所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 保護者の子どもへの関わり方(2)~アメリカとスウェーデンの場合

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。

前回では、子ども同士のけんかへの保護者の関わり方についてイギリスの事例を通じて考えてみましたが、今回はけんかに限らず親の子どもへの関わり方全体について、日本とアメリカ、そしてアメリカとスウェーデンの比較で考えてみたいと思います。

アメリカ流の子育てについて、皆さんはどんなイメージがありますか? もちろん、アメリカは広大で多くの人口を抱える国なので、地域や家庭によって子育てもさまざまだと思いますが、私のイメージでは子どもの自主性を尊重したおおらかさと同時に、マナーへの厳格さも失っていない、というものでした。これは、もう20年以上も前に私がアメリカにホームステイした時のホストファミリーのイメージです。おおらかな家庭でしたが、10歳の男の子は既にレディーファーストのマナーをしっかり身に付けていました。お隣のおうちの2歳の女の子は、朝起きると自分でクローゼットから服を選んで着替えていました。まあ、私の経験をもとにした個人的なイメージにすぎませんが。

ただ、そんなイメージを持っていたので、アメリカ人のChristine Gross-Lohさんに関する記事(※1)を読んだ時は、ちょっと驚きました。Christineさんは、日本での4人のお子さまの子育て経験を通じて、日本人とアメリカ人である自分との違いに驚いたことがあったそうです。それは、Christineさんが子どもたちを連れて公園に遊びに行った時のこと。アメリカ人の親の多くがそうしているように、危ない遊びをしないよう子どもたちのあとを追いかけていたChristineさんは、自分以外にそんな親はいないことに気付いたそうです。彼女は、アメリカ人は独立性や自主性、自由に富んでいると思っていたけれど、日本の子どものほうが、ずっと自主性を尊重して育てられていると感じたそうです。

また、アメリカでは自分の気持ちや考えをしっかり言えるように子どもを育てており、その点では自立性が高いけれども、子どもが自分の責任で行動することから遠ざけてしまっていたのではないか、ということを、日本など他国での育児について知るなかで感じた、とも言っています。

国は変わってスウェーデン。北欧の国というと、昔からおおらかな子育てをしていたのではないかと私は勝手に思っていましたが、アメリカ人のScott Thompsonさんの記事(※2)によれば、スウェーデンも第2次世界大戦が終わるころまでは、母親は家庭、父親は仕事、学校や家庭では時には体罰も含めて厳しく子どもをしつけるという、厳格で伝統的な子育てのスタイルだったとか。それが戦後の社会変化とともに大きく変わり、父親も母親と同等に育児を担うようになり、体罰も法律で禁止され、言葉で子どもを諭すしつけの仕方を保護者たちが身に付けていったそうです。

Scottさんはまた、子育てにおけるスウェーデンとアメリカの最も大きな違いの一つとして、スウェーデンの親のほうが子どもにリスクのある行動をする自由をより認めている点を挙げています。子どもたちは小学校入学前から、自由に木登りをしたり、街中で自転車に乗ったりしているとのことです。それでいて、子どもがけがをする割合は、世界中で最も低いというデータもあるそうです。

子ども同士のけんかにしても、子どもの行動の自由にしても、どこまで保護者が関わるかはケース・バイ・ケースで、親自身が都度判断しなければならないことに変わりはありませんが、そのバランスをどう取っていくのか、さまざまな情報を知ることで、迷いながらも自分なりのよりよい方法や基準が見つけられるとよいですね。


※1 Japanese Parenting Styles (Scott Thompson, Demand Media / Modern Mom )

※2 Swedish Parenting Traditions (Scott Thompson, Demand Media / Modern Mom )


プロフィール



大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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