小学生の「指しゃぶり」や「爪噛み」の原因や対処法は?やめさせるべき?

幼児の頃はよくやっていた指しゃぶり。卒業したと思って安心していたのに、小学生になってまた始まってしまった、ということはありませんか? 実は、指しゃぶりや爪噛みの癖がなかなか治らない小学生は意外に多いものなのです。こういった指を吸う、噛むなどの癖について、どうして始まってしまうのか、どうやめさせればいいのかなどについても考えてみましょう。

指しゃぶりや爪噛みの原因

小学生が指しゃぶりや爪噛みをするのは「癖になって続けてしまうから」「気持ちが落ち着くから」ということが多いものです。指を吸う、噛むなどの行為はもともと精神的な安定をもたらす作用があるため、最初は爪が気になった、口の中が気になった、手持無沙汰だったという些細なきっかけから、何となく続けてしまうことも多いようです。

ストレスが原因のこともある?

指しゃぶりや爪噛みは目立つ癖なので、見かけるたびに「何かストレスがあるのかもしれない」と心配される保護者も多いと思います。しかし、多少のストレスは誰しもが抱えているもので、過度ではない限り心配しすぎる必要はありません。

小学生にも自分の世界があり、人間関係があります。まったくストレスがないというわけにはいきません。みんな多少のストレスはあり、何らかの方法で解消しています。そのため、指しゃぶりや爪噛みの癖だけが、深刻なストレスから発生する怖い癖だと考える必要はありません。しかし、なんらかのSOSのサインである可能性も完全に否定することはできません。指しゃぶりや爪噛みといった癖だけでなく、体調や仕草、表情、話し方、持ち物に変化はないかなど、総合的に考えるようにしましょう。

指しゃぶりの対処法は?やめさせるよりも「我に返させる」声かけを

指しゃぶりは、癖になってしまっていることが多いものです。そのため、やめようと思ってすぐにやめられるわけではありません。保護者のかたからすると、気になってやめさせたいと思うことも多いかと思いますが、指摘しすぎたり、叱りすぎたりすることのないように注意したいですね。あまり指摘すれば逆に気になって、頻度が上がってしまう可能性もあります。恥ずかしいことだと思わせるために「赤ちゃんになっちゃったの?」などと責め立てると、今度は人目を忍んでやるようになってしまうかもしれません。次の3つの方法で、徐々に頻度を少なくしていけるといいですね。

指しゃぶりの影響を伝える

小学生になれば、理解力もついてきているものです。そのため「やめようね」というだけでなく、指しゃぶりの影響もあわせて伝えるようにしましょう。指しゃぶりや爪噛みで歯並びが悪くなってしまう可能性があること、爪が変形して戻らないかもしれないことなど、体に与える影響をわかりやすく話してあげられると、注意していこうという気持ちを引き出すことができるでしょう。

我に返らせる

指しゃぶりや爪噛みをしている最中の子どもは無意識であることが多いため、「自分は今、指しゃぶりをしてしまっていた」と気づかせることが必要です。声をかける場合には、「だめ」「やめさない」といった注意の言葉を投げかけるのではなく、まったく別の話題の質問をするなど、「我に返させる」ことを目的にしてください。それこそ、「そのリモコン取って」「喉は乾いていない?」「お茶を飲む?」でも構いません。

手を使わせる

指しゃぶりや爪噛みをするのは、手持ち無沙汰であることが原因になっていることも多いもの物です。そのため、できるだけ手を忙しくするようなことに誘ってみるのも効果的です。ページをめくる必要がある読書、指先を使う折り紙やあやとり、料理や掃除のお手伝いなど、手を使う作業やお手伝いに誘ってみるといいでしょう。いいストレス解消法になるとともに、親子の時間を共有するいい機会にもなります。

自然に治まるのを気長に待ってみても

 小さい頃の癖のほとんどは、自然に治まるものと言われています。あまり心配しすぎず、時間をかけてゆっくり対応していくようにしましょう。「年単位」のことになるかもしれませんが、小学校高学年から中学生にかけての思春期は特に自分の外見を気にするようになります。保護者から言われなくても治まる可能性が非常に高いと考えていてください。

プロフィール



大阪青山大学子ども教育学部子ども教育学科 教授。健康運動指導士。
幼年期における運動遊びが社会的心理におよぼす効果や親子体操が養育態度に与える効果を研究。子どもの運動指導に関する著書多数。
永年にわたる国民への健康づくりに貢献したとして,2018年厚生労働大臣感謝状を授与される。

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