行為自体を身近に置く、つまり、親も一緒に本を読む習慣を持つというのが大切ではないでしょうか。

小学生になっても「読み聞かせ」は続けたほうがいいワケ

—自分で文字が読めるようになると、「読み聞かせ」をやめてしまうご家庭も多いですが、その子が自分一人でも続きを読みたいと思うタイミングまで、ぜひ読み聞かせは続けてもらいたいなと思います。読み聞かせのいいところは、とにかく目と耳から情報を入れられるので、その結果、子どもが「この本、面白いじゃないか!」と思えるところです。子どもは楽をしながら面白いものを得られるとなったら、よく聞きます(笑)。これは読み聞かせを楽しんでいる状態です。しかし、いざ自分で読むとなったら、面倒になってしまったり、ゲームのほうが楽しくなったり…。この自分一人でも続きが読みたいと思えるタイミングまでのつなぎ目が、とても大切です。今お子さんが低学年であれば、自分から読み始めるまでは読み聞かせを続けてあげること、高学年であれば、少し難しくてなかなか読み進められない時は、最初の1ページ目をおうちのかたが読んで、次はお子さんが読んで…と、楽しみながら、「その続きが読みたい!」と思えるまで、一緒に読んであげるのも一つの手です。また、シリーズものを読むというのもオススメです。続きの本がたくさんあるもので、子どもは1冊、2冊面白いと思えば、「他にもあるよ」と勧めるだけで、長くその本を楽しめます。こういった読書好きになるきっかけの、「ハマるシリーズもの」は、ある程度おうちのかたが選んであげるのもいいかもしれません。

まとめ & 実践 TIPS

毎年頭を悩ませる夏の読書感想文。感想文というよりも、本の内容の要約のようになってしまっていたのは、選んだ本のテーマが複雑すぎて、どこを深めて自分の感想を書けばよいかわからなかったからなのだと気がつきました。今年は、じっくりと自分が感じた感情を言葉にできるような1冊を子どもと選びたいと思います。また、齊藤先生がオススメしてくださった本は2冊とも、主人公が小学生というところもポイントです。自分と同じ年代の子どもの話なので、読んでいて気持ちが入りやすく、感じた気持ちを言葉としてまとめやすくなっています。

プロフィール

齊藤美琴

齊藤美琴

学習コーチング「PICCOLITA」を主宰し、中学受験をサポート。
専門は国語で、セミオーダーメードの「読解トレーニング」レッスンを行っている。自身も慶應義塾中等部出身の中学受験経験者。

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