中学校に新学習指導要領導入で、入試対策は「普段から書くことに慣れておくこと」と専門家

中学校では2012年度から新しい「学習指導要領」に基づいて授業が行われている。今度の学習指導要領は、知識を身に付けるだけでなく、それらを活用する力を重視したものであり、「公立高校の入試問題も知識を問うだけでなく、活用する力(思考力・記述力・読解力)を問う問題が増えると予想される」と安田教育研究所の安田理氏。では、問題傾向が変わるのにもかかわらず、過去問に取り組む意味はあるのだろうか? 安田氏に過去問の取り組み方について伺った。

 

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「過去問」を実際に見るとわかるのですが、これまでにも「思考力・記述力・読解力」を見る問題は出題されています。今後は、そのような問題がより多くなるということです。ですので、これまでの出題の中から、「思考力・記述力・読解力」を問う問題を探し、重点的にやる必要があるのです。
そうはいっても、基礎知識が定着していないことには活用もままなりません。まず知識問題をしっかりと解いていきましょう。そのあとで、考えさせる問題、記述が多い問題を手掛けるようにします。保護者のかたの時間がある時に、「過去問」の中から、また他の都道府県の「過去問」の中からも、そのような問題をピックアップし、用意してあげると、練習の機会が増えます。都道府県共通問題より、自校作成問題(学校独自問題)にそのような問題は多いので、それらに取り組むのも有効な対策です。

 

一方、最近の公立高校の推薦入試は、調査書、面接、小論文・作文・実技検査などをすべて点数化し、総合得点によって合否を決めるのが原則になっています。推薦入試といえば、まず調査書点の得点を上げることが重要ですが、上位校では小論文・作文を実施する学校も増えています。さらに上位校の場合は学力検査の代わりになるものとして、あるテーマについて、資料や課題文を与え、それらを分析して自分の考えをまとめて書かせる、といった問われ方をします。ですので、中学校時代の調査書(内申)の成績を上げればいいというのではなく、ここでも問われるのは「思考力・記述力・読解力」ということになります。

 

一般入試・推薦入試のこのような変化への対策としては、普段から書くことに慣れておくことや、一定の時間内に与えられたテーマについて考えをまとめて書けることが有効です。限られた文字数や時間内で、論理的に話題を展開させるには練習が必要です。また、論旨が独りよがりにならないよう、保護者のかたが目を通してあげることも有効です。

 

出典:「新学習指導要領」で、入試問題はどう変わる?[高校受験] -ベネッセ教育情報サイト

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