自由研究のまとめ方の5つのポイントを解説!子どもが一人でも意欲的に取り組みたくなる方法
近年では、情報化やグローバル化といった社会的変化が、私たちの予測を超えて進展するようになってきました。
文部科学省はそういった時代背景を受け、新学習指導要領の考え方では、「予測困難な時代に一人ひとりが受け身ではなく主体的に向き合って関わり合い、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である」としています。
そのため、主体的に向き合って関わり合い、よりよい社会と幸福な人生の創り手となるために自由研究を通して思考力を伸ばす取り組みは、宿題という枠を超えて注目が高まってきています。
今回は、「子どもの自由研究を手伝ってあげたいけど、どうしたらよいかわからない」「自由研究はいつから始めるべき?」などとお悩みの保護者のかたに向けて、自由研究の調べ方、まとめ方のポイントをご紹介します。
ポイントを押さえておけば、きっかけをつかんでスムーズに進められ、内容も充実したものに仕上げることができます。
また、ポイントを子どもに伝え自ら取り組んでもらうことで自主性が高まり、思考力の向上にもつながります。子どもが自主的に取り組むことで結果的に早く終わり、保護者の負担も少なくなるでしょう。
自主性や思考力の向上は学校からの評価対象にもなるので非常に重要です。そのため自由研究を締め切り直前に焦ってやるのではなく、早い段階から子供の興味関心を引き出してあげて、自由研究を子どもの成長につながる機会にしてあげましょう。
それでは、自由研究のまとめ方の5つのポイントと、理科と社会それぞれの自由研究の調べ方、まとめ方をわかりやすく紹介していきます。
【自由研究のまとめ方】5つのポイント
自由研究をまとめるうえで、以下の5つを押さえれば、簡単にまとめることができます。
(1)「目的」を書く
(2)「予想」を書く
(3)「調べ方」を書く
(4)「結果」を書く
(5)「考察」と「提案」を書く
それぞれについて解説していきます。
●ポイント(1)「目的」を書く
まずは「何について調べたのか」「なぜ調べようと思ったのか」から書き始めましょう。
「なぜ調べようと思ったのか」は授業で気になったことでも、日常の中での疑問でも構いません。ふだんの生活で気になっていることはないかを考えてみましょう。
●ポイント(2)「予想」を書く
調査する前にどんな結果になるかを予想してみましょう。
自分なりに予想を立てておくと、結果が出た時に「予想が正しかった」「間違えていた」という見方ができます。自分の考えが書きやすくなるはずです。
●ポイント(3)「調べ方」を書く
どんな方法で調べたのかを示しておきましょう。
文章での説明と併せて、写真やイラストも使うとグッと伝わりやすくなります。
●ポイント(4)「結果」を書く
調査・測定の結果を表やグラフを使ってまとめましょう。
結果と考察をしっかり分けて、事実だけに絞って書き進めるのが重要です。
●ポイント(5)「考察」と「提案」を書く
自由研究の最後の部分では、「なぜそのような結果になったのか」「結果から何が考えられるのか」など自分なりの考えを書きましょう。
また、今回の自由研究の結果から、「自分たちに何ができるか」「次にしたいこと」など、次のアクションにつながる内容を書くとよいでしょう。
ここまで説明した5つのポイントを押さえればまとめはばっちりです。
【テーマ別】自由研究の調べ方・まとめ方のコツ
ここまで自由研究のまとめ方のコツをご紹介しましたが、テーマによっては上記のコツを応用してまとめる必要があります。
ここからは、自由研究のテーマとしてよく選ばれる、理科と社会の自由研究の調べ方・まとめ方に絞って説明していきます。
●理科の自由研究 調べ方・まとめ方
理科の自由研究における調べてからまとめるまでの手順は、以下の4ステップで進めるとよいでしょう。
(1)テーマを決め、予想する
(2)計画を立てる
(3)実験・観察する
(4)まとめる
「テーマについて自分の予想が正しいのか」を調べるのが理科の自由研究です。そのため、(1)と(2)をじっくり考えておくのが、内容を充実させるためのポイントになります。
