何を言っても「拒否」する、そんな態度の子と、どう接する? [やる気を引き出すコーチング]

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「『~しなさい』と上から目線で言うだけでは子どもも素直に聞けないことは、私も子どもの頃そうでしたからよくわかります。指示命令はなるべくしないようにして、代わりに対等な立ち位置で『~してみようよ』、『~するのはどうかな?』と伝えてみたりもしています。それでも、『今はやりたくない』と拒否されてしまい凹みます。コーチングで良いとされるどんな言葉かけも拒否されてしまうと打つ手がないような気分になります」と、小学校5年生のお母さんから相談されました。高学年になると、多少なりとも反抗的な態度も出てくる時期かと思いますが、どう接したら良いのでしょうか?

どんな反応も広い心で受けとめる

子どもによっては、対等な立ち位置でかけた言葉でも、拒否される場合はもちろんあるでしょう。どんな反応であっても、いったん受けとめることが大切です。「そうか、今はやりたくないんだね」と気持ちを受けとめた上で、「じゃあ、どうしたい?」、「いつからだったら始められそう?」などの質問をしてみて、相手の気持ちや考えを確認していきます。その場ですぐに行動を起こさない、答えが出ないことを悲観する必要はありません。どんな時も、どんな言葉も、いつも「そうか、今はそうなんだね」と受けとめ続けます。

子どもは、「本当はこうしたほうがいいな」と自分でわかっていても、大人の言うことには素直に従いたくなかったり、自分の感情をコントロールできなかったりする時があります。それだけに、自分がどんな態度で接しても、いつも感情的になることなく気持ちを受けとってくれる相手に対しては、しだいに信頼感や尊敬の気持ちを持つようになります。拒否されても、「今は自分の中で整理ができていないんだな」と広い心で受けとめてあげてください。

「お母さんってバカじゃないの?」と中学生の娘さんから言われたことがあるお母さんがいました。つい、「親に向かってそんなこと言うもんじゃないでしょう!」と言い返してしまいそうですが、このお母さんは「そうだね、バカかもね」と穏やかに受けとったそうです。すると、お子さんがゲラゲラと笑い出し、それまでの不機嫌さがなくなり、それ以上は言い返して来なくなったそうです。相手に対抗することをやめると、相手もそれ以上は対抗できなくなるのです。

「Let’sのスタンス」で自ら楽しむ

「我が家の子どもたちには、『ゲームをやめなさい』とも何とも言わないんです。その代わり、アウトドアでもスポーツでも、私が楽しいと思うことを私が全力でやって楽しむ姿を見せています。そうすると、ゲームよりもこちらがやっていることに興味を持って寄ってきてくれます」という話をしてくださったお父さんがいます。

言葉だけで相手を動かそうとするのではなく、こちらが率先して楽しむ姿を見せることによって、「やりたくない」と思っていた子どもの気持ちが動く場合もあります。「何だろう?何しているんだろう?なんだかおもしろそうなことをしているな。自分もやってみたい!」と気持ちが動けば、おのずと身体も動きます。

「言うことを聞かせる」というスタンスではなく、「どうしたら一緒に楽しめるかな。一緒に取り組めたら嬉しいな」というスタンスで関わっていきます。対等な関係とは、一方的な言葉によって相手をコントロールしようとすることではなく、相手もこちらも一緒に考え、一緒にゴールを目指す「Let’sのスタンス」(「一緒にやろうよ!」という気持ち)でいることです。

まとめ & 実践 TIPS

どんな言葉であっても万能なものはありません。この子にはすごくヒットしたけれど、この子には拒否されたという言葉はたくさんあります。「答えは一つではない」、「人は一人ひとり皆違う」というコーチングの前提に沿って、目の前の子どもにヒットする言葉を探り続けてみてください。
「拒否された」=「嫌われた」、「自分の人格を否定された」と捉える必要はありません。「今のこの子にはヒットしない言葉だったんだ」と捉えて、また別のアプローチを試してみれば良いだけです。「いつもあなたの味方だよ」という気持ちで接し続けることで、きっと受けとってもらえるタイミングが来るでしょう。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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