高校入学からの1か月、子どもが抱きがちな三つの悩み

勉強や部活動、学校行事と、お子さまはきっと3年間の高校生活を満喫することでしょう。ただ、小学校から中学校に進学したとき以上に、高校進学に際してお子さまはさまざまな環境変化に直面します。特に入学後1か月、お子さまが高校生活で悩んだり、不安に感じたりしがちなことについて、今回はご紹介します。お子さまを見守っていくにあたっての参考になれば幸いです。


高校に入ったらびっくりするくらい成績が下がってしまった!

 お子さまの周りのクラスメートは、高校入試を突破して高校に合格した生徒たちばかり。したがって、学力については、大きな違いのない生徒が集まっていることになります。そのため、「中学校のときはトップクラスだったのに、高校に入ったら下から数えた方が早くなってしまった」ということも決して珍しくありません(もちろん、反対に、高校に入ってから上位層になるケースもあります)。お子さま自身、「各中学校から成績のよい生徒が集まったのだからしかたない」など、頭では理解しているはずですが、それでも、これまで成績がよかった子ほど、大きな変化に戸惑ってしまいがちです。

 

高校の次は大学であり、大学入試は全国レベルの選抜です。したがって成績も、校内順位ではなく、全国レベルで考えることが重要です。お子さまが思わぬ校内順位に驚いているときは、「これからは、全国模試などを使って、自分の学力を大きなスケールで測った方がいい」とアドバイスしてあげてください。

 

また、入学直後の1、2か月は、中学校までの学力によって成績の差がつきやすく、高校で学んだ内容の理解が成績に表れるのはまだ先です。むしろ入学直後、気をつけなければいけないのは、「この成績だともうこの高校ではついていけない」などと不必要に悲観することです。入学直後は校内テストなどの順位に一喜一憂せず、それよりも予習・復習などの家庭学習習慣の確立を通して、高校生活に慣れることを重視したいものです。

 

 

なかなか友達ができない! どうしよう…

 「高校生の最大の関心事は、成績ではなく、部活動と友人関係」と言われることがあります。特に、友人関係は高校生活の満足度を大きく左右するものです。同じ中学校から進学した友達が少ない場合は、なおさら「高校で友達ができるだろうか」と不安になるものです。

 

「友達ができるだろうか」と少なからず不安に感じているのは皆同じでしょう。新しいクラスをながめ、当たり障りのない会話を通して、自分に合っていそうな友達がいるか、様子をうかがうように過ごす日々がしばらくは続きます。いったん仲良くなりかけたように思えたけど、数日後にはそれぞれ別の仲間と親しくなっているなど、関係も非常に流動的です。そうして、ゴールデンウィーク前後に、ようやくクラス内の関係が落ち着いていくようです。

 

入学後1週間やそこらでは友達ができなくても焦ることはないということを、お子さまに知ってもらいたいですし、もしも「なかなか友達ができない」と悩んでいるように見えるときは、「全く新しい環境だから、少し時間がかかるのは当然だよ」と教えてあげ、さらにご自身の体験を交えて「高校の時は同じように苦労した」「大学や会社でも友達ができるまで少し時間がかかった」など話し、安心させてあげるといいでしょう。そして、できれば「友達はできた?」などとストレートに聞いて、お子さまを焦らせないように配慮してあげてください。

 

 

勉強のやる気が出ない! ついついダラダラしてしまう…

 せっかく努力してあこがれの高校に合格したのに、新生活がスタートした途端、なんだかダラダラしてしまい、家でもテレビばかり…そんなお子さまもいるようです。そんなことで大丈夫? と保護者のかたは心配に思うかもしれません。

 

ただ、お子さまにしてみれば、高校入試が終わって、少しのんびりしたいと思っているだけかもしれません。高校入試の勉強が大変だったのに、「さあ、今度は高校の勉強だ」「3年後には大学入試だ」とあおるのは少しかわいそうです。また、のんびりテレビを見ているように見えても内心では「いつまでも怠けていてはやばいなあ」とお子さま自身もわかっているかもしれません。そんなときに「さっさと勉強しなさい!」と叱ってしまうと、「いまやろうと思っていたのに!」と反発するかもしれません。

 

高校生になったお子さまは、これから勉強面でも進路選択の面でも、少しずつ保護者の手を離れていかなければなりません。とはいえ、すぐに保護者のかたが望むように自立できるお子さまは少なく、やはり時間がかかるでしょう。お子さまを大切に思うからこそ、簡単なことではありませんが、ダラダラしているように見えるお子さまを叱るのではなく、「高校生になったら、自分のペースで1日を過ごせるようになるといいね」と大人扱いし、お子さまの自立を促したいものです。

 

 

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