校舎の寿命も80年に! 建て替えよりも「長寿化」で費用を8兆円圧縮
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昨今、全国的に校舎などの老朽化が大きな問題となりつつある。現在40年程度とされている校舎の耐用年数を、改良工事により70~80年程度に延ばす方針が固まってきた。これは文部科学省が設置した専門家による協力者会議で検討された結果によるもの。その内容を、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏はこう解説する。
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公立小・中学校の校舎などの最大課題であった耐震化は、東日本大震災を契機に進み、2013(平成25)年度には約93%までめどが立ちました。文科省が設置した協力者会議のまとめでは、老朽化対策は建て替えではなく、改修工事による「長寿化」を基本方針とすると発表されています。
「長寿化」を選択した背景には、国や地方自治体の財政難が背景にあります。現在、公立小・中学校などの建物面積全体のうち72.6%が「築25年以上」の建物で占められています。もしも全面的に建て替えようとすれば莫大な経費がかかり、逆に老朽化対策が遅れることも懸念されるからです。建て替えではなく改修工事をすることで、今後30年間で老朽化対策にかかる経費を38兆円から30兆円に圧縮できると推計しています。
改修工事にあたっては、二重サッシなどによる断熱化強化などの省エネルギー化、障害のある子どもの受け入れに対応したバリアフリー化、地域住民も利用できる複合施設化なども合わせて実施することにしています。ほかにも、天井や照明器具などの耐震化や、災害時に地域住民の避難場所となる体育館の落下防止対策も優先的に進められる予定です。
協力者会議によると、今まで40年程度とされていたコンクリート校舎の寿命を場合によっては100年まで延ばせるとしています。これからは、古い校舎を建て替えるのではなく、手入れをしながら長く使うという時代がくるようです。