22世紀まで生きる今の子どもに不可欠なのは「主体性」【前編】未来を生き抜くために持つべき力とは?‐渡辺敦司‐

大学入学者選抜と高校・大学教育の一体改革(高大接続改革)、学習指導要領の改訂など、教育が大きく変わろうとしています。いずれも、時代の変化を先取りして見直しを行おうというものです。いま何が時代から求められ、そのために家庭では何をすればよいのでしょうか? ベネッセコーポレーションと東京個別指導学院が新しい学びの場として開講した「クラスベネッセ」のオープニングイベント(2014<平成26>年12月「クラスベネッセ仙川」)にて行われたベネッセ教育総合研究所(ベネッセ教育総研)の小泉和義・情報編集室長の講演から、2回にわたり展望してみましょう。

今の小学2年生が22世紀を迎える確率は31.9%……。小泉室長が示した国立社会保障・人口問題研究所の推計データです。こうした数字に象徴されるように、今の小学生は21世紀を中心で担い、少なくない割合で22世紀まで生き抜くような存在です。
しかし2050(平成62)年には日本の人口が億人を割り、国内総生産(GDP)は現在の世界3位から9位に後退していると推計されています。一方、このころまでには人工知能が人間を超える「特異点」を迎えるとの予測もあります。そんな時代に働き盛りとなっている今の子どもたちに求められるチカラも、すっかり変わっていることでしょう。
いま提案されている教育改革でも、そうした変化を視野に入れています。中央教育審議会が2014(平成26)年12月にまとめた高大接続改革答申で「主体性・多様性・協働性」の養成を提言し、下村博文文部科学相が同11月の諮問で中教審に「アクティブ・ラーニング」(課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習、AL)の検討を求めたのも、そのためです。
中でも小泉室長は、「主体性」に注目します。今後の不確実な時代の中で求められるのは、その時代その時代に合った体系的な知識を自ら習得しようという姿勢だからです。

しかし現状では、主体性の養成に関して心配になるデータがたくさんあります。代表的な国際学力調査であるPISA(生徒の学習到達度調査)では近年、日本の成績は上昇する一方、依然として学習意欲の低さが課題となっています。日米中韓の比較調査では、4か国のうち日本の子どもが最も自信を持てずにいる実態が浮き彫りになっています。
ベネッセ教育総研の「子ども生活実態基本調査」でも、「勉強しようという気持ちがわかない」と思う割合が小・中学校で学年が上がるほど高くなる傾向にあること、逆に自信のある子ほど学びに積極的であることがわかっています。
もっとも保護者世代に比べれば大学にはずいぶん入りやすくなっており、受験を目的に子どもの尻をたたいて机に向かわせようとしても難しくなっています。さらに30年前の重たい移動電話が今やスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)として普及したことに象徴されるとおり、生活もすっかり便利になっています。意欲や主体性が身に付きづらくなっているのも、必ずしも子どものせいではないのかもしれません。だからこそ「主体性」をどう意識的に育てるかが重要になってきます。実はクラスベネッセもコーチングの手法を活用して進研ゼミの学習をサポートすることを通じて、自ら学ぶチカラを身に付けさせることを目指しています。

家庭では、どうすればよいのでしょうか? 次回、さらに小泉室長の指摘に耳を傾けることにしましょう。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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