子どもの「自分で意思決定する力」はどうすれば高まるのか?[やる気を引き出すコーチング]

日頃、高校生や大学生と接していて、「自分のことなのに、まるで他人事のようだな」と感じることがあります。

というのは、「どうしてこの学校に入ったの?」、「卒業後はどうしたいと思っているの?」といった質問をして返ってくる答えに、このような言葉があまりに多いからです。「一般的に良い学校だと言われているので」、「友達がみんな行くので」、「まあ、とりあえず就職ですかね」、「何をしたらいいんでしょうね?わからないです」。

社会に出たら、確実に、「自分で考えて自分で行動すること」が求められます。そして、それができなければ、自分が望む人生を切り拓いていくことなどできないでしょう。これでいいのかなと考えさせられます。

「言われた通りにする子が良い子」として扱った結果

なぜ、そうなってしまうのでしょうか?これは、何も考えず、高校、大学と進学し、卒業後、フリーターをしているというAさんの言葉です。

「子どもの頃は、親や先生が『お前にはこの学校がいい』って言ってきて、自分も何をやりたいのかわからなかったので、その通りにしてきたんですけど、就職活動する時になって急に『どうしたい?』って言われても、何もやりたいことが思いつかなかったんです。それまでは、言われた通りにしないと叱られるし、言われた通りにする子が良い子って感じだったのに、社会人になっていきなり、答えを示してもらえなくなった感じです。自分で考えないといけないことはわかっているんですけど、どうやって考えたらいいのかもわからなくて、今、悩んでます」

身につまされる話です。自分が何をやりたいのか、どんな大人になりたいのか、考える機会を与えないまま、「言う通りにしておけばいいから」と言って聞かせることが、本当にその子の幸せにつながっていると言えるのでしょうか。

子どもと一緒に「目的」を考える習慣を持つ

私のコーチ仲間のKさんは、いつも、お子さんと一緒に、物事の「目的」考えるようにしてきたと言っています。例えば、「帰ったらまず宿題をやりなさい」と言うのではなく、「なぜ、宿題ってあると思う?」、「宿題をやることにどんな意味があると思う?」と質問をして一緒に考えたそうです。

そうすると、お子さんが、「学校の勉強がよりわかるようになるため」と答えたり、「単に覚えるだけだったら、こんなに何回も同じことを書く必要はないよね。先生に提案してみる!」と言い出したりするまでになったそうです。

ゲームをやり続けるお子さんに対しても、「何のためにゲームをやるのか?」を一緒に考えてみました。そうしていると、お子さんが自分で考え、自分でゲームの時間を自制するようになったと言います。

「いいからやりなさい」と言うだけでは、自分で考えられない子どもになってしまいます。「このことが自分にとってどんな意味があるのか?」を考える習慣がつくと、単に、「人に言われたから」とか「みんながそうするから」といった受け身の姿勢はなくなっていくでしょう。目的が明確になることで、そのためにどうすればよいのか、その手段も自分で考えられるようになっていきます。

「目的」をたずねる質問

目的が明確でないことをやり続けるのは、非常に苦痛です。
「何のためにこれを学んでいるのかわからない」と思いながら勉強しても、やる気は引き出されません。目的を考えることはとても重要だと思います。

例えば、こんな質問はいかがでしょうか?
「なぜ、それをやってみたいと思ったの?」
「これをやることで、あなたにとってはどんな良いことがある?」
「それをやるとどうなると思う?」
「それができたら、どんな結果につながる?」
「どんな成果を得るためにやろうと思っているの?」

自分が取り組んでいることの意味を見出し、自分のやりたいこと、進むべき道を自己決定できる子どもたちをもっと増やしていきませんか。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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