読書に集中できる姿勢のポイントは?疲れないコツやストレッチ方法【イラストで解説】
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「うちの子、本を読んでもすぐに疲れてしまうみたいで……」「読書に集中できない様子が気になる」。お子さまに読書を楽しんでほしいと思っても、こんなふうに感じることもあるのではないでしょうか?
読書に集中し、本の世界に没頭するには、読書をする時の姿勢が大切。悪い姿勢だと、集中できないうえ、頭痛や肩こりなど体の不調にもつながってしまいます。
そこで、読書をする時の姿勢の重要性や、集中できる姿勢のポイントについて、理学療法士で「親子姿勢教室」を運営する武田純一先生にお聞きしました。
この記事のポイント
読書に集中するには姿勢が重要!
読書をする時に集中力を維持するには「姿勢」が重要です。本から知識を得ようとするような「積極的読書」の場合は、「よし読むぞ」とモードを切り替えることも必要ですよね。
良い姿勢をとることは、モードを切り替えるスイッチになるんです。ダラッとした姿勢を正すだけでパーンと気持ちが切り替わるのは、イメージしやすいのではないでしょうか。
読書を続けていると、時間とともにどうしても疲れてきます。それに伴い、姿勢も崩れがちです。そんな時も、ちょっと姿勢を正すだけで気持ちをシャキッとさせることもできるでしょう。
悪い姿勢での読書は体への負担も大!
悪い姿勢で読書を続けることは、頸部痛や頭痛、肩こりなどにもつながります。その理由は、頭の重さの負荷が大きくなってしまうから。人間の頭はとても重くて、体重の10分の1くらいあるんですよ。小学生でも3キロほどはあります。ボーリングの球を細い首や背骨で支えているといえば、その負担をイメージしやすいかもしれません。
ボーリングの球を持つ場合も、垂直に持っていればある程度の時間は持ち続けられますよね。でも、斜めに持ったり、少ない指で持ったりするのはどうでしょうか。5分もしないうちに腕が痛くなってくるでしょう。
これと同じで、頭が首にまっすぐのらずに前に出すぎたり、背中を丸めたりしていると、首や肩に過度の負担がかかり、痛みにつながってしまいます。
また、悪い姿勢は、筋肉のコリだけでなく、視力にも悪影響を及ぼします。背中が丸まって頭が前に出たような姿勢だと、目と本との距離も近づいてしまうためです。眼精疲労の原因にもなってしまうでしょう。
読書する際の姿勢のポイント
読書する際は、次の5点を意識しましょう。
背筋を伸ばすことで、背中が丸まって首が前に出ることを防げ、目線を下げないことで首への負担を防げます。また、足を床につけることで姿勢をキープしやすくなります。本との距離を40cm以上とることは、眼精疲労の予防になるでしょう。
目線を下げないためには「ひじ」がカギ
良い姿勢がわかったところで、実行するのは難しいと感じられることもあるかもしれません。本を読んでいるとどうしても目線が下にいくものですよね。そのため「目線を下げすぎないこと」というのは特に難しく感じるでしょう。そんな時は「ひじ」を意識するのがポイントです。
椅子に座って、机に本を置いている場合は、机にひじをのせて本を持ちましょう。机にひじをのせずに本を持つ時と比べて、目線が上がるはずです。目線が上がれば、首も下がりづらくなります。一方で、ひじを机にのせないと、本を読むために下を向き続けるので、頭の重みで背中が丸まり、首が埋まったような姿勢になってしまいます。
ソファに座って読書をする場合であれば、ひざの上にクッションを置いてひじをのせるのがいいですね。
大人用の椅子に座る場合のひと工夫
読書を始める際に良い姿勢をつくっても、時間の経過とともに崩れていくものです。良い姿勢をキープしやすくするには「椅子」がポイント。深く腰かけ、背中を背もたれに預けるようにしましょう。
とはいえ、家でお子さまが読書をする際は、リビングの大人用の椅子や、ソファを使うことも多いでしょう。大人用の椅子は、子どもにとって座面が深かったり、足が床に付きづらかったりするため、無理な姿勢になりがちです。無理な姿勢で体に負担がかからないようにするためには、次のような工夫をしてみてください。
- 座面が深く、背もたれと腰や背中の間にスキマができる場合は、クッションや、くるくる巻いたタオルでスキマを埋める。
- 坐骨の後ろにタオルを入れ、骨盤の位置を調整する。
- 足が床につかない場合は、足置き台や台座を使う。
タブレットで読書をする際のポイントは?
