2歳児の約5割が週2回以上スマホを使用-斎藤剛史-

パソコン同様の性能を持つスマートフォン(スマホ)の普及は、中高生などの生活にも大きな影響を及ぼしています。しかし、スマホの普及による変化は、小学校以上の子どもたちだけでなく、幼児にも大きな影響を及ぼしているようです。NPO法人e-Lunch(イーランチ)の調査結果によると、2歳児の47.4%が「週2日以上」スマホを使っていることが明らかになりました。

調査は2014(平成26)年9月、幼稚園・保育園に通う1~6歳の子どもがいる保護者を対象に実施し、1,158人から回答を得ました。それによると、スマホを「ほぼ毎日」使用しているという子どもの割合は、1歳が0%、2歳が5.3%、3歳が15.0%、4歳が18.6%、5歳が21.2%、6歳が22.5%で、年齢が上がるにつれて増加しています。また、「週2、3回程度」使用しているという子どもは、1歳が18.2%、2歳が42.1%、3歳が27.7%、4歳が25.6%、5歳が21.8%、6歳が21.0%でした。これらを合計すると、保護者からスマホを手渡されるなどして「週2回以上」使う子どもの割合は、1歳が18.2%、2歳が47.4%、3歳が42.7%、4歳が44.2%、5歳が43.0%、6歳が43.5%という計算になります。

子どもによるスマホの利用目的は、全体では「写真や動画を撮る・見る」が最も多くなっています。ただし、「1日2時間以上」使用している子どもだけで見ると、「動画を見る」がトップで、次いで「ゲームで遊ぶ」が2位となっています。動画やゲームに親しむことは、スマホの長時間利用につながる可能性が高いと言えそうです。
子どもの1日当たりのスマホの使用時間と保護者との関係を見ると、まったくスマホを使わない「0分」の子どもの割合は、保護者がまったくスマホを使わない場合は69.2%、保護者が30分使う場合は31.2%、2時間使う場合は16.3%などで、保護者がスマホを使う時間が長いほど少ない傾向にあります。逆に、スマホを1日「30分」使用する子どもの割合は、保護者がまったく使わない場合は7.7%、30分使う場合は21.8%、2時間使う場合は30.5%で、保護者の使用時間が長いほど子どもも長くなる傾向が見られます。ただ調査では、保護者が子どもにスマホを使わせているのか、子どもが勝手にスマホを使っているのかまでは明確になっていません。

これらの結果について、子どもにスマホを使用させる保護者の姿勢を批判する声もあるかもしれません。しかし、「子どもを静かにさせるため」にスマホを使わせたことがあるという保護者は全体の70%に上っています。電車の中など公共の場で静かにさせるため、あるいは家事をする時間をつくるために子どもにスマホを預ける保護者が少なくないことがうかがえます。また保護者の62%が子どものスマホ利用にルールを設けており、無原則にスマホを利用させている保護者は比較的少ないようです。公共の場での子どもの行動に対する社会の寛容さが薄れ、共働きの増加など家庭を取り巻く環境も変化しています。保護者の対応にすべての責任を求めるだけでは問題の解決にはなりません。これからもスマホが普及するなかで、幼児とスマホの関係はどうあるべきか、社会全体で考えることが必要でしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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