海外留学「必要」が8割以上 奨学金充実も求める

グローバル化の進展に伴い、海外留学への関心が高まっています。内閣府の「教育・生涯学習に関する世論調査」によると、20歳以上の成人で、子どもや若者に海外留学させたほうがよいと8割以上が考えていることがわかりました。一方で、海外留学促進のための支援について、7割以上の者が「奨学金などの経済的な支援」を挙げています。子どもなどの海外留学に関心はあるが、経済的に厳しいと考えている人々が多いことがうかがえます。

  • ※教育・生涯学習に関する世論調査
  • http://survey.gov-online.go.jp/h27/h27-kyouiku/index.html

高校生や大学生の海外留学について聞いたところ、「させた方がよい」が43.9%、「どちらかといえばさせた方がよい」が40.3%で、合計84.2%の成人が海外留学を肯定的に捉えています。「させた方がよい」(「させた方がよい」と「どちらかといえばさせた方がよい」の合計)という割合を年代別に見ると、20代が81.3%、30代が85.0%、40代が86.8%、50代が90.9%、60代が85.0%、70代以上が77.6%となっています。

海外留学が可能な高校生や大学生の保護者世代である40代や50代が高い割合を示している一方、自分自身が海外留学する立場でもある20代がやや割合が低くなっているのが気になるところです。しかし、70代以上を除くすべての成人世代で、海外留学に肯定的な割合が8割以上となっており、これから海外留学の希望者が増加することも予想されます。

高校生や大学生の海外留学を促進するための支援策(複数回答)としては、「奨学金などの経済的な支援」が72.5%と最も多く、次いで「日本の学校などにおける海外留学のサポート体制の強化(個別相談の実施など)」が52.9%、「海外の学校と日本の学校との連携・提携の強化(単位互換制度の導入など)」が43.2%、「留学に関する情報を得る機会の拡充」が39.7%、「企業などの採用活動における留学経験者への配慮」が28.6%などとなっています。年齢別では、「奨学金などの経済的な支援」を挙げた者は20代と50代に多く、経済的事情が深刻な問題として受け止められているようです。

一方、グローバル人材の育成に関する質問として、伸ばしていくべき力(複数回答)を尋ねたところ、「語学力・コミュニケーション能力」が76.5%でトップ。次いで、「国際社会の動向などについての幅広い教養」が41.3%、「異文化理解の精神」が40.5%、「日本人としてのアイデンティティや日本文化に対する理解」が39.8%など。

また、グローバル人材を育成するための取り組み(複数回答)は、「小・中・高等学校を通じた英語教育の強化」が65.6%、「国語教育や日本の伝統文化に関する教育の充実」が39.1%、「国際社会の動向などの幅広い教養を深める教育の充実」が38.8%、「日本人の高校生の海外留学支援」が33.9%などとなっています。年齢別に見ると、20代と30代では英語教育の強化を挙げる者が7割以上いる一方、50代では幅広い教養を求める声が多くなっています。

グローバル人材を育成するため、語学力やコミュニケーション能力、英語教育の強化などを求める意見が多い一方で、比較的に年齢が高い層では幅広い教養や伝統文化の教育も重視していることが注目されます。

グローバル化が進むなかで、海外留学などもより身近な話題となってきそうです。同時に子どもたちにどんな力を身に付けさせる必要があるのか、保護者も子どもと一緒に考える必要があるでしょう。

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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