人が良すぎてNOと言えない娘……断れない娘[うちの子、どう接したらいいの?]

今週の相談「人が良すぎてNOと断れません」


人が良すぎてNOと言えない娘……断れない娘[うちの子、どう接したらいいの?]


相談者
性別:女子
相談者:母
学年:小4

相談
人が良すぎてNOと言えない娘……断れない

うちの小4の娘は、よく言えば人付き合いがよい・優しいです。けれど、親からすると「人の言いなりでは?」ということがよくあります。係で遅くなった友達を2時間も待って一緒に帰って来る、とか、迷いネコに餌付けするリーダー役になる、など、そこまでしなくてもということが多いのです。先生に怒られる友達についていってあげるなど、なんでもかんでも「うん」と言ってしまうようです。この性格が人に利用されるような気がしてしまう時がありますが、このままでよいのでしょうか。

福谷先生のアドバイス
「自分のキャラ作り」中なのであわてないで

小4女子の多くはこの時期「自分のキャラ作り」の真っ最中です。「どういう性格の自分で生きていこうか……」ということを考え、試行錯誤しているわけです。つまり、お嬢さんは「付き合いが良すぎるキャラ」を演じてテストしているのかもしれない、ということです。そしてもうひとつ。今は「付き合いが良すぎるキャラ」かもしれませんが、その次は「みんなをまとめるリーダーキャラ」を演じるかもしれませんよ、ということもお話ししておきましょう。
なぜなら、子どもというものは「自分のキャラを作る」……そんなことをしながら大人化するものだからです。あるキャラを演じてみて、楽しいことや嫌なことを体験し、いったん作ったキャラを修正したりもします。そしてもし、演じているキャラが自分にとって「自然でなじむ」ものであれば、次の新しいキャラを試すことは先延ばしにするでしょう。そうやってだんだんと「自分」というものを作り上げていきます。

さて、今回の場合で言えば、「付き合いが良すぎるキャラになってみたものの、八方美人と思われて嫌な思いをする」→「キャラを修正する」ということがあるかもしれない、ということです。お子さんはまさに今、「自分自身」を作ってあれこれ試してみている最中です。親御さんとしては心配でしょうが大人は先回りしてあれこれ言わず、お子さんの様子をよく見ていてあげましょう。

見ていて危くなってきたら そこでアドバイス

もしもお子さんの様子を見ていて、大きな問題が生じる危険を大人が感じたら、そこで初めてアドバイスをしましょう。
今回の場合であれば、「付き合いが良いのも度を越えると、自分ばかりでなく他人にも迷惑をかけることがある」ということを、その時の事例に合わせて具体的に話して聞かせることです。小4であれば、抵抗なく言動や行動を修正すると思います。
そしてひとつアドバイスの際に親御さんに気を付けていただきたいことがあります。それは、アドバイスをする時は一方的に「ああしなさい」「こうしなさい」の命令ではなく、詳しく、具体的に、理由をやさしく言ってあげるということです。子どもには想像力が欠けている場合があります、なぜ今のキャラではいけないのか、どんな問題がありそうなのかを想像できないままに、親に「やめなさい」と言われると、学ぶことができません。だから、理由をやさしく言ってあげることが大切なのです。
言うタイミングとしては、特に娘さんにとって嫌なことや問題が生じた直後に効果があると思います。小4というタイミングはこの手の話をするには早すぎるでもなく遅すぎるでもなく最良のタイミングだと思います。

プロフィール



臨床心理士。臨床心理士コラボオフィス目黒理事 。二松學舎大学附属高等学校スクールカウンセラー。著書に『男の子の上手な育て方』。ご自身は、中学生のお父さま。

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