所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て イギリスのデジタル時代への対応策(1)子どもの現状

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。



皆さんはお子さんに何歳から携帯電話、もしくはスマートフォンを持たせた(持たせるつもり)でしょうか。我が家は、この点に大いに悩みました。現在高校3年生の娘が小学生の時から、携帯電話を持つ子どもが徐々に増え始め、中学校に入るとさらにスマートフォンを持つ子どもが増え始め……。娘の「みんなは持っている」攻撃に夫婦で悩み、いくつかの約束事を決めたうえで中学校途中から携帯電話を持たせ、今はスマートフォンに切り替えました。

周りを見回しても、携帯電話やスマートフォン、さらにはタブレットPCなど、携帯できて手軽にインターネットにアクセスできるデジタル機器は、大人のみならず子どもも含めてユーザーが急増しているように思います。また、低年齢化も進んでいるように感じます。

一方で、デジタル機器が子どもに与える影響や、子どもへの与え方についてはさまざまな不安もあるようです。たとえば、社会性など精神・情緒面や、運動不足や目の疲れなど身体面への影響、また、長時間使用による生活リズムの乱れ、出会い系サイトなどの危険への危惧など。子どもへのデジタル機器の与え方を考えるうえでの参考に、2013(平成25)年からの1年間、私が過ごしたロンドンの状況をご紹介します。

イギリスでも、スマートフォンやタブレットPCは、子どもたちのクリスマスプレゼントとして大人気。イギリス放送通信庁(Ofcom)が2014(平成26)年に実施した調査によれば、5~15歳の子どものうち3人に1人、3~4歳でも1割以上が自分専用のタブレットPCを持っているそうです。専用機を持っていないまでも、約6割の子どもが自宅でタブレットPCを使ってインターネットにアクセスしているとのことです。

では、イギリスでは子どもたちは実際にどのようにタブレットや携帯電話、スマートフォンを使っているのでしょうか。ロンドンの公立学校に通うYear7(日本でいう中学1年生)のお子さんがいる友人に聞いてみました。「ロンドンやイギリス全域がそうかはわからないけど」と前置きしたうえで、答えてくれました。

まず、お子さんの友達はほとんど皆、自分専用のデジタル機器を持っているそうです。デジタル機器を学校に持っていくのは問題ありませんが、授業中や図書館での使用は禁止だとか。友人の家庭では、お子さんが友達とスマートフォンでやり取りする際は保護者にもオープンにしているそうで、そのような状況は日本ではあまりないように思います。また家族間の連絡も、緊急時以外ではスマートフォンは使わないことにしており、お子さんも過度にスマートフォンに依存してはいないようです。

小学生のお子さんを持つ、やはりロンドン在住の別の友人に聞いたところ、友人自身はまだお子さんに専用機を与えてはいないけれども、周りが持ち始めているのでどうしようか考えているとのこと。また、お子さんがタブレットPCでゲームや動画などを長時間使ってしまうことで悩むママ友が周りにおり、余計に悩ましいとか。

ただ、お子さんが通う公立小学校で、保護者が校長先生のお話を聞く機会があり(日本の保護者会のようなもの)、そこで校長先生が教えてくれた方法は、参考になったと話してくれました。それは、毎日必ずやることを決めておいて、それが終わってから寝るまでの時間はデジタル機器を使ってもよいというもの。毎日必ずやることとは、宿題などの家庭学習、家事やその手伝いはもちろん、自分の部屋を片付ける、家族と30分以上は顔を合わせてじっくり話す、など。「携帯電話は1日○分まで」という約束の仕方もありますが、まずは必要なことに時間を使うことを約束したほうが、携帯電話などに時間を奪われてやるべきことが進まないという状況にはなりにくいように思ったそうです。

また、学校からは年度初めに、「ICT Acceptable Use Policy(ICT利用規定)」というものが保護者に配られ、親子でこれを確認して誓約書を学校に提出するとのこと。内容は、デジタル機器やインターネット、SNSの利用上の注意事項をまとめたルール。たとえば「オンライン上で人が不愉快になるようなひどい言葉は使わない」「自分の電話番号や名字などの個人情報を明かさない」など、子どもにもわかる言葉で具体的に書いてあるので、子ども自身に読ませて気を付けるよう促すことができます。


プロフィール

沓澤 糸

大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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