上手な子どものしつけ方 ~5つのポイントをご紹介~

公共の場でのマナーや礼儀作法など、お子さまのためにも必要な「しつけ」。小さなうちから身につけてほしいものの、幼いからこそなかなか理解してもらえなかったり、身につかなかったりすると、イライラしてしまうというのは子育て中ではあるかもしれません。
そこで、親子でイライラしたり、大きな声で叱ったりしないですむ、しつけのコツをご紹介します。

「~しなさい」ではなく「~しようね!」

お子さまにとって社会のルールは未知なもの。周りの大人の真似をしながら、少しずつ社会性を身につけていきます。では、真っ白な状態のお子さまに対して上手にしつけをするにはどうすればいいのでしょうか。

まず心がけたいのは、「~しなさい」ではなく「~しようね!」に語尾を変えてみることです。どのような状況でも、大人がいきなり「~しなさい」と命令口調で言うとお子さまは戸惑ってしまいます。中には、反抗的になるお子さまも出てくるでしょう。大人でもいきなり頭ごなしに「~しなさい」と言われるとイヤな気分になるのではないでしょうか。

しつけをするときは、その理由をきちんと納得できるように説明し、「~しようね!」と提案することが大切です。そうすることで、「自分で頑張った」という自主性をお子さまが感じるようになるでしょう。

「~しないでね」ではなく「~してね」

しつけをするときに大切なポイントは、「否定しない」ということです。お子さまがしていることに対して、ついイライラして「~しないでね」と言ってしまうこともあるでしょう。しかし、お子さまは自分がしていることを否定されるとイヤな気分になり、素直に大人の言うことが聞けなくなってしまいます。

そこで大切なのは「やってはいけないこと」を言うのではなく、「やってほしいこと」を伝えること。ポイントは「具体的にやってほしい行動内容」を伝えることです。

お子さまは、イメージができないとうまく行動に移すことが難しい場合があります。
例えば、「汚い手でおにぎりを食べないでね」と大人が言っても、なぜダメなのかがお子さまにはわかりません。「汚い手でおにぎりを食べるとバイキンさんも一緒にお口の中に入ってしまうから、おなかが痛くならないように、きれいな手で食べようね」と言うだけで具体的なイメージが湧きやすくなるでしょう。
このように、なぜそうすることが良いことなのか、ということを伝えれば、お子さまも納得して行動に移しやすくなります。

「やらなかったことを叱る」のではなく「できたことを褒める」

しつけをする際にやりがちなのが、「やらなかったことを叱る」ということです。しかし、叱るとそのときは従うもののイヤイヤやることになってしまうでしょう。その結果、「バレなければいいや」という気持ちが芽生えやすくなりますので、次につながりにくくなってしまいます。

また、褒めるとお子さまはそのことを好きになり、自主的に動くようになるかもしれません。褒めるときのポイントは「えらいね」や「すごいね」だけではなく、「おかげでママ助かったわ」や「きれいにお片づけできて気持ちがいいわね」などの言葉で伝えることも大切です。お子さまの行動の結果、どんないいことが起きたのか、ということも一緒に伝えると、よりお子さまのやる気につながりやすいでしょう。

大きな声ではなくできるだけ落ち着いた声で

お子さまがうまくできないときなどに、つい大きな声で叱ってしまうという方も多いのではないでしょうか? そんなときほど、できるだけ落ち着いた声で話しかけることが、しつけをする際の大切なポイントになります。

少し低めの声で、しっかりと目を見て話すようにすれば、よりお子さまに気持ちが伝わりやすくなるでしょう。お子さまの目線までしゃがんで話すと、威圧感も軽減できます。また、ショッピングモールやスーパーなどの大勢の人がいる場所でも、大声でお子さまを叱ることは避けましょう。お子さまの自尊心を傷つけることにもなります。
お子さまは保護者や周りの大人たちの行動をよく観察しています。大人自らが礼儀作法の見本となるような行動、振る舞いを心がけるのも、しつけにおける大切なポイントになるでしょう。

こんなときは叱ってもOK

そうはいっても、しつけをするということは、ルールを教えるということでもあります。ケガにつながるような危険な行動があった場合は、しっかりと叱るということも必要になってくるでしょう。それでは、どんな場合に叱ってもよいのでしょうか。

