COP10をきっかけに「生物多様性」を考える
2010年は国連が定めた「国際生物多様性年」。10月には、生物多様性を守るための国際会議「COP10(コップテン:生物多様性条約第10回締約国会議)」が愛知県名古屋市で開催されます。生物多様性とは何なのか、なぜ大切なのか、それを守るために私たちにどのようなことができるのか、考えていきましょう。
※COPとは、Conference of the Partiesの略で、国際条約に批准(ひじゅん)した(国際条約を結んだ)国が集まる会議(締約国会議)を意味します。
クイズde基礎知識
地球上にすむ生物は何種類? 生物が絶滅(ぜつめつ)してしまう理由は?
Q1
現在、地球上にいる生物は科学的に明らかにされている(名前がついている)だけで何種類あるでしょうか。
A. 約17万5000種
B. 約175万種
C. 約1750万種
A1 正解は 「B. 約175万種」 です。
これまで明らかにされている生物は約175万種ですが、明らかにされていないもののほうがはるかに多く、実際には3000万種あるともいわれます。これほどたくさんの種類の生物が、環境に応じて互いにかかわりながら生きていることを「生物多様性」といいます。豊かな多様性があるおかげで、もしも地球の環境が大きく変化したとしても、ある種類の生物はその変化に耐えて生き残り、命をつないでいけるのです。
Q2
日本に生息するほ乳類のうち、絶滅するおそれがあるものはどれくらいあるでしょうか。
A. 約4分の1
B. 約8分の1
C. 約20分の1
A2 正解は 「A. 約4分の1」 です。
環境省のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生動物の種のリスト)によると、2007年のデータで、日本で絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されているほ乳類は42種類。日本に生息するといわれるほ乳類は約180種なので、約4分の1が絶滅のおそれがあるといえます。
Q3
ラッコは、もしもいなくなると、まわりにすむ生物たちのバランスが崩れてしまう「キーストーン種」だといわれます。それはなぜでしょうか。
A. 数が多いから
B. 群れをつくるから
C. 大食いだから
A3 正解は 「C. 大食いだから」 です。
18~19世紀、アメリカ西海岸で毛皮を目的に人間がラッコを乱獲したところ、海底からさまざまな生物がいなくなってしまいました。ラッコは大食いで、1日に体重の4分の1くらいの量を食べるといわれます。そのラッコがいなくなったので、ラッコの食料となるウニが増え、ケルプといわれる海藻を食べ尽くしました。そのため、ケルプを食料やすみ家にしていたさまざまな生物もいなくなってしまったのです。
Q4
鹿児島県の奄美大島で、1980年代以降、多くの動物で絶滅のおそれが拡大しました。その原因は何でしょうか。
A. 人間がたくさんつかまえたから
B. 他の動物が連れてこられたから
C. 気候が大きく変わったから
A4 正解は 「B. 他の動物が連れてこられたから」 です。
1979年頃、奄美大島には、毒蛇(どくへび)のハブを駆除(くじょ)するため、東南アジアやインドにすむマングースが連れてこられました。しかし、マングースは、ハブだけではなく、アマミノクロウサギやアカヒゲ、ケナガネズミなど、奄美大島特有のめずらしい動物たちを食べたため、それらの動物の数が大幅に減ってしまいました。生物多様性とは、どんな生物がいてもいいというわけではなく、自然界のバランスに合ったものでなければならないのです。