海外留学のお金の負担が軽くなる留学奨学金

グローバル人材の育成が求められている

最近、海外の大学へ留学していた知人の話によると、同じ東洋人の留学生の中でも、中国や韓国の学生の姿がとても目立つそうです。文部科学省やOECDなどの調べによると、海外で学ぶ日本人留学生の数は、2004(平成16)年8万2,945人のピークから徐々に減って、11(同23)年には5万7,501人と3割も減ってきているようです。少子化や若者の内向き志向などが要因と言われています。 
しかし、ビジネスの現場では、経済の急激なグローバル化によるグローバル人材の育成の要望は高まっています。そこで、企業における社員の海外派遣の増加は言うまでもありませんが、国も政策として、学生のうちから文化や歴史的背景の異なる外国人との交流に対応できる人材を育成しようと、海外留学を促進しています。一部の大学では留学を必修にするところも出てきています。

しかし留学というと、個人的な経済的負担は重くなります。そこで、今回は、少しでも留学費用の負担を軽くするための留学奨学金について見てみたいと思います。



海外留学のための奨学金が充実してきている

奨学金は、大別すると給付型(返済義務なし)と貸与型(返済義務あり)の2種類があります。返済義務のない給付型の有名な留学奨学金には、古くからフルブライト奨学金があります。

安倍政権は成長戦略の一環として、2013(平成25)年6月に「2020(平成32)年までに日本人留学生を10(同22)年の6万人から12万人へ倍増させる」という政府方針を決定しました。それにともない、今年度から新しい海外留学の給付型奨学金(返済義務なし)として、官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」が設立されました。
この奨学金は、1か月~1年間程度の短期留学を希望する大学生などを対象に、奨学金として月12万円~20万円(留学先地域により異なる)、学費や登録料などの授業料として上限30万円、留学準備金が支給されます。2014(平成26)年は募集枠300人に対して1,700人が応募。来年度は募集人数を大幅に拡大する予定のようです。今年度の募集は既に終わりましたが、来年度の募集は2014(平成26)年7月下旬から始まり、エントリーは同年10月ごろからです。

そのほか、自治体も奨学金制度があります。たとえば、埼玉県では「埼玉発世界行き」奨学金として、本人や保護者が県内に在住中などの条件を満たせば、毎年上限20万円~100万円(コースや世帯所得により異なる)が受給できます。
さらに、民間団体も独自の奨学金制度があります。経団連国際教育交流財団では、「経団連グローバル人材育成スカラーシップ」として、指定している46大学から海外の大学や大学院に約1年間留学する学生を対象に、1人100万円の資金を約30名に支給(使途は限定せず)しています。



奨学金を利用するポイントや注意点

奨学金は自分から積極的に情報を収集する必要があります。待っていても誰も何もしてくれません。まずは、お子さんが志望する大学や通学している高等学校などのサイトを見てみましょう。サイトに掲載されていないこともあるので、学生課にこまめに足を運ぶのもひとつの方法です。つぎに、日本学生支援機構のサイトや保護者の在住・在勤している縁のある地方自治体のサイトも見てみましょう。
見る際にはポイントや注意点があります。まず、応募資格や奨学金の対象になるかの条件をチェックしましょう。保護者の所得制限などの要件にあてはまる必要もあります。さらに、奨学金は給付型か貸与型なのか、奨学金はいくら支給されるのか、募集人数枠などを見ておきましょう。募集期間も大切です。奨学金制度は1年に1度の募集が多いので、期間を見のがすと来年まで待たなければなりません。

留学資金は、学費(授業料など)のほかにも、生活費(宿舎代・食費・交通費など)、渡航費用(航空運賃・ビザ手数料・保険料・予防接種代など)が必要です。すべての留学資金をまかなえる奨学金は少ないので、奨学金以外は自分で準備する必要があります。事前に必要な情報を収集して資金準備を早めに計画しておくと、経済的な心配や不安を減らすことができるので、留学生活に専念することができるでしょう。


プロフィール


山本節子

専業主婦の時代、15回の不動産売買の経験をキッカケに、FPや日本証券アナリスト検定会員補の資格を取得。現在は買い手の立場に立った相談業務、セミナー講師、雑誌や書籍の執筆などを行う。(株)リスタート代表。

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