体の部位から探す:手・足・つめ
2024/1/26
叱るのは逆効果?子どもの爪かみの原因とやめさせ方【医師解説】
お子さまの爪かみが気になっているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。深爪や出血なども心配なうえ「寂しいのかな?」と不安を覚えてしまうこともあるかもしれません。
子どもの爪かみの原因から、やめさせる工夫、受診したほうがいいケースの目安、発達障害やチックの可能性について、東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生監修のもと解説します。
監修者
山中 岳やまなか がく
子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さまの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。
子どもの爪かみ、考えられる原因は
爪かみは、指しゃぶりが終わる3歳ごろから始まることが多いものです。深爪になるほどかむケースもあり、心配に思われることもあるでしょう。つい注意してしまうものですが、まずはお子さまがどんな時に爪をかんでいるかを観察し、爪かみの背景に何があるのかを考えてあげられるといいですね。一般的には、次のような原因が考えられるといわれています。よくいわれる「親の愛情不足」ということはありませんので、その点は心配しすぎないでくださいね。
1.心理的な不安や緊張
保育園入園や小学校入学、引っ越しやクラス替えといった環境の変化による不安、友達とケンカしたことによるイライラ、苦手な先生や授業があることによる緊張など、子どもはさまざまなことが原因でストレスを抱えるものです。
また、子どもは大人に比べて悩みやストレスへの対処にも慣れていないもの。心理的な負荷が爪かみを含めた行動に表れることは少なくありません。
保育園入園や小学校入学、引っ越しやクラス替えといった環境の変化による不安、友達とケンカしたことによるイライラ、苦手な先生や授業があることによる緊張など、子どもはさまざまなことが原因でストレスを抱えるものです。
また、子どもは大人に比べて悩みやストレスへの対処にも慣れていないもの。心理的な負荷が爪かみを含めた行動に表れることは少なくありません。
2.退屈しのぎとしての癖
手持ち無沙汰の時に、爪をかんで退屈しのぎをしていたことを繰り返した結果、癖になってしまったということもあります。無意識にしてしまっているため、気付けば爪の白い部分がなくなるほどかんでいたということもあるでしょう。
手持ち無沙汰の時に、爪をかんで退屈しのぎをしていたことを繰り返した結果、癖になってしまったということもあります。無意識にしてしまっているため、気付けば爪の白い部分がなくなるほどかんでいたということもあるでしょう。
爪かみをするからといって必ずストレスを抱えているというわけでもなければ、上記の原因に当てはまらないものの爪かみをする子どももいます。お子さまの様子をよく観察して、どんな時に爪をかんでいるかを観察し、お子さまの心の中を想像してみてください。
やめさせるにはどうしたらいい? 叱るのは逆効果かも
爪かみがエスカレートしていくと、出血したり、傷口からバイ菌が入ったりするリスクもあります。また、爪かみをする姿は周りから見ても行儀が悪い印象を与えてしまうこともあるものです。
だからといって「やめなさい」と強い言葉で叱ったり、無理やり口から指を離したりするのは逆効果であるため注意が必要です。先述したとおり、爪かみの裏側には心理的な緊張や不安があることが多いもの。爪かみで心のバランスをとっていたところ、無理やりやめさせられてしまっては、ストレスがさらに増大し、より悪化してしまいます。癖になっていることをやめさせるのには、時間がかかるもの。次のような方法で少しずつ、爪かみの時間を短くしていきましょう。
1.爪を短く切る
爪を短く切っておけば、かめる部分が少なくなります。かめる部分が少なければ、爪かみに夢中になりすぎることも少なくなるかもしれません。爪かみを防止するキャップや手袋をつけるという方法もありますが、外してしまうことも多いため、まずは爪を短く切ることから始めるのがよいでしょう。
爪を短く切っておけば、かめる部分が少なくなります。かめる部分が少なければ、爪かみに夢中になりすぎることも少なくなるかもしれません。爪かみを防止するキャップや手袋をつけるという方法もありますが、外してしまうことも多いため、まずは爪を短く切ることから始めるのがよいでしょう。
2.爪をかみそうな時、別の行動に促す
退屈しのぎで爪かみをする場合などは、爪をかみそうなタイミングで他の行動をするように促すのも効果的です。「暗くなってきたから、電気つけてくれる?」「タオル、持ってきてもらえる?」とお手伝いを頼んだり、「パズルの続きやったらどう?」と遊びに誘ったりするのもいいでしょう。
退屈しのぎで爪かみをする場合などは、爪をかみそうなタイミングで他の行動をするように促すのも効果的です。「暗くなってきたから、電気つけてくれる?」「タオル、持ってきてもらえる?」とお手伝いを頼んだり、「パズルの続きやったらどう?」と遊びに誘ったりするのもいいでしょう。
3.ルールを決めて、成功体験を積ませる
癖になっていることは、いきなりやめることは難しいもの。少しずつ、爪かみを減らせるように無理のないルールを決めるのもおすすめです。「中指はかまない」といった守れそうなものから始めるといいですね。ルールを守れた時は、しっかりほめてあげましょう。「かまずに過ごせた」「ほめられた」という成功体験が積み重なることで、爪かみをやめていくことへのお子さまの意識も高まるはずです。
癖になっていることは、いきなりやめることは難しいもの。少しずつ、爪かみを減らせるように無理のないルールを決めるのもおすすめです。「中指はかまない」といった守れそうなものから始めるといいですね。ルールを守れた時は、しっかりほめてあげましょう。「かまずに過ごせた」「ほめられた」という成功体験が積み重なることで、爪かみをやめていくことへのお子さまの意識も高まるはずです。
受診したほうがいい場合は?
強い爪かみを繰り返し、傷ができたり、出血したり、変形したりするほどになっている場合は小児科を受診することをおすすめします。傷口から感染することも、まれではありますがゼロではありません。
障害やチックとは関係ある?
爪かみがやめられないと、なんらかの障害や疾患があるのではないかと心配になることもあるでしょう。
癖だと思っていた爪かみが、突発的で無意識な体の動きを繰り返すチックだったということもあります。また、手がボロボロになったり変形するほどかみすぎたりする場合は強迫性障害が原因になっていることもあります。
爪かみがひどいからといって、チックや強迫性障害が必ずあるというわけではありませんが、単なる癖の範囲を超えていると感じられる場合は、小児科などで相談することをおすすめします。
まとめ&実践TIPS
爪かみは、多くの子どもに見られるものです。成長につれて減っていくものであるため、「やめさせなければ」と神経質になりすぎる必要はありません。とはいえ、どんな時に爪かみをしているのかを観察することや、傷ができるほどになっていないかなどを注意して見ていくことは大切です。爪を短く清潔に保つことや、さりげない声かけのサポートで少しずつ減らしていけるといいですね。
clinic TOPに戻る