所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 世界のおけいこごと事情(1)~イギリスの場合

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。



幼児や小学生のほとんどが、何かしらおけいこごとをしている日本。おけいこごとの種類も多種多様ですね。スイミングやサッカーなどのスポーツ、ピアノなどの楽器、英語などは特に人気が高いようですが、その内容・種類も子どもの年齢とともに変わっていくことが多いようです。

ところで、日本以外の国の子どもたちは、園や学校の授業以外で、どのようなことを学び、経験しているのでしょうか。私が1年間暮らしていたイギリスのおけいこごと事情を、少しのぞいてみましょう。

日本ではおけいこごとや勉強を教わるのは、家の中というよりは町中の教室というイメージがありますが、イギリスではそういった教室などの看板を見ることはほとんどありません。イギリスでは伝統的に自宅などで、チューター(個別指導者)からピアノやバイオリンなどの楽器や、勉強を教わっている子どもが多いようです。私立学校などの場合は、学校の中で個人レッスンを受けることができる場合も多いようです。

このような個別指導以外にも、学校の放課後に、クラブ活動でさまざまなおけいこごとをしている子どもが多くいます。アフタースクールクラブといって、学校の先生や、テーマによっては外部講師を招いて、アート、スポーツ、音楽や外国語など、いろいろなテーマの活動が行われているそうです。内容は、サッカーなどのスポーツはもちろん、特にイギリスらしいところでは、ガーデニングや乗馬、クリケットなど。1回あたり0~数ポンドでおけいこごとができ、それも学校の中ということで、多くの家庭が利用しているようです。 学校以外でも地域の中で、サッカーなどのスポーツ、合唱団やオーケストラ、アートなどの教室を、チャリティーと呼ばれるNPO・NGOのような非営利団体が運営しています。

そういえば、イギリスの写真館に行った時、私たちが日本人だとわかった若い男性店員が「僕、子どもの時に空手を習っていたんだ。友達がやっていてかっこよかったから習いにいったんだけど、親も礼儀を身に付けるのにいいと喜んでいたよ」と話していました。イギリスだけではなく、ほかの欧米の国々でもMartial Arts(武術・武道)は人気のようです。また、変わり種のおけいこごととしては、イギリスに住んでいたころ、自宅近くの大きな公園に空中ブランコの教室がありました。公園の一角(野外)に常設の練習場がありますが、割と人気があるようでした。

放課後ではなく、夏などの長期のお休みの時期は、多様なサマーデイキャンプのプログラムがあり、人気プログラムはすぐに定員オーバーになるため、保護者は早い時期から情報を集め、多い家庭ではひと夏にいくつものプログラムに申し込んで学校代わりに通わせている場合もあるようです。

このように、おけいこごとの内容や方法は違うものの、日本もイギリスも、勉強だけではない子どもの可能性や資質を伸ばしてあげたいと考える保護者は多いようですね。ただ、そのような保護者の思いや期待の高まりが行き過ぎると、子どもがのんびりと放課後を過ごす時間を奪ってしまう場合もあるようです。放課後がおけいこごとで埋まり、子どもが自分のその日の予定を自分で決めて過ごすことができなくなると、長い目で見た時に子ども自身の自発性などの育ちへの影響も心配されます。イギリスでも近年、「over-scheduled」(忙しすぎる)子どもの生活が危惧されています。子どもが自分自身で「今日は何をしようかな」と考える余裕を持てているか、一番身近な大人である保護者が時に立ち止まって見つめ直す必要があるのではないでしょうか。


プロフィール

沓澤 糸

大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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