「○○教育」も大丈夫!? 次期指導要領、教科のつながり重視

授業や教科書の基礎になる学習指導要領(小学校は2020<平成32>年度から、中学校は21<同33>年度から、高校は22<同34>年度入学生から本格実施の予定)を改訂する中央教育審議会での論議が、いよいよ本格化してきました。次期指導要領は、各教科や学校段階間のつながりを重視して「社会に開かれた教育課程」を目指すというのですが、どんな考え方なのでしょうか。

全教科を共通の「三つの柱」で整理

国際理解教育、環境教育、福祉・健康教育、キャリア教育……。現在の学校教育に求められる「○○教育」は、増え続けています。ざっと数えた人によると、80はあったそうです。今や100を超えているのは確実でしょう。今でさえ授業時間数や学習内容は目いっぱいなのに、これ以上、学校教育に新しいものを入れる余裕はありません。それなのに小学校の英語教育、18歳選挙権を見越した主権者教育など、時代の要請に合わせて力を入れなければならない教育課題は続出しています。

何より、情報化やグローバル化をはじめとして、社会は激動しています。現在の小学生が社会に出る10~20年後には、今ある仕事の半分が入れ替わっているという予測も、国内外で発表されています。今までのように、各学校で、各教科をバラバラに学んでいただけでは、社会の大きな変化に対応できない恐れがあります。

そこで次期指導要領では、すべての教科・領域等を、(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力、人間性等(高校は主体性・多様性・協働性)……という共通した「育成すべき資質・能力」の三つの柱で整理し、構造化することにしました。そうすれば、「こういう思考力を育てるには、この教科と、この教育を関連させれば、うまくできそうだ」という工夫が、各学校でできるというのです。先頃、政府の意向を受けて小学校でもプログラミング教育を必修化する方針が決まりましたが、実施する学年や教科を限定せず各学校の裁量に任せたのも、こうした指導要領全体の考え方があったからです。

社会に出ても役に立つ資質・能力へ

そんな今回の指導要領改訂の意義を、一歩踏み込んで考えてみましょう。学校時代は、あくまで教科を中心として授業で学んでいくわけですが、教科バラバラの知識を覚えるだけでは、社会で生きて働く力にはなりません。だからこそ現在でも、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のように、「習得」(A問題)だけでなく「活用」(B問題)の力も問うているわけです。

次期の指導要領では、そうした方向性をさらに徹底させ、国際的にも低いと問題視されてきた学習意欲も含めて、幅広い資質・能力を身に付けさせようとしています。「社会に開かれた教育課程」というキャッチフレーズは、学校教育を社会に開くとともに、そうした指導要領の趣旨を社会とも共有し、一緒に次世代の子どもたちを育てていこう……という考えがあります。

そうした未来への備えは、何も指導要領が改訂されるのを待つ必要はありません。現行の指導要領下でも、将来、社会に出た時を視野に入れた幅広いチカラを付けさせるよう、学校でも家庭でも意識したいものです。

  • ※中教審 教育課程部会 総則・評価部会
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/061/index.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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