子どもを読書好きにする方法 読書好きの小学生は国語力・集中力が伸びる!【前編】

季節はまさに「読書の秋」。集中して本を読むのにはぴったりの気候ですが、「うちの子はなかなか本を読んでくれない……」と悩む保護者のかたは少なくないようです。どのようなサポートによって、お子さまは読書を好きになってくれるのか、各地の図書館の活性化運動を推進する、児童文学評論家の赤木かん子さんにお話を伺いました。


名作や古典を読むことだけが読書ではない!

 保護者のかたから「うちの子は本を読まない」という悩みを伺うことがあります。しかし、お話をよく聞くと、「本」を読まないのではなく、「小説」を読まないだけという場合が少なくありません。さらに言うと、「自分が読んでほしい本」を読まないことに不満をもつかたも多いと気づきました。

 

ところが、「小説を読ませて、どういう力を伸ばしたいのですか」と質問すると、はっきりとした答えは返ってきません。名作や古典と呼ばれるような小説を読めば、何となくよいことがありそうという気がするのかもしれません。

 

言うまでもなく、小説は本のごく一部にすぎません。図書館では0から9までの数字で本を分類しますが、そのうち文学作品は9で、他の数字はすべて他のジャンルです。

 

私の感覚では、小学生が100人いたら、そのうち小説が好きな子どもは3人くらい。特に4年生ごろになると、サンタクロースが実在しないことに気づくように、フィクションとノンフィクションが明確に区別できるようになり、作り話である小説をあまり読みたがらなくなります。代わりに伝記や歴史モノなど、本当にあったリアルな話への関心が高まります。男の子ほど、そうした傾向が強いようです。

 

 

読みたい本を読ませることが読書好きにさせる確実な方法

 そういう時期に無理やり小説を読ませようとすると、ますます本を敬遠しかねません。大人でも、まるで興味がないのに法律の判例集を読めと言われたら苦痛でしかありませんし、頭の中にも入りませんよね。

 

だから、子どもを本好きにする方法は、子どもが読みたがらない本は無理に読ませないということに尽きると思います。子どもが読みたがる本だけを読ませればよいのです。

 

それでも、「うちの子はどんな本も読まない」と言う保護者のかたもいるかもしれません。しかし、長年にわたって子どもと本に向き合ってきた私は、「最初から本を嫌いな子どもはいない」と断言できます。人間は、見たくて聞きたくて知りたくてたまらない生き物であり、そうした欲求は子どもの時ほど強いものです。

 

今は本を手に取らないとしても、かつては絵本や図鑑に興味を示していたかもしれません。また漫画を読むことも立派な読書と、私は考えています。漫画作品の中には文学や物語として非常に優れたものがたくさん存在しますから。

 

そのように最初は好きな本があったのに、保護者のかたが「この本は読書とはいえない」と考えて、子どもがあまり興味をもたない本をすすめるうちに本嫌いになってしまったというケースはよく耳にします。もちろん小説から得られるものもありますが、それ以外のジャンルも学びの宝庫です。ぜひ、お子さまが興味をもった本を受け入れることから、我が子を本好きにするサポートを始めてみてください。

 

 

本は「独学の友」。本好きになれば独力で成長を続けられる

 本から得られるものの多さを知れば、読書しないことのもったいなさに気づくでしょう。まず多くの文章を読むことで、日本語の力がぐんぐん伸びます。特に、小学校レベルの読み書きを習得するうえでは、説明文が書かれた本を多く読むといいでしょう。それによって相手の説明を理解し、自分の考えをわかりやすく伝える力が育ちます。もちろん、それは国語の力にもつながります。

 

読書を通して知識もどんどん広がります。今の小学生の知識を増やすことに大きく貢献しているのが、いろいろな出版社が出している学習マンガのシリーズです。各社が人気の漫画キャラクターを登場させて、宇宙、動物、歴史、環境、地理、産業、国際問題……など、実にさまざまな分野についてわかりやすく解説しており、大人でも十分に楽しめます。こうしたシリーズをむさぼるように読んで、幅広い知識を得ている子どもは少なくありません。

 

集中力が伸びることも、読書の大きな利点です。興味のある本に我を忘れて没頭する子どもは、非常に集中している状態です。そうした経験をくり返すうちに、脳が集中力を発揮する手順を覚え、あまり気乗りがしないことにも集中して取り組めるようになると考えています。

 

そして、読書によって得られる最たるものといえるのが、広い視野に基づく思慮深さです。読書を通して「地球の裏側で何が起きているか」を知っても、今すぐに役立つわけではありません。しかし、世界の動きを知ることで自分の立ち位置を把握できますし、過去を知ることで未来を予測して行動できるようになります。こうした広く深い情報収集は、本以外のメディアでは難しいでしょう。映像や絵画、演劇など他のメディアにもそれぞれの強みがありますが、「膨大な情報を的確に伝える」という点では活字にはかないません。インターネットも、情報の質量において活字には到底及ばない状況です。

 

本とは、いわば「独学の友」です。読書が好きになることで、生涯にわたって独力で成長を続けることが可能になるのです。

 

 

読書好きの小学生は国語力・集中力が伸びる!【後編】はこちら

プロフィール

赤木かん子

児童文学評論家。子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評の発表など多方面で活躍。図書館の改善運動にも積極的で、各地の小中学校図書館の活性化や図書館司書の育成などに努める。著書に『子どもを本嫌いにしない本』(大修館書店)、『今こそ読みたい児童文学100』(筑摩書房)など。

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