語彙力が高い人の特徴は読書の幅広さ
現代の若者世代は、SNSやメールなどで仲間同士でのコミュニケーションを気軽に楽しんでいますが、使う言葉は仲間のみでわかる語彙に偏る傾向にあるようです。しかし、仕事や社会生活では、様々な相手に「自分の考えていることを正確にわかりやすく伝える」ことが必要になります。そのためには、異なる世代とも通じる「語彙力」がとても重要です。
「語彙・読解力検定」を主催する(株)ベネッセコーポレーションが昨年、高校生から社会人の約3,000人を対象として行った「第1回 現代人の語彙に関する調査」(http://www.goi-dokkai.jp/research/index.html)の結果から、語彙力が高い人の特徴が見えてきました。調査では、回答者が対象の言葉のうち「知っている」と答えた割合をその人の語彙力としています。では、どのような結果になったのか、具体的にご紹介します。
語彙力向上のかなめは「ノンフィクション」を含む読書の幅広さ
読むことがある文章や本の種類と語彙力の関係を見てみると(図1:高校生の結果)、新書や実用書などのノンフィクションや新聞を読む人の語彙力が高いということがわかりました。
ただ、ノンフィクションや新聞だけを読んでいれば語彙力は向上するのかというと、そうではないようです。読む本や文章の種類によってグルーピングした結果では、「新聞、ノンフィクションを含む複数分野」を読む人の語彙力が最も高く、幅広いジャンルの読書をする人のほうが、語彙がより高い傾向にあることがわかります。
<図1:高校生の結果>
※ 数値は平均語彙力(知っている言葉の割合)
※ 項目は以下の選択肢の回答の組み合わせをグルーピングしたもの。選択肢:「フィクション(物語や小説など)」「ノンフィクション(新書、実用書など)」「マンガ」「新聞」「雑誌(マンガを除く)」「この中に読むことがあるものはない」
物語や小説だけでなく、社会的・専門的な事柄について書かれた新書や実用書、新聞を読むことが、様々な語彙を増やすことにつながるのではないかと考えられます。
「少しでも読書をする人のほうが語彙力は高い」という結果に
では「内容」の次に読書の「量」についてはどうでしょうか。具体的な読書量と語彙力の関係についての調査を見てみると(図2:高校生の結果)、「1か月に1~2冊」読むと答えた人の語彙力が67.0%だったのに対して、「まったく読まない」と答えた人は51.3%で、およそ15.7ポイントの開きがあることがわかりました。少しの量でも読書をしたほうが語彙力の向上につながる可能性が高いということがわかります。
<図2:高校生の結果>
※ 数値は平均語彙力(知っている言葉の割合)
※ 項目は、設問「1か月に、紙の本や電子書籍を何冊くらい読みますか。(マンガや雑誌は除く)」の回答選択肢
やはり、読書での「インプット」は、語彙力の向上において重要な役割を果たしていると言えそうです。
いつもより時間があり、読書感想文の宿題もある夏休みは、本をじっくり読んでみるよい機会といえるかもしれません。ノンフィクションなど、普段お子さまが自分では手に取らない本を勧めて、親子で読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。
読書を好きになるきっかけとして、「子どもの頃に本を読み聞かせてもらったこと」「身近な人が本好きだったこと」を選んだ人は、成長しても読書量が多く、語彙力が高い傾向があるという結果も出ています。
お子さまがなかなか本を読まないという場合は、まずは保護者のかたが本と触れ合う姿勢を見せることが、お子さま自身も読書に興味を持つきっかけとなるようです。
※ 本稿の「語彙力」とは、「第1回 現代人の語彙に関する調査」で用いている、最近の「新語」を加えた辞書語彙と新聞語彙の合計540語について回答者が「知っている」と答えた語の割合に基づいています。
※ 「第1回 現代人の語彙に関する調査」は、高校1年から60代までの社会人の約3,000人を対象に、2016年7月に行われたインターネット調査です。
出典:第1回 現代人の語彙に関する調査
http://www.goi-dokkai.jp/research/index.html
(関連リンク)
読書感想文カンタン解決特集
http://benesse.jp/dokusho/