子どものやる気を引き出す言葉とは?[教えて!親野先生]

【質問】
私の口癖は「またちゃんとやってない」「何度言ったらできるの!」「ちゃんとやらなきゃダメでしょ」「なんで自分でできないの?」です。私の否定的な言葉のせいで、子どもがますますやる気をなくしているのがよくわかります。もっと子どものやる気を引き出す言い方はないでしょうか?

相談者・スープママ さん (小学1年生 男子)

【親野先生のアドバイス】
スープママさん、拝読しました。

お気付きのように、このように相手を否定的にとがめる言い方はすべて逆効果です。
なぜなら、自分がとがめられたと感じた瞬間に子どもの心は閉じてしまい、素直に聞く気になれなくなるからです。ですから、とにかく「とがめる要素を入れない」ということが大事です。

まずおすすめしたいのはプラスイメージの言葉です。
「○○するとこういういいことがあるよ」というように、プラスの結果がイメージできる言葉です。
たとえば、「早く宿題やらなきゃダメでしょ」ではなく「今のうちに宿題やっておくとあとが楽だよ」です。
ほかにも、「消しゴムでちゃんと消さなきゃ字が書けないでしょ」ではなく「丁寧に消すと書きやすいよ」です。
「明日の準備しなきゃダメでしょ」ではなく「今のうちに準備しておくと明日慌てなくて済むよ」です。

とにかく、万事において「しなきゃダメ」という否定的な言い方を「するといいよ」という肯定的な言い方に変えることが大事です。こういう言い方なら、自分がとがめられていないので反発を感じません。
おまけに、やるべきことを前向きにイメージすることができるので、やってみようという気持ちになりやすいのです。

でも、常にプラスイメージで言うのは難しいです。
そういう時は、単純型で促すようにします。
たとえば、「早くしないとバスに間に合わないでしょ」ではなく「さあ、急ごう」でいいのです。とにかく、とがめる要素を入れないことが大事なのです。
単純型の発展として、このほかにも「グズグズしない!」ではなく「2倍速で動いて」「早送りスイッチ、オン」など、ちょっとしたユーモアを交えて促すのもいいですね。

または、「あと5分で出るよ」とか「8時32分に出るよ」など、具体的な時刻を示して促すのも効果的です。この場合、8時30分より8時32分という細かい時刻だとさらに意識が高まることもあるようです。
「3分以内に勉強に取りかかるよ。タイマー、スタート」と言いながらキッチンタイマー押すというのもいいですね。

または、取りかかりのハードルを下げて促す方法もあります。
「手伝ってあげるからやってみよう」「ママと一緒にやろう」「1分だけやってみよう」「1問だけやってみよう」「準備だけしておこう」などです。
これだと簡単そうに見えるので取りかかりやすくなります。何事も、取りかかってしまえばけっこうできるものなので、取りかかりのハードルを下げる言葉を工夫するといいと思います。

または、競争化・ゲーム化して促す方法もあります。
たとえば、「どっちが早いか競争だ。用意、ドン」「どっちがきれいになるかな? 片付けごっこだ」「パパと着替え競争。始め」などです。
子どもは本能的に競争やゲームが好きなので、「○○ごっこ」「○○競争」と言えばけっこう燃えます。

次におすすめしたいのが、「やらせたいことを取りあえずほめる」という方法です。
たとえば玄関掃除のお手伝いをしている子には、「ちゃんと掃かなきゃダメだよ」ではなく「上手に掃けるね」と言ってあげましょう。
配膳中にご飯をよそっている子には、「こぼしちゃダメだよ」ではなく「上手、上手」と言ってあげましょう。
イヤイヤながらでも、子どもが宿題をやっていたら、「集中してやらなきゃダメだよ」ではなく「がんばっているね」と言ってあげましょう。
このように、取りあえずほめることで、子どものやる気を高めることができます。
大人たちはみんな、子どもができたらほめようと思っていますが、これだと永久にほめられません。取りあえずほめたほうができるようになります。つまり、「できたらほめる」ではなく「ほめたらできる」です。

次におすすめしたいのが、選択肢から選ばせるという方法です。
たとえば、「夕食前に宿題やっておいて夕食後に好きなアニメを見るのと、夕食後に宿題やってアニメは録画しておいて宿題が終わったあとから見るのと、どっちにする?」と言って選ばせます。
つまり、今から宿題をやるのとやらないのとでは、その後がどう違ってくるのか、具体的なイメージとして示して選ばせるのです。すると、今から宿題をやったほうがよさそうだということがわかり、行動につながりやすくなります。また、どちらを選んだとしても、自分で選んだということでちょっとした責任を感じるので、行動につながりやすくなります。

次におすすめしたいのが、アイ・メッセージです。
これは、「アイ」つまり「私」を主語にして気持ちを伝える言い方です。
「ユー」つまり「あなた」を主語にした言い方だと、どうしても相手をとがめるニュアンスが入ってしまいます。たとえば、ユー・メッセージで「なんで(あなたは)こんなに遅くなったの。もっと早く帰ってこなきゃダメでしょ」と言われると素直になれません。
ところが、アイ・メッセージで「帰りが遅いとお母さん(私)は心配だよ」「早く帰ってくれると、お母さん(私)は安心だよ」と言われると素直に聞くことができます。
これは、自分が心配している気持ちを伝えるだけなので、相手をとがめる要素が入らないのです。それで、相手は素直に受け入れることができるのです。
ほかにも、「何度言ったら(あなたは)わかるの!」がユー・メッセージで、「これは大事なことだから、守ってくれると(私は)うれしいな」がアイ・メッセージです。
あるいは、「なんで(あなたたちは)けんかばかりしているの。仲よくしなきゃダメでしょ」がユー・メッセージで、「けんかしていると、お母さん(私)は悲しくなるよ。仲よくしてくれていると、お母さん(私)はうれしいな」がアイ・メッセージです。
日頃「また○○していない。○○しなきゃダメでしょ」などのユー・メッセージで子どもをとがめる言い方が多い人は、ぜひ試してみてください。

いろいろ紹介しましたが、とにかく大事なのは「とがめる要素を入れない」ということです。これさえ意識していれば、そのときどきで効果的な言葉を考え出せるようになります。意識していれば、だんだんできるようになりますので、ぜひトライしてください。

親の言葉は子どもにとって環境そのものです。子どもが伸びるも伸びないも、親子関係が良くなるも悪くなるも、親の言葉次第です。さらにもう一つ大事なのは、子どもは親の言葉を受け継ぐということ。親が大阪弁なら子どもも大阪弁になり、親が東京弁なら子どもも東京弁になりやすくなるでしょう。同じように、親が否定語弁(とがめる弁)なら子どももそうなり、親が肯定語弁なら子どももそうなるでしょう。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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