(1)テーマを決め、予想する
テーマが決まったら、まずは自分なりに結果を予想してみるところから始めましょう。自分の予想と調べた結果が同じになるのか、それとも違う結果になるのかは、考察をするうえでとても大切になります。
コツは、予想を立てる時に難しく考えすぎず、今までの経験やチャレンジ、学校の授業で習ったことをもとにすることです。予想の根拠となるような知識や体験はないかを考えてみましょう。
たとえば、「紫外線を防ぐにはどうしたらよいのか?」というテーマの場合、「夏になると帽子をかぶったり、日傘をさしたりしているから、布には紫外線を防ぐ効果があるかも。色や素材によっても違いがありそう」といった風に予想を立てられるのではないでしょうか。
(2)計画を立てる
「予想が正しいかを調べるためにはどんな方法で、どんな手順で調べればいいのか」の計画を立ててみましょう。
実験をする場合には、調べる条件を洗い出して「変える条件」と「変えない条件」をはっきり分けておきましょう。観察をする場合には、どこに注目して調べるかを決めます。色や形や大きさなどに注目するとうまく観察ができます。
コツは、調査に必要なものや調査期間などを具体的に思い浮かべることです。どのくらいの期間で、どこで、何をどうやって調べるのかを初めに具体的に決めておくと、スムーズに研究が進められるはずです。
もし、実験や観察のやり方がわからない場合には、図書館の本やインターネットで基本的な知識を調べてみましょう。おうちの人や学校の先生に聞いてみるのもいいでしょう。
また、計画の時点で、自由研究に向かないテーマではないかを確認しておくことも大切です。せっかく考えたテーマだけど、大人が使うような装置が必要だったり、危険があったり、締め切りまでに終わらないものは自由研究には向きません。その時はテーマを変更したほうがよいかもしれません。
(3)実験・観察する
計画ができたら、実験・観察を進めていきましょう。
まずは道具を用意するところから始めましょう。実験・観察を始めてから「あれが足りない」とならないように必要なものを紙に書き出して、不足がないようにしておきましょう。道具や材料は失敗してもやり直しができるように、少し多めに用意しておくのがコツです。
道具の準備ができたら、実験を始めましょう。実験は記録を取りながら進めていきます。記録の仕方としては、調べる条件や注目するところがわかるように、表やグラフにまとめて書くとよいです。結果は文章だけでなく、カメラで撮影をしたり、スケッチを描いたりして、見た目でわかるようにまとめるのがポイントです。
実験が終わったら、結果について考察をしてみましょう。「結果から考えられることは何か?」「自分の予想通りだったか?」などを考えてみましょう。
(4)まとめる
理科の自由研究のまとめ方は、最初に説明した5つの項目でまとめるのはもちろんですが、調べるうえで使ったものをイラストで、調べた時のデータや結果をグラフや表で視覚的にわかりやすくすることが大切です。
たとえば、先程具体例で示した「紫外線を防ぐにはどうしたらよいのか?」というテーマの場合、実験で使った帽子などをイラストで表現する、布ごとの紫外線の防止力を棒グラフでまとめる、などするとよいでしょう。
また、調べていくうえで下記のシートにメモしながら進めていくと最後にまとめやすくなるので、ぜひ使ってみてください。
(参考:ベネッセ教育情報サイト)
●社会の自由研究 調べ方・まとめ方
社会の自由研究における調べてからまとめるまでの手順は、以下の5ステップで進めていくとよいでしょう。
(1)ちょい調で注目ポイントを決める
(2)予想をする
(3)オリジナルの資料を集める
(4)「深める」「補う」ポイントを知る
(5)まとめる
調べるテーマの何に注目するかが重要です。まずは、テーマを少しだけ調べて注目ポイントを決めるところから始めてみましょう。
(1)ちょい調で注目ポイントを決める
社会の自由研究では、注目ポイントを決めずに本格的に調べ始めてしまうと、テーマがどんどん広がって大変になります。