危険なこと(刃物で遊ぶなど)をした場合

命にかかわるような危険なことをした場合は、叱ることも必要でしょう。しかし、その場合もなぜダメなのかをしっかりと伝えることが大切です。
例えば、お子さまは、遊びに夢中になって道路に飛び出したり、興味があることに気を取られて危険に気づくのが遅くなったりすることがあります。そうした場合は、その場でしっかりと叱るようにしましょう。

叱るときはなぜダメなのかということをしっかり伝えながら、「その場で」叱ることが重要です。時間が経ってから叱っても、どれだけ危険だったのか、なぜいけないことだったのかお子さまには理解しづらく、「叱られた」という印象しか残らなくなってしまうでしょう。

大切な約束事を守らなかった場合

約束を守ることはもちろん大切ですが、もしも、お子さまがその約束事の重要性が分かっていなかった場合、ただ単に約束を守らなかったからという理由で叱っても、お子さまには納得できないかもしれません。では、保護者が叱ってもよい約束事とはどのようなものなのでしょうか。

例えば、ケガに結びつきそうな危険な遊びをしていた時に、危ないからという理由で、その遊びはしないという約束をした場合はどうでしょう。お子さまは危ないからという大切な理由を理解し、約束をします。

しかし、子供ですから約束を破ってしまうこともあるでしょう。そこで保護者のかたが「危ないという理由で約束をしたのに」と叱ったとします。お子さまはどう思うでしょうか。叱られても仕方ないという気持ちを持つのではないでしょうか。

このように、守らなくてはならない大切な約束を守れなかったときは、叱ってもよいでしょう。
しかし、しつけだからと、どんなことでも約束をして、守れないからと叱ってばかりいる状態にはならないよう気を付けてください。保護者は約束事の内容が、叱る必要のあるものなのかどうかを判断することも大切です。
もちろん、約束を守るということも大切ですので、叱るほどの約束ではないと判断した時は、叱るのではなく話し合ったり、態度によっては注意したりということでもよいのではないでしょうか。

しつけは愛情を持って根気強く

しつけには、根気と体力が必要です。いっぱい褒めたほうが伝わりやすい子もいれば、ゲーム感覚で取り組むことで自然と身につく子もいるなど、お子さま一人ひとりに合った方法があります。
しかし、いくら工夫しても、保護者とお子さまの信頼関係がなければうまくいかないこともあるでしょう。だからこそ、普段からお子さまの「意欲」や「できたこと」などを認めて褒めてあげることで自尊心を育み、信頼関係を構築しておくことが、しつけをしやすくする一番のコツかもしれません。愛情を持って、丁寧にしつけをしていくようにしましょう。(監修:市川由美子)

子どものしつけは年齢に合った伝え方を

子どものしつけは「何歳になったらスタート」「これができるようになったら開始」というものではありません。赤ちゃんに愛情を持って話しかけ始めたときから、しつけはスタートします。ただし、子どもは発達段階によって理解できる内容が異なるため注意が必要です。年齢に合った方法で「良いこと」「悪いこと」といった社会のルールを伝えていくようにしましょう。

0歳:しつけの土台作りとして、安心感を与えて

0歳の赤ちゃんは、まだまだ言葉が伝わりづらい時期。そのため、怒ったり、注意したりしても効果は出づらいものです。この時期に大切なのは、親子の信頼関係を構築し、赤ちゃんに安心感を与えてあげること。赤ちゃんの好奇心旺盛な行動を丸ごと受け止め、受け入れてあげましょう。そうすることで「自分は保護者に愛されている」「保護者は自分の存在を大切に感じている」という基本的信頼感が生まれます。これが心の成長としつけを理解する土台となっていくのです。親子の信頼関係が育まれてこそ、しつけは成り立つことをしっかり理解しておきましょう。

また、この時期の赤ちゃんは、コンセントに手を入れようとしたり、熱いものに触ろうとしたり、電池を舐めようとしたりと危険な行動もしてしまうものです。とはいえ、0歳の赤ちゃんは何が危険で、何が安全かを把握することはできないもの。赤ちゃんを注意するのではなく、大人の側が危険が生まれないように環境を整えてあげるようにしましょう。

1〜2歳:叱るのではなく、共感し言い聞かせる

自我が芽生え、ますます好奇心旺盛になってくる時期。この時期の子どもたちは、モノを投げたり、急に走り出したりと保護者がヒヤっとしてしまう行動も増えるでしょう。言葉も発達してきますが、まだまだ理解が追いつかないことも多いものです。
そのため、危険な行動など注意すべき事態が起きた際は、ただ指摘するだけではNG。次のプロセスを意識するようにしましょう。