最近は、本ではなくタブレットで読書をすることも多いですよね。タブレットを平置きにして読書しているのであれば要注意。頭や目線が下がって、頸部痛や肩こり、頭痛を起こしやすくなってしまいます。
目線を下げないようにするには、タブレットスタンドを活用するのがおすすめです。角度を変えられるものや、タブレットに直接貼ってたためるもの、タブレットカバーと一体になっているものなど、さまざまな商品が出ているのでお子さまが使いやすいものを見つけてあげられるといいですね。
100点の姿勢をキープし続けることを意識しなくても大丈夫
良い姿勢で読書することが大切といっても、30分も40分も続けて100点の姿勢をとり続けることは、大人でも無理でしょう。「良い姿勢をずっとキープさせなければ」と気負いすぎなくても大丈夫です。
大切なのは、100点の姿勢が80点、70点、50点と崩れてきた時に、その都度気付いて姿勢を再度整えていくことです。その繰り返しで、姿勢が完全に崩れてしまうことを防げます。「姿勢が崩れてきたぞ」というアラートにお子さま自身が気付けるようになるといいですね。そのためには、保護者のかたが、姿勢が崩れてきた時に「崩れてきたよ」「50点の姿勢になってると、100点に戻してみよう!」など声をかけてみてはいかがでしょうか。
読書による肩こりや頭痛、疲れを感じたら
こりや疲れを感じたら、まずは休憩をとるようにしましょう。良い姿勢をキープするのは、筋力も必要です。筋肉量が十分でない子どもは、大人以上に姿勢も崩れやすいものだと認識しておいてあげたいですね。
また、肩甲骨のストレッチもおすすめです。筋肉をほぐして疲れを回復させられます。肩甲骨は、肩こりにもつながる大きな筋肉が付いた骨。大きく動かすことで、血流も上がりこりがほぐれやすくなります。次のようなストレッチをしてみてくださいね。
- 両手を前に出して背中を丸める
- 背中を丸めた状態から両手を大きく後ろに引く
- 両手を上に上げる
- 片手の手のひらを頭の上、もう片方の手は手のひらを上にして背中にまわし、肩甲骨を動かす
「2」は、オードリーの春日さんのカスカスダンスのようなイメージですね。
「4」は「シェー」のようなポーズをして、手を動かすのをイメージできるとよいでしょう。
1〜4の各プロセスをそれぞれ5秒ずつを2セット行ってみてください。1分以内に終わるストレッチですが、効果は大きいです。
このストレッチは、読書で疲れた時に行うだけでなく、普段から取り入れてみるのもおすすめです。姿勢をキープするための筋力を付けることにも役立ちます。勉強の合間や食事の前など、スキマ時間にこのストレッチをしてもよいでしょう。そのうえで、一度ピシッと良い姿勢をつくってから食事を始める習慣を付けるというのもいいですね。子どもは大人よりも筋力を付けやすいため、効果も出やすいもの。子どものうちに良い姿勢をとること、良い姿勢をキープすることができるようになれば、それは一生モノの習慣になるはずです。
まとめ & 実践 TIPS
読書に集中するには、姿勢も大切。とはいえ「姿勢を良くしなさい」「姿勢が崩れてるよ」というだけでは、お子さまもどうしていいか戸惑ってしまうこともあるでしょう。今回ご紹介した内容を参考に、良い姿勢とはどういうものかを教えてあげたり、椅子や机まわりの環境を整えてあげたり、親子でストレッチタイムを設けたりできるといいですね。
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