教えて! 野田クリスタルさん「なぜ独学プログラミングでゲームが作れるようになったの?」

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プログラミングをやりたかったわけじゃなくて、ゲーム作りの手段がプログラミングだった」というマヂカルラブリーの野田クリスタルさん。

Nintendo Switchソフト「スーパー野田ゲーPARTY」は累計販売8万本超え。『野田クリスタルのこんなゲームが作りたい! Scratch3.0対応』(野田クリスタル・廣瀬豪著/インプレス)も出版したお笑い芸人の野田さんに「独学でも挫折することなくプログラミングを続けられた理由」を聞きました。 “できないことはない”と認識できた理由とはなんでしょうか。

この記事のポイント

「ゾンビを倒すゲームを作りたい」小学生時代

──「野田ゲー」が人気ですね。ゲームはいつから作っていたんですか?

野田クリスタル(以下野田):小学生のころからですね。「バイオハザード」を作りたくて、ゾンビに追いかけられて銃で撃って倒していくみたいなゲームを作っていました。

──ゲーム作りの環境はパソコンでしょうか。

野田:プログラミング必修化とか全然ない時代ですから、パソコンでゲームを作ることも一般的ではなくて。スーパーファミコンの「RPGツクール*」でがんばって作ろうとしてましたね。

──ゾンビゲームは完成しましたか?

野田:これがね、一応作ったんですよ。RPGツクールで何時間もかけて作っても、完成すると10分にも満たない。ストーリーもほぼないようなもんなんですけど、一応完成はさせましたね。

目的は「プログラミング学習」ではなく「ゲーム作り」

──パソコンでゲーム作りをはじめたのはいつなんですか?

野田: 24、5才です。ライブの企画でネタ以外に何か披露する必要があって、ゲームを作ってきたらおもしろいかなと方法を探した感じです。そのとき「HSP(Hot Soup Processor)」というプログラミング言語を使いはじめて、以来ずっと使っています。

──プログラミング言語っていろいろありますよね。他の言語は試さなかったのでしょうか。

野田:アプリもブラウザゲームも作れるし、自分のやりたいことはHSPで完結しているんです。他の言語も触ってはみたんですけど、特に必要がないと判断しました。僕の場合はプログラミングをやりたかったわけじゃなくて、ゲーム作りの手段がプログラミングだったので。職業としてプログラミングを身につけたい場合はまたちがう選択になるのかもしれませんが。

──なるほど。「ゲームを作る」目的が先。はじめるとき「ちょっとむずかしそう」といった躊躇はありましたか?

野田:ミニゲームとかを即席で作りたい人って自分が史上初めてじゃないし、絶対ネット上のどこかにいますよね。だからそこにたどり着けばいいだろうと思ってました。実際調べればなんでも出てきますし。

「ブロック崩し、全部できたら1万円」でもいい。方法にはこだわらず、絶対完成させるつもりで作ってみよう

──作りたいことに合わせて調べていったんですね。プログラミングは独学だそうですが、「ここができない」と悩んだりあきらめたりすることはありますか?

野田:ゲームに必要な動きなら、無理やりにでも作っています。プログラミングの知識を増やすつもりは全くないので、最適なコード(コンピュータに指示を出す文字列)である必要はないという考えです。

きれいなコードを書こうとすると必ずつまずくんですが、最悪100行とか書けばゲームは動くんですよ。天才の一行は100行書けば再現できるんで。

──プログラミングって、効率的できれいなコードを書くことが正しいイメージがありました……。

野田:たぶん、最初に挫折するのはそこなんです。だからみんなプログラミングやめちゃう。もしそっちから教えるようなプログラミング教育があるなら絶対やめたほうがいいと思いますね。

──野田さんおすすめの学び方ってありますか?

野田:例えば「ブロック崩し」を作るなら、疑似的でもいいからとにかく作ってみたらいいですね。もう「全部できたら一万円あげる」くらいのノリで。まず完成すること前提で進めていくことがいちばん経験値を上げると思います。

僕も最初、全部のブロックを一個ずつ入力して500行とかになっていて、最近ようやく4行で書けるようになったんですよ。

──最初から4行で書く必要はないんですね。

野田:絶対ないです。4行で書かなきゃと思うとそこであきらめちゃうし、先に教えてもらうと「知識」として覚えるじゃないですか。自分で考えた実体験がないから楽しくないんですよね。

プログラミングで再認識した「がんばればできないことはない」

──「わかった」につながりますね。体験的にプログラミングを学んで、身についたと思うことはありますか?

野田:作品をなんとかして作ることを続けていたら、結果的にプログラミングを学んでる人に考え方が近づいたなと感じることはあります。だいたいのものはがんばればできないことはないんです。考えた仕組みが難しくても、極端な話「本当に作れないのか?」と考えて可能性を探るようになりました

自分で考えて「こうしたら動くんじゃないか」って模索したから、今は逆にプログラマーの人にもらうアドバイス一個一個がめちゃめちゃしみています。「俺はまちがってなかったのか」もあるし「そんな簡単な方法があるんだ!」もあります。

──完成前にゲーム作りに飽きたり、あきらめてしまったりする人も多いです。完成にたどり着くモチベーションはなんだと思いますか?

野田:僕はお笑い芸人としてゲームを作っているので、プログラマーとしてゲームを作られているかたとはちがう特殊な状況だと思います。バグがあってもいいし理不尽でもよくて、ライブを盛り上げたいことが主な動機ですね。ただゲームバランスが悪いと冷めちゃうから、プレイしてる姿は想像しながら作っています。「このゲームはきっとまだないだろう」という思いつきを形にしたいのもあります。

──今後作ってみたいものはありますか?

野田:「ファイナルファンタジー」みたいな大作とか、みんなでやるオンラインゲームとかを作りたい夢は昔からもっています。アニメ映画『サマーウォーズ』に出てくる世界中で共有するアプリ「OZ」もすごい作りたくて、そういう妄想もずっとしていました。ゲーム作りをする人なら誰しも思っているでしょうし、僕もいつか作ってみたいですね。

まとめ & 実践 TIPS

難しく考えがちなプログラミング学習。「スマートな作り方でなくてもゲームは動く」と聞いて、取り組みのハードルが下がるかたもいるのではないでしょうか。野田さんの「とにかく作って完成させる」「がんばればできないことはない」の言葉をきっかけに、ぜひ、親子でゲーム作りにチャレンジしてみてください。

*プログラミング言語不要でロールプレイングゲームが作れるソフト。スーパーファミコン版の「RPGツクール2」は1996年発売、現在はパソコン版・Nintendo Switch版「RPGツクールMZ」など多数ラインナップ

執筆/樋口かおる

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お笑い芸人・ゲームクリエイターの野田クリスタルさんとゲームクリエイターの廣瀬 豪さんがタッグを組んでScratchを用いた本格的なゲーム作りを解説。アクション・カーレース・格闘アクション・シューティング・アクションRPGとバラエティーに富んだ5本のオリジナルゲームを収載し、Scratchの基礎から初級~上級までのゲーム作りを段階的に学べます。すぐに遊べるサンプルデータ付き。

プロフィール

野田クリスタル(マヂカルラブリー)

お笑いコンビ・マヂカルラブリーのボケ担当。ピンとしてR-1ぐらんぷり2020優勝、コンビとしてM-1グランプリ2020優勝。お笑い芸人として劇場やテレビで活躍する一方、独学で習得したプログラミングで自作ゲーム「野田ゲー」を開発しており、2021年4月にNintendo Switchから「スーパー野田ゲーPARTY」を発売している。

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