・子どものしたことを言葉にし、子どもが自分が何をしたか把握できるようにする
・子どもがしたかった気持ちに共感する
・叱るのではなく言い聞かせる

この時期の子どもはいきなり注意しても、何に対して注意されているのか理解できません。そのため、まずは子どもがしたことを保護者が言葉にしてあげることが大切です。そのうえで、頭ごなしに叱るのではなく子どもの「これがしたかった」という好奇心に寄り添うこと。このように子どもが理解しやすい状況を整えたうえで、言い聞かせていくようにしましょう。

2〜3歳:保護者がお手本を見せる

イヤイヤ期真っ只中の時期。保護者にとっても、子育てのストレスや疲れが出やすい時期です。この時期の子どもたちは、自我が発達し「こうしたい!」という自分の考えや思いが強くなるものの、うまく言語化できなかったり、どうしていいかわからなくなってしまったりして癇癪を起こすこともよくあるでしょう。
また、お友達と仲良く遊ぶのもまだ少し難しい時期なので、自分の意見をうまく伝えられず、オモチャの取り合いになったり、手が出てしまったりすることもあるかもしれません。

どうすればよいのかという正解がわからない状況にあるこの時期の子どもに対しては、叱ったり注意したりするよりもお手本を見せてあげることが大切。オモチャを片付ける、「一緒に遊ぼう」と声をかける、「貸してもらってもいい?」と聞いてみる、「ごめんね」と謝る……こういった保護者の行動をお手本として真似をすることで、正しいふるまいを学んでいくことができるものです。

4歳以降:言葉で言い聞かせ、「どうすればよかったかな?」と考えさせる

この時期になると、子どももルールや他人の気持ちの理解もできるようになります。また、自分の意見を言葉にすることも少しずつ上手になってくるものです。そのため、因果関係や理由を説明する言葉のしつけができるようになります。

このときに大切なのが、保護者がくどくどと言葉で説明しすぎることのないよう、子どもに考えさせる投げかけをすること。「あなたにこう言われてお友達はどう思ったかな?」「どうすればよかったんだろう?」と質問することで、子どもは他人の立場に立って考えたり、正しい行動を考えたりできるようになります。

我が家ならではの「しつけ」の視点を持とう

子どものしつけは、保護者の大切な役割です。とはいえ、「良いこと」「悪いこと」の判断や、従うべきルールの範囲、子どもへの教育方針は、人によって千差万別。経験や育ってきた環境、価値観などが反映されるので、しつけの具体的な内容についても、様々な考え方があるものです。
このとき、大切なのは溢れかえる情報に振り回されすぎないこと。情報に振り回されるあまり、保護者の言うことがコロコロ変わっては子どもも混乱して、何が正しいのかの判断がつかなくなってしまいます。

情報に振り回されないためには、自分の家庭のしつけの視点と教育方針を持つこと。夫婦や家族で話し合い、ご家庭ならではの視点、考え方、大切な価値観を持つようにしましょう。

厳しすぎるしつけをされた子どもはどうなる?

子どものしつけは、神経質になってしまいがちなものです。子どもに社会性を身に付けさせ、学校や社会で苦労することがないようにしなければ……と思うあまり、つい厳しくなってしまうこともあるでしょう。時には「しつけのため」と手が出てしまうこともあるかもしれません。とはいえ、厳しすぎるしつけは百害あって一利なしです。度を越した厳しいしつけが、子どもにどのような影響を及ぼすかを理解しておきましょう。

萎縮し、好奇心を無くしてしまう

大きな声で叱られたり、長時間に渡って注意されたりと厳しすぎるしつけを受けていると、子どもは「また怒られてしまうかもしれない」と萎縮するようになります。その結果、好奇心を持って新しいチャレンジをすることもやめてしまうようになるでしょう。

親の顔色をうかがうようになり、自己決定力が育たなくなる

自分のすることなすこと注意ばかりされていたら、子どもは叱られたくないあまりに保護者の顔色をうかがうようになります。何をするにも親の反応を心配していては、自分で自分のことを決めていくという「自己決定力」が育ちません。その結果、自立的に未来を切り拓いていくことが難しくなってしまうこともあるでしょう。