そこでテーマについて《ちょいと》調べてみる「ちょい調」から始めてみるのがオススメです。テーマの基本的な内容や知らなかったことが見えてきます。そこから注目ポイントをしぼって、実際に研究を進めていきましょう。
「ちょい調」には、手軽に大まかな情報が調べられるインターネットや百科事典を使うとよいでしょう。テーマを決める際は、「面白そう」「興味がある」だけでなく、「自分で調べられそうか」という点も含めて考えるのがコツです。
(2)予想をする
テーマの注目ポイントが決まったら、自分が疑問に思って調べたいことを1つだけ書いてみましょう。そして、その疑問についての答えを自分なりに予想をしてみてください。
コツとしては、疑問に思って調べてみたいことは、「〇〇が××なのはどうしてなのかな?」「〇〇は△△なのかな?」というように疑問の言葉で書くことです。
調査が終わった時に、予想と結果を照らし合わせてみると、自分なりの考察がしやすくなります。
たとえば、「八幡神社について」というテーマにしたとします。ちょい調で「八幡神社は全国にある」ことがわかったら、「なぜ全国にあるのか」と疑問に思うのではないでしょうか。そうすると、「誰かが日本中に作ったから」「日本に同じ名前の人がたくさんいたから」と予想することができます。
(3)オリジナルの資料を集める
予想ができたら、いよいよ資料集めです。資料は本などでも集められますが、オススメは専門家や現地への取材です。現地に足を運んで得た情報は、自分だけのオリジナルの資料となります。オリジナル資料で差をつけましょう。
取材の時には、メモの中で「!」や「?」で、重要だと思ったことや疑問に思ったことにマークを付けておくとよいでしょう。マークを付けた情報をあとから調べれば、さらに研究が深まります。
本やインターネットで調べた情報については、そのまま書き写してしまわないように気をつけましょう。自分なりに理解をして、自分の言葉で書くことが大切です。
(4)「深める」「補う」ポイントを知る
資料が集まったら、情報を整理しましょう。情報を整理すると「何がわかっていて、何を調べないといけないのか」がハッキリします。「深めるポイント」と「補うポイント」が明確になるはずです。
整理ができたら、「深めるポイント」と「補うポイント」について調べるために、さらに調査を進めていきましょう。「!」や「?」のマークを付けた情報を中心に調査していくとよいでしょう。
情報を深めたり補ったりする時は、「5W1H」で考えると、何を調べるべきかわかりやすくなります。5W1Hは「When(いつ?)」「Where(どこで?)」「Who(だれが?)」「Why(なぜ?)」「What(なにをした?)」「How(どのように?)」と英語の頭文字をとって作られた言葉です。
(5)まとめる
社会の自由研究のまとめ方は、最初に説明した5つの項目でまとめるのはもちろんですが、根拠となる資料をしっかりと付けることと、調べた結果を図と説明文のセットで示すことが大切です。
本やインターネットで情報を得た場合は、「どの本のどこのページに載っていた」と書いておきましょう。
また、図と説明文のセットで示す場合の具体例として、先程の「八幡神社について」というテーマの場合、「八幡神社は全国各地に分布している」ということを、説明文だけでなく、日本地図にマークを付けて表現すると、とてもわかりやすくなります。
また、調べていくうえで下記のシートにメモしながら進めていくと最後にまとめやすくなるので、ぜひ使ってみてください。
(参考:ベネッセ教育情報サイト)
自由研究はまとめ方のポイントを押さえるだけでカンペキ!
今回は、自由研究のまとめ方や調べ方のポイントを紹介しました。
ご紹介したまとめ方や調べ方のポイントを押さえておけば、子どもが自由研究をスムーズに進めることができるだけでなく、子どもの自主性が高まり、思考力の向上にもつながります。そして、よりよい社会と幸福な人生の創り手となってくれるでしょう。
自由研究を子どもの成長について改めて考える機会にしてみてはいかがでしょうか。
■参照
文部科学省新学習指導要領について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2018/07/09/1405957_003.pdf