3.11の東日本大震災10年とコロナ禍、「学校」の役割とは

東日本大震災から10年の2021年3月11日は、新型コロナウイルス感染症がなかなか終息しない中で迎えました。その間も日本列島は、地震だけでなく豪雨など、数々の災害に見舞われました。改めて痛感させられるのは、学校という存在の重要性です。

この記事のポイント

中教審が注目、「日本型教育」

中央教育審議会は2021年1月、小中高校などの教育について、幅広く提言する答申をまとめました。メインタイトルは「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」。コロナ禍を踏まえて付けられたものです。

知・徳・体を一体で育むことで、全人教育を図るのが「日本型学校教育」の特質です。そこでは、子どもの状況を総合的に把握して、臨機応変に指導する、教師の役割が何より重要です。

感染拡大防止のため、学校は2020年3月から、最長3か月間の一斉臨時休校を余儀なくされました。「当たり前のように存在していた学校に通えない状況が続いた中で、子供たちや各家庭の日常において学校がどれだけ大きな存在であったのかということが、改めて浮き彫りになった」(答申)というのは、多くの保護者や子どもたちの実感だったのではないでしょうか。

被災地で子どもたちのケアや教育を担ったのは先生たち

そんな中で「子供たちの学習機会の保障や心のケアなどに力を尽くし」た(同)のが、教職員をはじめとする教育関係者です。東日本大震災をはじめとする被災地でも、たびたびクローズアップされてきました。

さらに答申は、「学校は、学習機会と学力を保障するという役割のみならず、全人的な発達・成長を保障する役割や、人と安全・安心につながることができる居場所・セーフティネットとして身体的、精神的な健康を保障するという福祉的な役割をも担っていることが再認識された」としています。これも、被災地で実感されてきたことです。

東日本大震災では、600校を超える学校が避難所となりました。公務員でもある公立学校の教職員は、自らも被災する中で、地域住民のお世話もしながら、児童生徒の安全確認に走り回りました。学校再開後も、不安な気持ちを抱える子どもたちに寄り添いながら、可能な限り平常通りの教育活動を行うよう、献身的な努力を続けました。

これも昨年来、ウィズコロナの中で消毒やソーシャル・ディスタンスの確保に追われつつ、授業の遅れを取り戻そうとしてきた、先生たちの姿と重なります。

未知の事態にも主体的に行動する力を

東日本大震災を教訓に、安全教育が見直されました。2012年4月に閣議決定された安全教育推進計画では、日常生活でも状況を判断し、最善を尽くそうとする「主体的に行動する態度」の育成が必要だと強調。新しい学習指導要領でも、以下のように各教科などに安全教育を散りばめています。

  • ・主体的な行動に必要な力を育む(特別活動)
  • ・安全・安心な地域社会づくりに必要な力を育む(社会、地理歴史・公民)
  • ・自然現象等について理解する(理科)
  • ・安全で安心して生きるための中核となる力を育む(体育、保健体育)

学習の基盤として「情報活用能力」を位置付けたのも、新指導要領の特徴です。新型コロナという未知の感染症に対して、正しい情報を見極め、冷静に行動することも、いま求められています。

まとめ & 実践 TIPS

この10年間で明らかになったように、日本と世界は、いつまた自然災害や新たな感染症に襲われるか分かりません。その時にも対応できる学校教育を考えておく必要がある——というのが、震災とコロナ禍からの教訓だと言えるでしょう。

中教審答申「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(2021年1月26日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm

学校安全(文部科学省ホームページ)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1289303.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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