自己肯定感が持てず、無気力になる

叱られてばかりでは、子どもは「自分は大切な存在として受け入れられている」「自分は愛されていて価値がある」という自己肯定感を持つことができなくなってしまいます。自己肯定感を持つことは、意欲的に様々なチャレンジを行う上で大前提となるもの。それが持てないということは、チャレンジ精神をなくし、無気力になってしまうリスクがあります。

嘘をついたり、ごまかしたりするようになる

保護者に厳しくされるのは、誰だって嫌なものです。度を越した厳しい注意が続くと、子どもは叱られたくないあまり、嘘をついたり、ごまかしたりするようになってしまいます。口先だけの「ごめんなさい」を口にすることもあるでしょう。

感情にまかせて怒ったり、いつまでも叱り続けると、子どもは「人格を否定された」と感じ、自尊心を失ってしまうものです。「このしつけ方は、子どもを尊重したものになっているだろうか?」と客観的に自分をチェックすることも大切です。

しつけと虐待の違い、境界線について

児童虐待のニュース報道などでは、「子どものしつけのためだった」との理由が報じられることをよく目にします。また、子どもへの注意がヒートアップする保護者をみて「しつけというより、児童虐待では?」と感じたこともあるかもしれません。いかなる理由であれ、虐待は許されないものではあるものの「しつけ」と「虐待」の違いはどこにあるのでしょうか。

感情にまかせて力でコントロールするのは虐待

虐待は、保護者が子どもの上に立ち、感情にまかせて力づくで子どもをコントロールすること。そのため、子どもは恐怖を覚えるものです。保護者のほうが体も力も強いことを利用し、威圧して子どもを支配するものであり、次の4つの種類があります。

・身体的虐待
・心理的虐待
・性的虐待
・ネグレクト

暴力をふるうことだけでなく、暴言を吐いたり、子どもに食事を与えないといったケアを怠ることも虐待となります。

子どもに寄り添い、子どもの感情や行動のコントロールを手助けするのがしつけ

しつけは、善悪やルールを教え、子どもが自分の言動をコントロールできるようにするものです。虐待のように保護者が上に立つことなく、子どもの傍らで応援・サポートを行うものといえるでしょう。しつけをされている子どもは、たとえ注意されていたとしても恐怖を感じることはなく、保護者の愛情を感じられるものです。

虐待としつけの境界線は2つの点から判断

虐待としつけの違いは、次の2つの点から判断できます。

・感情のおもむくままの行動であれば虐待
・強い立場にあることを利用して思い通りにしようとしていれば虐待

子どもはなかなか思うような行動をしてくれず、イライラしてしまうことも時にはあるものです。そのような際は「感情にまかせていないか?」「力づくで思い通りにしようとしていないか?」とセルフチェックできるようにしたいですね。

親子の関係づくりについて

子どもにしつけを行うには、大前提として子どもと保護者の信頼関係が成り立っていることが大切です。子どもが「保護者は自分を大切に思い、愛情をかけてくれている」「保護者は自分の存在を受け入れてくれている」という安心感を覚えていなければ、保護者の言うことを素直に受け止めることはできません。次の点に注意して、親子の関係づくりに努めていきましょう。

子どもの言動への共感を示す

子どもは、保護者が自分の気持ちを理解しようとしてくれている、感情に寄り添ってくれていると感じられなければ、聞く耳を持たずに反発したり、心を閉ざしてしまったりするものです。信頼関係の第一歩は、相手を受け入れること。そのためにも、共感を示すことを怠らないようにしましょう。

子どもはすぐにできるようになるものではないとゆったり構える

子どもは、1度や2度のしつけですぐにできるようになるものではありません。保護者としては「この間も言ったでしょ!」「何度言ったらわかるの!」と口をついてしまいそうになることもあるとは思いますが、「保護者はいつも自分を温かく見守ってくれる」と感じられるよう、ゆったり構え、子どものしつけも根気強く繰り返していくようにしましょう。すぐにできるようにならないからこそ、身につけたときには確かなものとなっているはずです。

まとめ & 実践 TIPS

子どものしつけは、一朝一夕でうまくいくものではありません。愛情と根気強さが求められるものです。今回ご紹介した5つのポイントや、年齢ごとのしつけの注意点を参考に、温かくお子さまを導いていってあげてください。

プロフィール

監修:市川由美子

保育士として15年以上にわたり、福祉施設、託児所、保育園などさまざまな場面での保育業務に携わる。
食育実践プランナー資格も有している。

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