子どもを読書好きにする方法 読書好きの小学生は国語力・集中力が伸びる!【後編】

子ども時代に出合った本が大人になった今でも心の支えになっている、というかたも少なくないでしょう。本は知識を得られるだけではなく、時には読んだ人の考え方や行動を変えてしまうほど大きな可能性を秘めています。膨大な本の中からそうした心の1冊に出合わせるためのサポートについて、引き続き、児童文学評論家の赤木かん子さんがお話しします。


書店に連れていって読みたい本を自由に選ばせよう

 これまで読書に関心がなかったお子さまに本と出合わせる方法としては、月1回、保護者のかたと一緒に書店を訪れ、「好きな本を1冊選んでね」と買ってあげることをおすすめします。

 

その際、「これはダメ。他の本にしなさい」などと否定しないことをルールとしてください。お子さまが手に取った1冊が、今まさに読みたい本なのです。そして、その本を否定せずに受け入れるという行為は、お子さまの存在を認めて支持することを意味します。そうすれば、きっと保護者のかたのことを「自分の味方だ」と感じ、信頼感を強めてくれるでしょう。大人からしたら「何がおもしろいのかわからない」と理解できない本だったとしても、黙って受け入れることはできるはずです。

 

 

読書の途中で読むのをやめるという選択肢を与えよう

 本を読み始めたら干渉せずに本の世界に浸らせてあげることも大切です。特に低学年のお子さまは、フィクションでも本当にあった物語として読んでいることが多いため、わざわざ「本当はサンタクロースはいないんだよ」などと世界観を壊す必要はありません。
お子さまが本の感想を話してきたら耳を傾けていただきたいのですが、保護者のかたのほうからしつこく聞くのもやめたほうがいいでしょう。それよりも読書中のお子さまの表情から、没頭できているかをよく観察してください。

 

また、もし本がつまらなくて途中で読むのをやめてしまっても、「せっかく買ったのだから読みなさい」などと強制しないようにしましょう。読まないことを選択する自由を与えると、読書がとても気楽なものになります。
興味が失われた本を無理に読むのは苦痛に他なりません。「読書を始めても集中が続かない」という悩みを聞くことがありますが、それはその本がお子さまの興味と合わなかったと考えていいでしょう。本選びには失敗は付きものです。失敗を重ねるごとに自分が楽しめそうな本に対する選択眼は磨かれていきます。

 

 

図書館カードはお子さまへの最高のプレゼント

 書店と同様に、図書館も本との出合いの場となります。地方によっては車に乗らないと行けないことも多いので、ぜひ保護者のかたが時間をつくってあげてください。

 

アメリカのある図書館のポスターで、「あなたのお子さまに与えられる最高のプレゼント、それは図書館カードです」というコピーを目にして、とてもすばらしい言葉だと思いました。図書館のカードを持つだけで、お子さまは自分の力で広い世界に飛び込んでいくことができるのです。

 

図書館では、借り方と返し方を教えると共に、困ったことは何でも司書に相談していいということを伝えるくらいで十分です。あとは、本の山から自由に好きな本を探してもらいます。どのような本を何冊借りてもよしとしましょう。借りすぎと思っても、「そんなに読めないよ」などと注意する必要はありません。返却日までに読みきれなかったら、次回は自分の読書スピードを考えて適正な冊数を借りるようになるはずです。

 

保護者のかたとしては、自分が子ども時代に感動したり、勉強になったりした本を勧めたいという気持ちもお持ちでしょう。時にはよいのですが、そればかりでは本を選ぶ楽しみが奪われてしまいます。膨大な本の中から自分の心に響く1冊を見つけることができた時の喜びをお子さまに存分に体験させてあげましょう。お子さまがそういう本を選びとれるように、一歩引いた位置からサポートすることが大人の役目です。

 

 

読書好きの小学生は国語力・集中力が伸びる!【前編】はこちら

プロフィール



児童文学評論家。子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評の発表など多方面で活躍。図書館の改善運動にも積極的で、各地の小中学校図書館の活性化や図書館司書の育成などに努める。著書に『子どもを本嫌いにしない本』(大修館書店)、『今こそ読みたい児童文学100』(筑摩書房)など。

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